ロボットによるチェックインは進化し続ける

 フロントに従業員を置かないというのは、効率化とコスト削減のために最初から決めていたという。実はフロント業務はホテルの中でもコストがかかる部分。ほぼ24時間常駐する人間が必要で、交代要員を考えるとかなりの従業員が必要になる。ここをロボットを使って自動化できればコスト削減に大きく貢献できると考えた。

 フロントをロボット化できたポイントは、現金を扱わないこと。宿泊客は、宿泊前に支払い手続きを済ませる事前決済を行っている。チェックアウト時の精算作業もないのでロボットでも対応可能になった。現金を扱わなければ経理担当を置く必要もなく、その分の人件費削減にもつながる。

フロントにはロボットが3体いる。チェックイン自体が一種のアトラクションのような感じだ
フロントにはロボットが3体いる。チェックイン自体が一種のアトラクションのような感じだ
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 フロントでのチェックインは、改良を重ねてオープン当初から大きく変わっている。最初は宿泊客がボタンを押すとロボットがガイダンスを話し、それに従ってチェックインを行う仕組みだった。

 「これではロボットとコミュニケーションを取っているとは言えず、ただ操作しているだけになってしまう。そこでボタン操作をなくし、複数のセンサーを使ってロボットとやり取りしている感じを演出することにしました」と大江氏。

 まずは人感センサー。宿泊客がフロントに近づいて来るのを感知し、ロボットがすぐさまウェルカムメッセージを話す。宿泊客が宿泊者カードを記入してポストに投函したこともセンサーが感知する。これによりボタン操作なしでも適切なタイミングでロボットが次のガイダンスをスタートできる。

 その後、宿泊者カードは、タブレットで記入する電子台帳に変更した。未来感を演出したロボットホテルなのに、紙の宿泊者カードに記入してもらうのはあり得ないと思ったのだという。

 現在は、音声認識を活用し、宿泊客が署名するだけでチェックインが完了するまでに進化している。宿泊客は事前に料金を支払っているので、名前や住所などの情報は予約時に分かっている。宿泊客がフロントでロボットに名前を言うと、名前などの情報がモニターに表示される。「内容に間違いがなければ署名だけしてもらうようにしました」(大江氏)。

 これでチェックイン時間が大幅に短縮できるようになった。一般のホテルだと数分かかるところが、ここでは20秒程度でチェックインできるという。

 ただ、音声認識は日本人のみの対応で、外国人客にはそのまま利用できなかった。その理由は、日本に住所のない外国人の宿泊客については、パスポートにある国籍と旅券番号を記録することが旅館業法によって定められていたためだ。当初は従業員が奥から出てきてパスポートのコピーを取っていたため、時間がかかっていた。

 そこでパスポートを読み取る機器を設置し、そこにかざすだけでコピーを取れるようにした。同時に名前を読み取り、予約情報と照らし合わせて間違っていなければ、署名するだけでチェックインできるようにした。

 「オープン当初はチェックインに4~5分かかっていましたが、今では日本人でも外国人でも20~30秒ほどでチェックインできるようになりました」(大江氏)。イライラさせられるチェックイン待ちの行列は、「変なホテル」にはほとんどないという。

 このほか、荷物を運ぶポーター、掃除などにもロボットが導入されている。宿泊客の反応は、オープン当初は厳しい意見もあったが、現在ではロボットによる未来感が楽しいなど、好意的な意見がほとんどだという。またロボットがメインの従業員なので、人間の従業員が宿泊客のプライバシーに関与する場面が少ない。そこを気に入っている宿泊客もいるという。

ルームキーの代わりに顔認証を使っている。宿泊客全員の顔を登録すれば、鍵を持っていなくてもいつでも出入りできる。顔のデータはチェックアウトと同時に消去される
ルームキーの代わりに顔認証を使っている。宿泊客全員の顔を登録すれば、鍵を持っていなくてもいつでも出入りできる。顔のデータはチェックアウトと同時に消去される
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