TBSが好調の劇場ビジネス拡大のために建設

 IHIステージアラウンド東京を運営するのはTBSテレビだ。同社は赤坂ブリッツや赤坂ACTシアターなど、今までにも劇場ビジネスに積極的に取り組んできた。IHIステージアラウンド東京も、同社の劇場ビジネスの一環だ。

 同社が劇場ビジネスに力を入れる背景には、近年、テレビ業界で重視されている放送外収入の拡大という狙いがある。広告費などテレビ放送による収入が下降傾向にある中で、テレビ局は自社の敷地を使った各種イベントやネットでの動画配信など、放送以外のビジネスでの収入を増やそうとしている。

 そんな中、TBSテレビにおいて成功しているのが、劇場ビジネスだ。8月に発表した2018年3月期第1四半期決算によると、劇場ビジネスを含む事業(興行)部門の第1四半期(4~6月)の収入は、前年比6億3100万円増の21億3200万円。劇場は、自社企画の演目を上演するだけでなく、外部の企画や劇団にも貸し出す。TBSテレビ事業局事業部担当部長で、IHIステージアラウンド東京の支配人を務める松村恵二氏は、「赤坂ブリッツや赤坂ACTシアターは稼働率が90パーセントを超えている」とその好調ぶりを語る。このビジネスをさらに伸ばそうと、新たに建設したのがIHIステージアラウンド東京というわけだ。

「Season 鳥」は主人公の捨之介役を阿部サダヲが演じた。舞台も衣装も派手なのが劇団☆新感線の持ち味
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悪役の天魔王は森山未來、天魔王、捨之介と縁の深い蘭兵衛は早乙女太一という配役
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 新たな劇場を作るにあたり、重視したのがロングラン公演ができることだと松村氏は言う。「ロングラン公演は劇場収入の面で安定性があるのはもちろん、お客さんにとっては『いつ行っても何かしらの公演をやっている』という存在感がある。だが、現在の日本ではロングラン公演の成功例は劇団四季しかない。それは悔しい」(松村氏)。

 また、これまでにない新しい劇場を作りたいという思いもあったそうだ。「ACTシアターをもう1つ作るという考えもあるが、それでは夢がない」(松村氏)。そんな中、TBSテレビが目を付けたのが、オランダにある客席が回転する円形劇場、Theater Hangaarだった。

 松村氏自身、「オランダの劇場に行ったときは、没入感、浮遊感に感動した。30年間演劇を観てきたが初めての感覚だった。会社のビジネスとしてはもちろんだが、個人的にもこの感覚を観客に味わってもらいたいと感じた」と振り返る。しかも、Theater Hangaarには、オープン以来7年上演している記録的なロングラン公演があり、のべ200万人を超える観客も動員している。

円形劇場はかなり大規模な施設。写真は建設途中のオランダの劇場
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