ヒーローになるのではなく、自分自身がIPの世界に入る

 VR ZONE SHINJUKUには、近日中に追加される『攻殻機動隊』を含めて13のVRアトラクションがある。このうち6つがIPを使ったものだ。アトラクションで取り上げるIPを選ぶときは、世界に通用するIPであることと、現実の“自分”の実感と結び付けやすいことを条件にしたという。実感があるとVRでの体験がよりリアルに感じられるというのはVR ZONE Project i Canで得られた知見のひとつだ。

「たとえば変身ヒーローものはVRアトラクションにするのが難しい。VRの世界でいきなりヒーローになって敵をなぎ倒しても、何の感動もないんです。それでは、よくあるただのゲームになってしまう」(小山氏)

 小山氏が考えたのは、自分が自分のままIPの世界に入っていったらどうなるかを体験できるように作ることだった。たとえば「ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波」では、ドラゴンボールの世界に入ってかめはめ波を撃つ体験ができる。しかし利用者はあくまで一般人。孫悟空でもクリリンでもないので、ちゃんと撃てるようになるまで“修行”が必要だ。

「ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波」。ちゃんと撃てたときの爽快感は抜群
「ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波」。ちゃんと撃てたときの爽快感は抜群
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まず悟空やピッコロ、ベジータに“修行”をつけてもらう
まず悟空やピッコロ、ベジータに“修行”をつけてもらう
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「『ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波』では、しっかりと踏ん張って我慢して気を溜めて“かーめーはーめー波ァッツ!!”とまっすぐ正しく手を押し出さないとまともに撃てないし、狙った方向に飛びません。しかしちゃんと撃てれば、最大で直径7mぐらいのかめはめ波が出て、地面を削って遠くの岩を砕くような威力が出せます。するととても気持ちがいい。これは、最初にうまくできない体験があるから。結構疲れますが、期待通りにかめはめ波を撃てると爽快だし、『悟空たちはこんな大変な思いをしてかめはめ波を撃っていたんだ!』と、その大変さを実感できます」(小山氏)

かめはめ波の撃ち方を伝授してくれる小山氏
かめはめ波の撃ち方を伝授してくれる小山氏
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 自分が自分のままIPの世界に入ることで、そのIPの魅力を新たな形で実感できる。こうすることでお客さんに満足してもらえると同時に、 版権元の理解を得られるではないかと考えている。

 人気IPを使ったもの以外にも、人力飛行機で空を飛ぶ「極限度胸試し ハネチャリ」や、ルアーフィッシングができる「釣り VR GIJIESTA(ギジエスタ)」などのVRアトラクションがあるが、“実感すること”を重視したのはこれらも同様だ。

「『極限度胸試し ハネチャリ』はまず飛ぶシーンを作りましたが、飛ぶだけでは当たり前すぎてつまらなかった。だからスタートしたら、いきなり落ちるようにしました。『人間は飛べないんだ、落ちるんだ!』と最初に実感してもらうことで、飛ぶことがよりリアルに感じられます。飛ぶことに達成感が得られるし、落ちたらどうしようというスリルも生まれます」(小山氏)

「極限度胸試し ハネチャリ」は、スタートしたらいきなり落ちる衝撃体験が待っている
「極限度胸試し ハネチャリ」は、スタートしたらいきなり落ちる衝撃体験が待っている
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 「釣り VR GIJIESTA(ギジエスタ)」は、釣り具メーカーの社員やプロの釣り師などに監修してもらって徹底的にリアルさにこだわった。リアルさを追求した結果、実際にルアーフィッシングの上手い人ほどよく釣れるアトラクションになったという。スタートすると、まず渓谷の風景が周りに広がり、渓流の流れる音が聞こえてきて、自分が大自然の中にいるように感じられる。その感覚があるからだろう、魚が釣れたときに竿先に伝わってくる振動がとてもリアルなものに感じられる。

「釣り VR GIJIESTA(ギジエスタ)」では、HMDを装着している利用者の目の前には大自然が広がっている
「釣り VR GIJIESTA(ギジエスタ)」では、HMDを装着している利用者の目の前には大自然が広がっている
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実際のルアーフィッシングのように、竿の先を水面につけるようにしないとかかった魚が外れやすい
実際のルアーフィッシングのように、竿の先を水面につけるようにしないとかかった魚が外れやすい
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