外出しようとしたとき、「あれ、カギはどこに置いたっけ?」「スマホはどこだ?」と戸惑ってしまうのはよくあること。また、傘をどこかへ置き忘れてしまう人も少なくないだろう。

 大事なモノの置き場所を忘れたり、どこかで落としてしまったりするのは仕方のないことだが、いざ探してみるとなかなか見つからないのは困ったもの。そんなとき、モノ探しを手助けする便利ガジェットとして最近注目を集めているのが「スマートタグ」と呼ばれる製品だ。

 ソニーと投資ファンド「WiL」のジョイントベンチャーであるQrio(キュリオ)が現在、クラウドファンディングサイト「Makuake」で支援を募っている「Qrio Smart Tag(キュリオスマートタグ)」もそのひとつ。2016年9月に製品が出荷される予定だ。

Qrioのスマートタグ「Qrio Smart Tag」。一般販売予定価格4320円。クラウドファンディングなら3240円(税込み)の支援から購入可能
Qrioのスマートタグ「Qrio Smart Tag」。一般販売予定価格4320円。クラウドファンディングなら3240円(税込み)の支援から購入可能
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モノが見つからないときの強い味方

 スマートタグとは、Bluetoothを内蔵した小型のガジェットのことだ。スマホと連携することで、Bluetoothを経由してブザーを鳴らしたり、スマホのGPS機能を活用して位置情報を記録できる機能がある。

 この機能を使えば、スマートタグのありかをブザーで探せるほか、落とした場合にはその位置情報をスマホアプリ上のマップで確認できるようになる。そのため、スマートタグをカギやバッグ、傘などに付けておけば、忘れたときに位置が分かるというわけだ。

 また、スマホと接続状態にあれば、スマートタグのボタンを押してスマホを鳴らすこともできる。スマホが見当たらない場合でも、慌てることなく簡単に見つけられるのは非常に便利といえる。

ソニーのデザインチームが担当

 海外メーカーをはじめとして、スマートタグはすでにいくつか存在しており、機能的に見ればQrio Smart Tagもそれらと大きな違いはない。ブザーを鳴らしたりスマホのGPSで位置情報を確認したりできる点は共通だ。

 しかし、Qrio Smart Tagが他のスマートタグと大きく異なるのはそのデザイン性の高さと言える。デザインはソニーのデザインチームが担当していることもあり、いかにもガジェットといった感じの雰囲気がない。シンプルでポップな見た目がとてもオシャレで愛らしい。男女を問わず、誰でも思わず使ってみたくなるデザインだ。

「Qrio Smart Tag」は5色のカラーバリエーションを用意する。左からベビーピンク、ライトブルー、ライムイエロー、ネイビー、ブラック
「Qrio Smart Tag」は5色のカラーバリエーションを用意する。左からベビーピンク、ライトブルー、ライムイエロー、ネイビー、ブラック
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 実際、そのデザイン性も注目されたのか、Qrio Smart Tagのクラウドファンディングは、開始後1カ月とたたずに1200人を超える支援者から800万円以上を集めるなど、人気は高い。他のスマートタグ製品ではここまでの支援を得られなかったことをふまえれば、大きな関心を集めているのは一目瞭然だ。

 筆者自身もこのデザイン性に惹かれ、クラウドファンディング開始当日にさっそく1個購入を申し込んだ。少し前に傘を失くして大変な目にあったので、いまから到着が待ち遠しくて仕方がないくらいだ。

 そこで今回は、Qrio製品開発部の岩瀬優氏のコメントを織り交ぜつつ、誕生の経緯やデザインの秘密など、Qrio Smart Tagの魅力を深掘りしてみたい。

Makuakeの「Qrio Smart Tag」のページ
Makuakeの「Qrio Smart Tag」のページ
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「新しいスマートタグを作りたい」

 Qrioはこれまで、スマホでドアの鍵を開けられるスマートロック「Qrio Smart Lock(キュリオスマートロック)」を2015年11月に発売している。(レビュー記事はこちら→「ソニー系ベンチャーが作った『スマート鍵』は何がスゴい? スマートウォッチや手ぶらでの解錠が便利」)

スマートロック「Qrio Smart Lock」は、玄関などのドアに取り付けて使用する電子キー
スマートロック「Qrio Smart Lock」は、玄関などのドアに取り付けて使用する電子キー
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 今回のQrio Smart Tagの開発には、「Qrio Smart Lockで利用した消費電力が低いBluetooth Low Energy(BLE)チップを活用し、『スマホと連携する新しい何かを作れないか?』という考えが開発の発端にあった」(岩瀬氏)。

