クリエーターとユーザーの世界を結びつける

 吉田CEOの体制下で、もう一つソニーが発信し始めたメッセージが「音楽、映像、ゲームを作り上げるクリエーターやプロフェッショナル、セミプロの世界と、それを楽しむユーザーの世界を結びつける」ことだ。

プレスカンファレンスではクリエーターとユーザーを結びつけるというメッセージを打ち出した
プレスカンファレンスではクリエーターとユーザーを結びつけるというメッセージを打ち出した
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 その象徴が、ステージ用イヤーモニター「IER-M7」「IER-M9」だ。ステージ用イヤーモニターとは、ライブ会場でアーティストが身に着けて、自分の声や楽器の音などを確認するためもの。今回発表されたIER-M7とIER-M9は、ソニー・ミュージックエンタテインメントの協力の下、PAエンジニアと共に生み出した「クリエーターとのコラボレーションによって生まれたハイエンド」(黒住氏)だという。

 イヤーモニターとして必要な品質として「演奏者自らが奏でる音色」「各楽器間のバランス」「正確なリズム」の再現を目指して開発された。IER-M9がBA(バランスド・アーマチュア)ドライバーを5基、IER-M7はBAドライバーを4基搭載する。

IFA 2018ではショーケースで出展された「IER-M9」(価格は未発表)
IFA 2018ではショーケースで出展された「IER-M9」(価格は未発表)
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同じくショーケースで出展された「IER-M7」(価格は未発表)
同じくショーケースで出展された「IER-M7」(価格は未発表)
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 ステージ用イヤーモニターと似た状況の市場として黒住氏が語るのがカメラだ。「カメラはプロフェッショナルと一般のユーザーが同じ製品を使い、共通の感動体験や関心を共有する。いわゆる“Community of Interest”として集い、情報交換を重ねている。オーディオの世界でも以前からHiFi、ピュアオーディオの市場ではあったことだが、ヘッドホンの市場でもここ5~7年ほどでそういったコミュニティーが出来始めた」(黒住氏)。市場を見ても、日本やアジアにはステージモニターの音を好むユーザーも多い。手持ちの音源をイヤーモニターで聴きたいというユーザーに受け入れられる製品と考えているのだ。

 ユーザーサイドから見た最高を目指すイヤホンが「IER-Z1R」だ。イヤホン構造はBAドライバーと2基のダイナミックドライバーを組み合わせるハイブリッド。IER-Z1Rが目指すのは、「ライブで音楽を聴く、ほぼその場にいるような臨場感。歌い手が提供できているであろう、空気感、ツヤ感、会場のスモークの雰囲気までも再現」する領域にまで踏み込むサウンドを目指している。

 IER-Z1Rは高級時計などに用いられるペルラージュ加工が施されたデザインも特徴。黒住氏はこれを、「例えばヴァイオリンのヘッド部の渦巻き部分のような、(見た目から)その音が出る風格」と説明した。見た目から「良い音が出そう」という雰囲気を感じさせるデザインを目指している。

ソニーのイヤホンとして最もハイエンドとなる「IER-Z1R」。欧州での価格は2200ユーロ(日本円で約28万円)
ソニーのイヤホンとして最もハイエンドとなる「IER-Z1R」。欧州での価格は2200ユーロ(日本円で約28万円)
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