インヴァスト証券といえば、FX(外国為替証拠金取引)で有名な証券会社。そんな同社が7月24日に開始した「マネーハッチ」は、“元手資金ゼロからはじめる”をうたい文句にし、投資初心者でも手軽に始められる新サービスとして注目されている。

 「若者が将来のことを考えて資産運用をしたくても、結婚資金、教育資金と、先立つものが多く、貯蓄を投資に回す余裕がないのが現実。そこで元手資金ゼロから積立投資ができるマネーハッチをリリースした」と、インヴァスト証券の川路猛社長は語った。

 元手資金ゼロの意味は、投資をするための資金が手元にない状態から投資を始められるということだ。では、どこから投資の資金を持ってくるのか? その秘密は、マネーハッチの画面で、「積立原資を貯める」の項目を見るとお金の出どころが分かる。

 FX取引を行った際の利用額の一部などを投資に回すのだが、これはやや上級者向けサービス。投資初心者がうれしいのは、クレジットカード(インヴァストカード)でためたポイントを投資に回せること。まさに元手資金ゼロからスタートできるというわけだ。

投資に回すお金は、FX取引を行った際の利用額の一部などに加えて、インヴァストカードのキャッシュバック金額も積立される
投資に回すお金は、FX取引を行った際の利用額の一部などに加えて、インヴァストカードのキャッシュバック金額も積立される
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消えていく年7200円分のポイントを自動積立

 ポイントによる投資は、ジャックスと共同で開発した。対象となるインヴァストカードは、利用額の1%(月間利用代金100円ごとに1ポイント=1円)がキャッシュバックされる。このキャッシュバック金額が自動で積立投資に回る仕組みだ。

ポイントを積立投資に回せるインヴァストカード。会費は、初年度無料。次年度以降は1250円+消費税。ただし、前年度に会員あるいは家族会員が1回以上の利用実績があれば次年度年会費は無料となる
ポイントを積立投資に回せるインヴァストカード。会費は、初年度無料。次年度以降は1250円+消費税。ただし、前年度に会員あるいは家族会員が1回以上の利用実績があれば次年度年会費は無料となる
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 ジャックスのカード推進部・渡辺修一氏は、インヴァスト証券がマネーハッチを開始するにあたり、マクロミルに依頼した調査「クレジットカード保有者110名アンケート」の結果を見て驚いたという。

 「クレジットカードの選択では、ポイントサービスが1番の動機になっています。それなのに(アンケートの結果から)クレジットカードの利用者の3人に1人が、ポイントを失効している可能性があることが分かったのです」(渡辺氏)。

 一般的にクレジットカードの利用で付与されたポイントは、利用期限を過ぎると失効してしまう。ポイント交換の手続きを忘れて失効する人がかなりの数にのぼるということは、それだけマネーハッチの潜在市場が大きいと考えたのだ。

 ジャックスのデータによれば、ウェブ経由の入会者の月間利用額は平均で約6万円。ポイント還元率は1%なので、年間では7200ポイント(=7200円)のキャッシュバックがある。これだけの金額を失効している人が大勢いることになる。マネーハッチとインヴァストカードの組み合わせなら、ポイントは自動で投資に回されるので、失効の心配は無用だ。これはかなりのメリットと言えるだろう。

 また、インヴァストカードの場合、ポイント交換の最小単位は1ポイント。無駄なくすべてのポイントを積立に回せるのもうれしいところだ。

ETFにより少額で海外に自動投資

 マネーハッチでは、「リスク重視」「バランス重視」「リターン重視」の3種類から投資スタイルを選ぶだけで、後はお任せで投資を行ってくれる。投資先は主に海外のETF(上場投資信託)で、その際にインヴァスト証券のシステムを使った自動売買が行われる点が特徴だ。含み益が大きくなった場面では利益を確定しながら、再投資していくことで効率的な運用を目指している。

投資スタイルを選ぶだけで投資は自動で行われる
投資スタイルを選ぶだけで投資は自動で行われる
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 下図は、あくまで過去の運用実績をベースにしたシミュレーションだが、「バランス重視」の投資スタイルで、月1000円(カードの利用額では月10万円)を約10年前から積み立てたと仮定した場合の投資成績をグラフ化したもの。ここでは累計の原資は11万3000円だが、マネーハッチで運用することで17万264円になっていたことが分かる。

 グラフは過去の投資成績であり、今後も同じように伸びていく保証はどこにもない。また、積立金額が一定額を超えると、他の金融商品も選べるようになり、よりハイレバレッジな商品も選択可能になる。これによっても投資成績は変わる。もちろん、ハイリターン商品を選べば、それだけハイリスクになることは、心得ておくべきだろう。

10年前から月1000円を積み立てたと仮定した場合の10年間の投資成績。原資は11万3000円だが、運用の結果、約1.5倍の17万264円に増えている
10年前から月1000円を積み立てたと仮定した場合の10年間の投資成績。原資は11万3000円だが、運用の結果、約1.5倍の17万264円に増えている
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 運用の状況は、パソコンやスマホで確認ができる。口座の資産や積立金額、損益なども一目瞭然だ。新たに買付が行われた場合はメールが届くので、そのタイミングで運用状況をチェックするようにすれば、投資に対する興味もアップするはずだ。

積立状況、損益の状態などがパソコンやスマホでチェックできる
積立状況、損益の状態などがパソコンやスマホでチェックできる
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 マネーハッチは、クレジットカード会社とのコラボにより、放っておけば失効してしまうポイントを投資に回すという新発想のサービスを実現した。まさにフィンテックだからこそ提供できた現代のユニークな投資法と言えるだろう。

(文/久保田正伸)