疑似3次元映像でパブリックビューイングを進化させる

 訪日客のおもてなしとは少しずれるが、最後に紹介したいのが「イマーシブテレプレゼンス技術“Kirari!”」だ。これも難しい言葉が並んでいるが、単純にいうと3次元映像を活用して、あたかも目の前で試合が実際に行われているような高い臨場感を実現する技術だ。

 Kirari!を実現する技術は、背景と選手をリアルタイムに切り分けて伝送するといったものが中核。その実証実験も2016年5月の「Japan KABUKI Festival in Las Vegas 2016」で行っており、そのうちのひとつが遠隔舞台挨拶だった。ラスベガスで舞台挨拶に立った市川染五郎丈をリアルタイムに伝送し、羽田空港の会場に疑似3次元映像として表示。まるでその場で舞台挨拶が開かれているような映像が現れた。報道関係者との質疑応答も実施したという。

 Kirari!についても実証実験を引き続き進めていく。まずはフェンシングなど、選手の動く距離や範囲が限定されているものからスタートし、徐々に柔道などに広げていく計画。2020年までにサッカーなどの団体競技に対応できるかが注目されるところだ。

Kirari!の概念図。映像・音声を効率よく伝送するなど、たくさんの技術を使って実現する
Kirari!の概念図。映像・音声を効率よく伝送するなど、たくさんの技術を使って実現する
[画像のクリックで拡大表示]

人工知能の活用が必須

木下真吾氏
木下真吾氏
NTTサービスエボリューション研究所 2020エポックメイキングプロジェクト 主幹研究員 プロジェクトマネージャ・研究部長
[画像のクリックで拡大表示]

 ここまで、NTTグループの東京五輪への主な取り組みを紹介してきた。今後の課題として、NTTの2020エポックメイキングプロジェクト主幹研究員でプロジェクトマネージャ・研究部長の木下真吾氏は「もっとAI(人工知能)を活用すること」と話す。例えば、人流予測については、これまでのイベントから得られたデータをAIに学習させて、これとリアルタイムの混雑状況を組み合わせれば、予測精度のさらなる向上が期待できる。加えて、さまざまなサービスを直感的に利用できるようにするためにはAIを使った自然対話が不可欠なのは間違いない。

 今回紹介したおもてなしが4年後にどのくらい進化しているのか? NTTグループの取り組みに今後も注目していきたい。


(文/渡貫幹彦=日経トレンディネット)