アニメの世界を現実的に解釈する

 しかしアニメやゲームといった2次元の創作物の世界を現実的に解釈するのは独特の難しさがあった。特に苦労したのは、アニメやゲームから受けるイメージと、VRでその世界の中に入って体験することのギャップを埋めることだ。

 たとえばエヴァンゲリオンの場合、エヴァのサイズを決めるところから始まった。正確なサイズが設定されていなかったため、アニメではシーンによっていろんなサイズに見えるが、VRではそうはいかない。

「さらに、エヴァンゲリオンは操縦者の神経を接続して操縦するんですが、これを自分がエヴァンゲリオンと一体化して巨人になると解釈すると、VRで体験したときに自分がミニチュアの世界に入ったような状態になるでしょう。それではロボットを操縦している感じがしない」(小山氏)

 ファンや版権元はアニメで見てきたイメージを期待する。しかし、アニメやゲームで使われるデザインや映像をそのままVRで扱うと、見え方や動きに違和感を感じることが多い。VRで扱うためには新しい解釈が必要になる。

 創作物の世界を現実的に解釈するためのヒントはハリウッド映画にあった。『パシフィック・リム』や、スパイダーマンシリーズ、トランスフォーマーシリーズなどの映画が参考になっているという。

「そうした映画では、コミックに出てくるキャラクターが現実にいたらどんな動きをするのか、巨大ロボットならどう操縦してどう動くのか、そうしたところをしっかり考えて解釈して作られています。これが参考になりました」(小山氏)

 IPを扱う会社として勇気をもって一歩踏み出して新しい表現をするためには、版権元に納得してもらえる説明が必要だった。ただ最初は「アトラクションの内容を絵コンテで説明しても、あまり分かってもらえなかった。そこでとにかく作って実際に体験したもらったんです。すると版権元にも分かってもらえることが多かったですね」(小山氏)

「恐竜サバイバル体験 絶望ジャングル」開発にあたって小山氏が描いた絵コンテ。スタッフに伝えたいイメージが細かく書き込まれているが、なかなか伝わらないという
「恐竜サバイバル体験 絶望ジャングル」開発にあたって小山氏が描いた絵コンテ。スタッフに伝えたいイメージが細かく書き込まれているが、なかなか伝わらないという
[画像のクリックで拡大表示]

 VRの面白さを画像や文章で伝えるのはとても難しい。実際に体験してもらうのが一番というのは、開発段階でも同じだったようだ。