「誰の耳にも合うイヤホンは難しい」

 Just earの音づくりとXJE-MH1の音質カスタマイズを担当するのが、ソニービデオ&サウンドプロダクツの松尾氏だ。

 松尾氏はソニーのイヤホン「MDR-EX800ST」やヘッドホン「MDR-1R」など、数々の製品開発に音響設計担当として携わったエンジニア。また、製品開発のために耳型を採取する「耳型職人」でもあった。さらに、Just earの設立を中心になって進めた存在でもある。

 製品開発に明け暮れたエンジニア時代、松尾氏が感じていたのは「誰の耳にも合うヘッドホンやイヤホンを作るのは難しい」ということ。Just earはその課題を解決し、装着感も音質も両立させるために松尾氏が生み出したブランドといえる。

 キーワードとなるのは、冒頭にも登場した「テーラーメイド」だ。単純に耳型を取るだけのカスタムイヤホンの手法だけでなく、ユーザー1人1人に合わせたイヤホンを作ることを信条としている。「耳にまつわる全てのことをやりたい」というのが、松尾氏の考える最終目標だ。

ソニービデオ&サウンドプロダクツ Just earプロジェクト プロジェクトリーダー 松尾伴大氏
ソニービデオ&サウンドプロダクツ Just earプロジェクト プロジェクトリーダー 松尾伴大氏
[画像のクリックで拡大表示]

 XJE-MH1の音質カスタマイズでの音作りは独特で、購入者が松尾氏と1対1で作り上げていく手法を採用している。購入者の好みの曲を松尾氏が一緒に聞きながら、例えば「高音をもっと響かせたい」「ドラムの音を強くしたい」という購入者の要望に応えて、音の微調整を加えていく。

 このカスタムは非常に柔軟性が高く、例えば「好きなアーティストの声が最高に聞こえるようにしてほしい」といったアバウトなオーダーでもOK。高い技術を持つ松尾氏が直接対応するからこそ実現するカスタムで、これこそまさにテーラーメイドの強みといえるだろう。

ドライバーの位置も個人に合わせて調整

 ドライバーユニットは、中高音域用のバランスドアーマチュア型と低音域用のダイナミック型をそれぞれ1基ずつ搭載。音づくりにおいては、2種類のドライバーを組み合わせた「ハイブリッド音響構造」もポイントのひとつとなる。

 とくにダイナミック型はφ13.5mmの大型ドライバーを搭載しているのだが、高音質の実現には「ドライバーの配置が重要になる」(松尾氏)。

 ドライバーの位置決めで重要なカギを握るのは、Just earの耳型採取法とそれを担当する東京ヒアリングケアセンターの菅野氏の存在だ。菅野氏は型取りの際に特別な器具を使用するのだが、その理由は最適なドライバーの設置場所もあわせて確認するためだ。そして、ここで得たデータをもとにしてドライバー位置にも個々の微調整が加えられる。

 こういった細やかな対応をするからこそ、個人で耳の形が違っても装着感を損なうことなく大型ドライバーを搭載でき、最良のサウンドも楽しめるわけだ。ここにもテーラーメイドの強みが出ている。

今回、音質設定が「モニター」のサンプル機で試聴したが、クリアかつメリハリのあるサウンドはちょっと別世界の体験だった。サンプルでこのレベルなのに、これが自分仕様に調整されたら一体どんなことになってしまうのか。そう思うと、今すぐにでも欲しいと思わせる逸品だ
今回、音質設定が「モニター」のサンプル機で試聴したが、クリアかつメリハリのあるサウンドはちょっと別世界の体験だった。サンプルでこのレベルなのに、これが自分仕様に調整されたら一体どんなことになってしまうのか。そう思うと、今すぐにでも欲しいと思わせる逸品だ
[画像のクリックで拡大表示]
Just earの耳型採取を一手に担う東京ヒアリングケアセンターを運営するヴァーナル・ブラザーズの菅野聡氏
Just earの耳型採取を一手に担う東京ヒアリングケアセンターを運営するヴァーナル・ブラザーズの菅野聡氏
[画像のクリックで拡大表示]