マリンスポーツやスキー、ラフティングなどアウトドアでの撮影に適したカメラとして人気を集める「GoPro(ゴープロ)シリーズ」。ここ最近で、女性の利用者も増えており、「GoPro女子」が急増中だ。旅先でのスナップ写真の撮影といった用途での利用が中心だ。写真・動画に特化したSNS「Instagram」に、より美しい写真を投稿したいという心理を表す「インスタ映え」が流行の背景にある。

 「GoProのレンタルを申し込む女性が増加した影響から、この1年でレンタルの申し込み件数は3~4倍に拡大した」

 こう明かすのは、レンティオ(東京都品川区)の三輪謙二朗社長だ。レンティオは、人気の家電製品をWebサイトから借りられるサービス「Rentio(レンティオ)」を展開するベンチャー企業。「カメラ」「キッチン家電」「ロボット」といった約20カテゴリーで、デジタルカメラやロボット掃除機「ルンバ」、フィリップスの調理家電「ノンフライヤー」といった4000商品を貸し出している

 例えば、「ルンバ876」は7泊8日で4980円、リコーの全天球カメラ「THETA S」は3泊4日で4980円で借りられるほか、ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」も7泊8日で6万9800円で借りられる。「実際に製品を購入する前の試用目的と、結婚式でインスタントカメラの『チェキ』を使いたいといった目的に応じて借りることが主な顧客の用途になっている」と三輪氏は説明する。

家電製品のレンタルサービス「Rentio」では約20カテゴリー、4000商品を貸し出している
家電製品のレンタルサービス「Rentio」では約20カテゴリー、4000商品を貸し出している
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ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」も7泊8日で6万9800円で借りられる
ソフトバンクの人型ロボット「Pepper」も7泊8日で6万9800円で借りられる
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「#ゴープロ女子」には写真が13万件

 そのレンティオで、昨年の夏ごろから、GoProを借りる女性が急速に増え始めた。拡大要因はInstagramの流行にあると三輪氏は見る。実際、GoProのレンタルを申し込む女性からは、「どうやってInstagramに写真を投稿すればいいか、といった質問が非常に多く寄せられる」(三輪氏)。また、その用途について顧客にアンケート調査をしたところ、「友人4人で沖縄旅行に行くのに使いたい」といった回答が多かった。Instagramでハッシュタグ「#ゴープロ女子」で検索をすれば、既に13万件を超える写真が投稿されており、人気を集めていることがうかがえる。

 Instagramの利用者が拡大するとともに、フォロワーである友人や知人の心を惹くために、より美しい写真を投稿しようと考える人が増えている。こうした心理はインスタ映えと呼ばれ、それが新たな消費を生み出している。

 このインスタ映えする写真を撮影するのに、GoProが向いていることが人気の秘訣だ。例えば、最新機種の「GoPro HERO5 Black」の撮影機能「SuperView」を使った場合、焦点距離が35mmフイルムカメラ換算で15~16mmに相当する超広角の写真が撮影できる。自分を撮影するためにカメラを取り付ける「自撮り棒」で撮影した場合にも、コンパクトカメラやスマートフォンのカメラ機能と比較して背景を広く写真に収められる。旅先で海や著名な建築物などをしっかりと背景に収めた写真を撮影できるため、Instagram向きというわけだ。

「高画質」「コンパクト」「簡単」が女子受けのポイント

 家電量販店でも"異変"が起こっている。以前は、GoProの購入者の大半が男性客だった。変化が表れ始めたのは1年前ほど前。ビックカメラ有楽町店でカメラコーナーを担当する白田結花氏は、「Instagramの流行と共に、GoProを購入する女性客が急増した」と振り返る。「Instagramで気になった写真に、GoProで撮影されたことを示すハッシュタグがついているのを見て、興味を持った」ときっかけを語る来店客も少なくないという。

 GoProを購入する女性客の多くが20代だ。もっとも、用途によっては他のカメラを提案することもあるが、それでもGoProを指名買いする顧客も多い。「高画質で本体のサイズがコンパクト、そして撮影が簡単であるが女性に響くポイント」と白田氏は説明する。また、アクセサリーが豊富な点も人気の理由。女性客に最も人気のアクセサリーは「3-WAY」というカメラアームだ。伸縮する自撮り棒で、三脚としても利用できるため、旅先でのスナップ撮影には欠かせない。

