新ウォークマンと100万円超の“化け物”プレーヤーも登場

 IFA 2018では“ウォークマン”の最新モデル「A55」シリーズ、さらには“化け物”とも呼ばれてしまいそうな8500ユーロの超弩級デジタルミュージックプレーヤー「DMP-Z1」も発表した。

 ハイレゾ対応ウォークマンとしてはエントリーとなる「A55」シリーズの特徴は、アルミ削り出しシャーシ採用による高音質化と、Bluetoothでスマホとペアリングして音楽を流せるスマホとの親和性の向上だ。

 ハイレゾすらスマホで再生できるようになった今、ウォークマンの存在意義は「新聞のようなもの」と黒住氏は語る。近年、ネットの普及で新聞の部数は落ちているが、それでも一覧性、携帯性、情報の信頼性から新聞を選ぶ人は一定数いる。同じようにウォークマンの需要はなくならないと見る。特に「米国ではアップルがiPodシリーズの販売を終了したことで、定番のデジタルミュージックプレーヤーとして少しずつ存在感が高まりつつある」と黒住氏。また、ウォークマンを購入層は高齢化しておらず、若い人も一定数買っているという。スマホ全盛の今でも、1979年以来のブランドであり続けた老舗の歴史が評価されているということだろう。

ウォークマンの最新「A55シリーズ」(NW-A55)。アジアより順次発売予定
ウォークマンの最新「A55シリーズ」(NW-A55)。アジアより順次発売予定
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 さらに、IFA 2018で披露した中でも最もソニーのオーディオらしい製品がデジタルミュージックプレーヤー「DMP-Z1」だ。机の上にドンと置くようなサイズに、重さ2490gという重量。超ハイエンドのオーディオパーツに、アナログアンプを組み合わせた。タッチ操作の画面を備え、256GBのメモリーを内蔵する音楽プレーヤーである。

 ウォークマンは移動しながら使う製品だが、DMP-Z1は自宅や出張先のホテルのようなパーソナルスペースで使うためのもの。黒住氏によると、スターバックスの創業者が店舗のコンセプトを第二のリビングルームと位置付けたように、DMP-Z1はホテルのような出先のスペースであってもパーソナルにくつろげる空間に変えられる製品を目指しているようだ。

 8500ユーロという超弩級の価格と金メッキが施されたアナログボリュームは、中国のハイエンド・オーディオマニア向けを意識したと思われるが、「香港を中心とした東アジア圏、中国圏、日本でも似たようなニーズがあることは理解している。一義的に中国を考えているわけではない。欧州でも販売するし、ここからマーケットを作っていく」と語る。

超弩級のミュージックプレーヤー「DMP-Z1」。欧州では8500ユーロで発売(日本円で約109万円)
超弩級のミュージックプレーヤー「DMP-Z1」。欧州では8500ユーロで発売(日本円で約109万円)
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“EXTRA BASS”ブランドのスマートスピーカー

 もう一つ発表したスピーカー型オーディオの新製品がEXTRA BASSのGoogleアシスタント搭載ワイヤレススピーカー「SRS-XB501G」だ。サイズはステージ用スピーカー程度の大きさで重量は3100g。IP65の防塵/防水対応で、バッテリーで最大16時間駆動する。EXTRA BASSはもともとソニーのBluetoothスピーカーのブランド名だが、そのままスマートスピーカー化したことになる。

 「グーグルやAmazonが売っているスピーカーは音楽の“ながら聴き”用途だが、EXTRA BASSはベースがしっかり出るサウンドだ。米国、中南米では、パティオ(中庭)で開くプチパーティーが音楽を楽しむ場として上位に上がってくるので、大人数で楽しめるスピーカーとして提案したい」(黒住氏)。

三脚に立てて設置もできる「SRS-XB501G」。欧州での価格は350ユーロ(約4万5000円)
三脚に立てて設置もできる「SRS-XB501G」。欧州での価格は350ユーロ(約4万5000円)
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 以上、ソニーがIFA 2018で発表したオーディオ製品は全8シリーズにもなり、近年なかった規模だった。全体を通して見ると、平井一夫前社長兼CEO時代には、“ハイレゾ”を中心に高音質を前面に打ち出していたのに対し、吉田社長兼CEOになった今回は、製品ごとに異なる用途提案を打ち出す“人に寄り添う”ラインアップに転換したことを印象づけた。

折原一也(おりはら・かずや)
折原一也(おりはら・かずや) AV評論家。AV専門誌やWeb、モノ雑誌で活躍する映像と音を扱うAV評論家。2009年よりVGP(ビジュアルグランプリ)審査員