5Gでオーディオ機器の新しい価値を掘り起こせ

 もう一つは2019年に商用化予定の次世代高速通信「5G」への取り組みだ。IFAで開催されたソニーのプレスカンファレンスの中で、ソニーの吉田憲一郎社長兼CEOは今後に向けて力を入れていく領域だと言及した。ソニーグループとしては、ソニーモバイルコミュニケーションの「Xperia」が最も5Gに近い商品なのかもしれない。だが、オーディオ・ビジュアルの製品にも5Gとの関連性は大いにある。

 欧米では、通信の超高速化、大容量化のほか、IoTデバイスに代表されるエレクトロニクス機器を多数、同時に、直接ネットワークにつなげられる技術として5Gが注目されつつある。ソニーの製品で例に挙げるなら、ウォークマンにLTEによる通信機能を持たせたり、据え置き型のトラディショナルなオーディオ機器にネットワーク接続機能を持たせたりすることで、掘り起こせる新しい価値はまだあるだろう。

ソニーの吉田社長が壇上で「5G」への取り組みについて言及した。Xperiaの通信が速く・快適になること以外にも色々な展開が考えられるはずだ
ソニーの吉田社長が壇上で「5G」への取り組みについて言及した。Xperiaの通信が速く・快適になること以外にも色々な展開が考えられるはずだ
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 スマートホームについても、グーグルやAmazonのプラットフォームにつながること以外の価値を積極的に打ち出せる余地は十分にあるはずだ。同社は白物家電をほとんど扱っていないものの、ソニーモバイルコミュニケーションズが販売している、壁面や床面に投射した映像に指で触れながら操作できるプロジェクター「Xperia Touch」(G1109)は、欧州のキッチンアプライアンスのイベントなどに出展されて好評を得ているという話も耳にする。例えば、欧州のスマート家電に力を入れているメーカーとコラボレーションして、未来の豊かな生活空間を描き出す展示をすることもできるはず。既存のオーディオ・ビジュアルの価値観を超えて、私たちを驚かせてくれるものをこれからのソニーには期待したいと思う。

山本敦(やまもと・あつし)
氏名 ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾやAI・IoTにかかわるスマートオーディオ、4KやVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を活かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす