モバイルWi-Fiルーターと一緒に売れる

――今回のMateBookはマイクロソフトOfficeのプリインストールモデルが用意されています。前機種では用意されていませんでしたが、今回あらためて用意した理由はありますか。

呉氏: マイクロソフトOfficeのプリインストールは販売価格に反映されるため、社内でも議論がありました。ですが、日本のPCの多くはOfficeをプリインストールしています。また、Windowsを搭載したラップトップ型や2in1型のPCは、ビジネスパーソンにとっての必需品です。そういった経緯で、今回はマイクロソフトと相談してOfficeをプリインストールしています。

 もう1つの理由は、日本独自の販売モデルにあります。

 ファーウェイはモバイルWi-Fiルーターのメーカーとして、日本で10年近く連続でシェア1位を取っています。我々は現在、ソフトバンク(ワイモバイル含む)、au、ドコモ、UQモバイル、そしていま数が出ているMVNO事業者を通して販売しています。

日本のファーウェイは、2009年にイー・モバイル(現ワイモバイル)から発売されたPocket WiFi「D25HW」発売によってモバイルWi-Fiルーター市場を開拓した。これ以降、モバイルWi-Fiルーターのトップ企業として、写真のワイモバイル向け「603HW」ほか各社に数多くの製品を供給している
日本のファーウェイは、2009年にイー・モバイル(現ワイモバイル)から発売されたPocket WiFi「D25HW」発売によってモバイルWi-Fiルーター市場を開拓した。これ以降、モバイルWi-Fiルーターのトップ企業として、写真のワイモバイル向け「603HW」ほか各社に数多くの製品を供給している
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 今、家電量販店などで通信事業者が販売するモバイルWi-Fiルーターを購入して契約すると、パソコンなどを一緒に数万円分安く買える割引が提供されています。

 この割引を手にした人は、より高価格かつ高性能なPCを購入する傾向があります。というのも、PCはスマホと比べて買い替えまでの利用期間が長く、3年や5年のあいだ利用できるのかを考えて購入します。このさい、少々高くても最初からプリインストールモデルのほうが、PCとOfficeを別に買うよりもお得なので選ばれます。

 これは数少ないケースではなく、ありふれたケースなのですね。例えば、当社が日本で販売しているモバイルWi-Fiルーターの数と、日本のPCの販売台数はほぼ同じぐらいの規模があります。

――MateBookにLTE搭載モデルがなくWi-Fiモデルだけなのは、モバイルWi-Fiルーターとのセット販売がうまく機能しているからでしょうか。

呉氏: まさにその通りです。これはファーウェイならではの強みです。ただこれは製品の強みというよりも、日本の販売モデルの特徴によるものですね。

 日本には、多くのモバイルWi-Fiルーターの利用者がいます。特に東京に上京した若い人などは、日常で各地への移動が多いです。彼らにとっては、スマホやPC、タブレットをまとめてネットに接続できるモバイルWi-Fiルーターが便利なわけです。

 また、最近ではソフトバンクの「SoftBank Air」やauの「Speed Wi-Fi HOME」といった当社の製品を使って、自宅の高速接続をLTEで実現する製品も注目を集めています。

モバイル回線を自宅の固定回線の代わりとして使う、回線工事が不必要な据え置き型モバイルWi-Fiルーターも販売を拡大している。
モバイル回線を自宅の固定回線の代わりとして使う、回線工事が不必要な据え置き型モバイルWi-Fiルーターも販売を拡大している。
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ゲーミングPCにも関心がある

――ファーウェイはスマホとPCを手がけていますが、今後はその間のデバイスにも力をいれるのでしょうか。Chromebookや、最近だと、マイクロソフトが将来リリース予定のSnapdragonで動作可能なARM版Windows 10などもあります。または、既存PCメーカーのように、ゲーミングPCやクリエイターPCといったハイエンド製品に力を入れていくのでしょうか。

呉氏: 当社のPC戦略は、主にビジネスシーンの利用を重視しています。このため、PCからスマートフォンまで、同じターゲット層に向けた製品を投入していきます。

 ですが「ゲーミングPC」と呼ばれるメモリーやグラフィックを強化したハイエンド市場にも関心はあります。というのも、コンシューマー向けPCでは、15インチ以上の製品が一番売れているからです。

――ベルリンで発表された15.6型の「MateBook D」は日本で販売されないのでしょうか。

呉氏: 「MateBook D」は15.6型で画面占有率が83%と、同クラスではもっともコンパクトなスリムノートPCです。今後、ふさわしいタイミングがあれば投入したいと考えています。引き続きご注目をいただければと思います。

(文/島徹)