「いい音」だけでは興味を持ってもらいにくい

――オンキヨー&パイオニアでは、アニメとのコラボヘッドホンなども数多く手がけています。ハイレゾ楽曲配信との相乗効果はありますか。

祐成: 「アイドルマスター」「ラブライブ!」「マクロスΔ」などが大きいですね。アニメファンには、CDのパッケージ音源も欲しいし、ハイレゾ音源とも聴き比べて違いを楽しみたい。好きな作品の関連グッズも欲しいと、とことん追求する人が多いのだと思います。

『THE IDOLM@STER』シリーズは、コラボヘッドホン「SE-MX9 THE IDOLM@STER」とコラボ高音質DAP「DP-X1A THE IDOLM@STER」を立て続けに販売。平行してハイレゾ音源の本格配信も開始した。以降、e-onkyoではランキングの常連となっている
『THE IDOLM@STER』シリーズは、コラボヘッドホン「SE-MX9 THE IDOLM@STER」とコラボ高音質DAP「DP-X1A THE IDOLM@STER」を立て続けに販売。平行してハイレゾ音源の本格配信も開始した。以降、e-onkyoではランキングの常連となっている
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 こうしたハードとソフトの連携に積極的に取り組み始めたのは、オンキヨー&パイオニアイノベーションズに統合してからです(注:オンキヨーは2015年3月にパイオニア子会社のパイオニアホームエレクトロニクスと事業統合。ホームAV関連の事業を含めて承継した)。この統合で、ソフト(音源)から、プレーヤー、スピーカー、ヘッドホンまでトータルに扱えるようになりました。

イノベーション事業本部マーケティング部マーケティング課 課長 家倉宏太郎氏
イノベーション事業本部マーケティング部マーケティング課 課長 家倉宏太郎氏
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――最近、ハイレゾ機器やヘッドホンの市場では、コラボのほか量販店などの店頭でもアーティストのお薦めといった広告を見かけることが増えました。こちらも意識的なものでしょうか。

家倉: 店頭だと「いい音がします」だけでは一般のお客さんには興味を持ってもらいにくいということがあります。アーティストのポップや楽曲があれば親しんでもらいやすくなりますからね。

 店頭のハイレゾ機器に入れるデモ音源も、私たちはe-onkyoとしてレーベルと交渉できるので、アーティストの豊富なハイレゾ音源を使わせてもらっています。量販店などおよそ1500のロケーションがプロモーションの場となるので、レーベル側にとっても魅力的なようです。CDショップには昔から試聴機がありますが、そのラインアップに入れてもらうのもなかなか難しいと聞きますから。

ハイレゾ音源はもちろん、音のこだわり派に対してはアーティストがライブで使うインイヤーモニターのコラボ製品も販売。耳型の採取が必要なオーダー製で、高額モデルは10万円を超える
ハイレゾ音源はもちろん、音のこだわり派に対してはアーティストがライブで使うインイヤーモニターのコラボ製品も販売。耳型の採取が必要なオーダー製で、高額モデルは10万円を超える
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――現在、ハイレゾ音源やコラボというとアニメが目立つ状況です。一般アーティストとの取り組みなどはありますか。

家倉: オンキヨー&パイオニアとして、ハイレゾを含めて楽しい提案をしたいと考えています。コラボもアニメだけでなくアーティストにも幅を広げていて、最近では聖飢魔IIコラボやQUEENコラボなども手がけていますし、かなり先のものも企画を進めています。

◇  ◇  ◇

 音楽配信サービスなどが広がり、多くの人にとって音楽が気軽に楽しめるようになる一方で、こだわり派のファンの要求はより高いものへと変わりつつある。ハイレゾ音源やコラボ製品は、より深くアニメ作品を楽しみたい、アーティストと同じ体験を追求したいといった人の思いが生んだ市場といっていいだろう。新しいファン層を、ハイレゾ音源など高音質オーディオ市場がどう受け止めるのか今後が楽しみだ。

(文/島 徹)