ビックカメラ有楽町店では「GoPro」シリーズのアクセサリーを豊富に取り揃えている
ビックカメラ有楽町店では「GoPro」シリーズのアクセサリーを豊富に取り揃えている
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この1年で「GoPro」シリーズを購入する女性客が急増している
この1年で「GoPro」シリーズを購入する女性客が急増している
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 都内に住む会社員の鞍立寛子氏も、GoPro女子の1人だ。2017年2月にGoPro HERO5 Blackを購入した。鞍立氏とGoProの出会いは1月のこと。スノーボードに一緒に行った友人が、GoProをボードの先端に取り付けて、滑りながら撮影していたほか、自撮りにも使っているのを見たのがきっかけだ。それまで、カメラへのこだわりはなく、撮影はもっぱらスマホ。それが友人のGoProで撮影した動画や写真を見て、その違いに驚いた。「スマホで撮影した写真と比べて、背景が広く写っていることに感動した」(鞍立氏)。こうしてGoProの魅力を知った鞍立氏は、すぐに購入を決めた。

レンタル費用を旅行仲間で割り勘

 GoProの用途は、主に旅先などでの「自撮り」だ。鞍立氏は「私にとってGoProは『高機能自撮り棒』のような存在」と称する。SuperViewを使うことで、背景を広く写すことができるうえ、撮影範囲が広いため大人数でも写真に収められる。「スマホでは今まで撮れなかった写真が撮れる」(鞍立氏)ことが魅力だと説明する。こうしてGoProで撮影した写真は「Instagramのフィードに流れてくる他の友人がスマホで撮影した写真とは、明らかに質が違う」(鞍立氏)ため、インスタ映えにつながる。また、GoProは幅が6.1cm、高さが4.4cmと手のひらサイズであることも、女性に受けている理由の1つ。「小さなかばんにも入るため、ちょっとしたお出かけにも持ち運びやすい」(鞍立氏)。

 ただし、GoPro HERO5 Blackは家電量販店での実売価格が4万5000円前後と、カメラにこだわりを持たない人にとっては少々高額に感じるだろう。さらに自撮り棒や、防水用のハウジングなどを購入すると、さらに出費がかさむ。そこで、気軽に利用できるレンタルサービスを使い、旅行に行く友人間でレンタル費用を割り勘する、といった使われ方が増えているようだ。

 一方で、女性からの申し込みが増えるにつれて、レンティオでは「GoProを借りたいけれど、どれを借りたらいいか分からない」という問い合わせが増え始めた。そこで、女性利用者の増加に併せて、2017年3月からGoPro HERO5 Black、自撮り棒、microSDカード、防水用ケースをセットにした初心者セットの提供を始めた。初心者セットのレンタル料金は3泊4日で8480円。レンタルをする際の送料は往復で無料だ。既に1000件を超える利用実績があるが「そのほとんどが女性」(三輪氏)だ。

女性利用者の急増に併せて、「GoPro HERO5 Black」、カメラアーム、microSDカードをセットにした初心者セットのレンタルを始めた
女性利用者の急増に併せて、「GoPro HERO5 Black」、カメラアーム、microSDカードをセットにした初心者セットのレンタルを始めた
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 また、昨年までは貸し出し可能な台数が前機種の「GoPro HERO4」を含めて100台程度にとどまっていたが、この1年で3倍に増やした。レンティオは用意している台数をすべて貸出中の状況でさらに申し込みがあった場合に、追加で購入して貸し出している。そうすることで、過剰に在庫を持たないようにコントロールしてきた。つまり、貸し出せるGoProが3倍にまで拡大したことは、それだけ需要が拡大していることの証左に他ならない。現在も常に大半のGoProが貸出中となっており、順次、追加で購入をしている。

 従来、GoProシリーズはアウトドアレジャー好きが利用するニッチなカメラというイメージが強かった。それが、Instagramの流行によって顧客層に変化が生まれている。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)

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