ソニーは家電見本市「IFA 2017」でさまざまな新製品を大々的に披露したが、同社の発表会でわずかにスライドに掲載されるだけのデビューにとどまったのが、ウォークマンの新しい「A40シリーズ」と新製品「NW-ZX300」だ。

 2016年のIFAでは「黄金のウォークマン」として「NW-WM1Z」が大々的にデビューしたことを考えると、エントリー・ミドルレンジの製品とはいえ、控えめな露出となった。なお、日本国内でも9月5日に発表され、10月7日に発売予定だ。

IFA 2017のスライドに僅かに登場したウォークマン新製品
IFA 2017のスライドに僅かに登場したウォークマン新製品
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携帯音楽プレーヤー市場は落ち込み

 ポータブルオーディオ製品全体のトレンドを見ると、今、音楽を聴くための機器をけん引しているのはスマホ。ユーザーはスマホ購入をきっかけにして、さまざまな音楽周辺機器を購入するようになる傾向が強い。

 特にソニーが「1000Xシリーズ」という目玉商品を投入したワイヤレスヘッドホン・イヤホン市場は、前年比200%前後という規模で拡大を続けている。

 もちろん同社が推進する「ハイレゾ対応」など、高音質の訴求は一定の成果をあげており、ハイレゾ対応の携帯音楽プレーヤー、ヘッドホン、スピーカー合計で110%程度と市場は緩やかに拡大している。しかし、携帯音楽プレーヤーの市場だけを見ると2017年は前年比87%にとどまると見込まれている。今年7月にはアップルが「iPod nano」および「iPod Shuffle」の販売を終了したことも、市場全体の需要の落ち込みを感じさせずにはいられない。

 市場に逆風が吹くなかでデビューを飾ることになったウォークマンA40シリーズとNW-ZX300だが、音楽をカジュアルに聴くための主役の座を譲ったからこそ見られる差異化が随所に見てとれる。

「ハイレゾ」を訴求したのもウォークマンではなく、Xperia XZ1のスライドだった
「ハイレゾ」を訴求したのもウォークマンではなく、Xperia XZ1のスライドだった
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1000Xシリーズをはじめとしたワイヤレス・ノイズキャンセルヘッドホンがソニーの今年の目玉。IFAではブースの中央部を確保していた
1000Xシリーズをはじめとしたワイヤレス・ノイズキャンセルヘッドホンがソニーの今年の目玉。IFAではブースの中央部を確保していた
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ウォークマンはカウンター型の専用試聴コーナーを設けていた
ウォークマンはカウンター型の専用試聴コーナーを設けていた
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高音質モデルの「NW-ZX300」はハイエンド技術を投入

 高音質モデルとして発売される新製品がNW-ZX300だ。ソニーはミドルレンジ機として「NW-ZX100」(約8万円)を発売しており、製品ラインアップ上はその後継となるが、設計上は昨年発売されたハイエンド製品のNW-WM1A(約13万円)をベースにコンパクト化を狙ったモデルとなる。

 ソニー独自のハイレゾ対応フルデジタルアンプ「S-MasterHX」を内蔵しただけでなく、昨年からスタートした4.4ミリのバランス接続にも対応。オーディオ愛好家向けにハイエンドの高音質技術をミドルレンジ機に盛り込んだというわけだ。価格は約6万5000円と、高付加価値製品として展開していくことになる。

NW-ZX300はハイエンドの技術を投入した高音質モデル
NW-ZX300はハイエンドの技術を投入した高音質モデル
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本体サイズは57.3×119.4×14.8ミリで157gと小型化
本体サイズは57.3×119.4×14.8ミリで157gと小型化
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4.4ミリのバランス端子を搭載
4.4ミリのバランス端子を搭載
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2万円台の入門モデルなのに「豪華」

 ハイレゾウォークマンとしての入門モデルとなる、新しいA40シリーズも豪華な内容だ。

 A40シリーズは、イヤホンの付属しない最安モデル「NW-A45」で2万2000円前後だが、ソニー独自のハイレゾ対応フルデジタルアンプ「S-MasterHX」に高音質ハンダという部品構成は、実は先述のNW-ZX300と同じ。またA40シリーズは付属イヤホンを接続するとノイズキャンセルも使えるが、新たに外の音が聞こえるよう調整できる「外音取り込み」機能も追加されている。

 NW-ZX100と共通の仕様になる、PC接続時にUSB DACとして動作する機能も搭載。さらにワイヤレスヘッドホン・イヤホンの高音質化コーデックとして、ソニーが主導する「LDAC」に加えて、業界的には主流の「apt-X HD」にも対応。ハイレゾ対応に加えて、ノイズキャンセル、USB DAC対応と、入門モデルにもかかわらず、さまざまな取り組みがなされている。

エントリーの新・ウォークマンA40シリーズ
エントリーの新・ウォークマンA40シリーズ
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カラー展開は同社のヘッドホン「h.ear」、そしてXperiaともそろえられている
カラー展開は同社のヘッドホン「h.ear」、そしてXperiaともそろえられている
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 ミドルレンジ機のNW-ZX300では、オーディオマニアを想定した超高音質。ウォークマンA40シリーズは入門モデルにもかかわらず、高音質構成、ノイズキャンセル、USB DAC、ワイヤレスと全方位で付加価値を付けたソニー。

 当たり前の音楽再生はスマホで済む時代になった今、携帯音楽プレーヤー市場は、アップルがiPodでは成し得なかったスマホとの差異化にウォークマンが挑み、生き残りを掛けた形といえるだろう。

(文/折原一也)