 そして、その案として挙がったのが、海外では既に市場ができつつあったスマートタグという製品だった。しかし、海外のスマートタグは価格が40ドル前後と割高で、身につけたいと思えるデザイン性の高い製品はなかった。

 「BLEチップを活用し、ソニーのデザインチームの力を借りることで、Qrioらしいスマートタグが作れるのでは」(岩瀬氏)。こうして、Qrio Smart Tagの開発は2015年6月にスタートした。

ストラップ部分は交換できる

 Qrio Smart Tagの魅力は、何と言ってもそのポップなデザインにある。このコンセプトは開発当初からあったもので、「女性や子どもが気軽に身につけられるようなデザインに」という岩瀬氏の要望のもと、女性用バッグなどにも似合うようなデザインとカラーがそろっている。

 ストラップ部分は交換できる設計になっており、手持ちのリボンなどを取り付けることも可能だ。ここもデザイン的にこだわった部分だ。「スマホのストラップホールのような穴だと、製品としての美観を損ねる」(岩瀬氏)ことから、サイズ感や強度の問題などをクリアした独特の仕組みにしている。

自分好みのストラップに付け替えれば、より愛着がわく
自分好みのストラップに付け替えれば、より愛着がわく
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 また、過度な装飾を施さず余白部分が多いのは、デザイン的なカスタマイズの余地を残すためだという。ロゴマークなどがプリントできるので、企業であれば販促グッズとして利用できるほか、施設などで使用するアイテムとしても活用できる。ラインストーンやシールなどで飾るのもありだ。

 そのほか、「若い女性だと、家にねじを回すドライバーがない人も多いはず」(岩瀬氏)という発想から、電池カバーを固定するねじをクレジットカードなどの四隅で開けられるよう設計されている。外出中に電池が切れても、速やかに電池を交換できるという観点からも便利だ。

厚さは約8.5mm。iPhone 6s Plus(右)と比較してもかなり薄くできていることが分かる
厚さは約8.5mm。iPhone 6s Plus(右)と比較してもかなり薄くできていることが分かる
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機能はシンプル、使い方は拡張できる

 機能のベースコンセプトにあるのは「シンプルさ」だ。「子どもやお年寄りなどでも簡単に使えて、すべての人が便利に感じる製品にしたい」(岩瀬氏)。そんな思いから、アプリも含めて多機能にすることなく、マニュアルを読まなくても使えるような簡単さを目指している。

 また、Qrio Smart Tagが備えるボタンは、スマホを鳴らす以外にもスマホカメラのリモコンとして利用することも可能。さらに、ボタンで利用できる機能は、アプリをアップデートすることで拡張できる仕組みになっている。

 ちなみに、アプリで機能が拡張することにより、探しものだけではなく、さまざまなシーンで活用できる可能性がある。Qrio Smart Lockを利用している筆者としては、ぜひともカギ代わりにQrio Smart Tagを使えることを望む限りである。

Qrio Smart Tagのボタンを押してスマホを鳴らせば、すき間に紛れ込んだスマホを簡単に探すことができる
Qrio Smart Tagのボタンを押してスマホを鳴らせば、すき間に紛れ込んだスマホを簡単に探すことができる
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スマホカメラのリモコンとして利用すれば、集合写真を撮るときなどに便利
スマホカメラのリモコンとして利用すれば、集合写真を撮るときなどに便利
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子どものバッグなどに取り付けておけば、迷子になったときでも安心だ
子どものバッグなどに取り付けておけば、迷子になったときでも安心だ
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ベンチャーと大企業のメリットが融合

 今回の開発について岩瀬氏は「Qrioのベンチャー企業としてのポジションが重要だった」という。

 スマートタグのように市場がまだ確立していない分野では、仮にそれが便利なアイテムだとわかっていても、大企業は手が出しづらい。一方、規模の小さいベンチャー企業ではビジネス面で融通がきいたとしても、機能的にもデザイン的に優れた製品を作り上げることは簡単ではない。

 つまり、Qrioは、ベンチャーの持つビジネス面のメリットと、大企業がもつデザイン力・開発力の両方を活用できるポジションにいるというわけだ。

 実際、Qrio Smart Tagの開発では、福岡県のある企業と新たに連携。その企業の技術力があったからこそ、Qrio Smart Tagのさらなる薄型化などが可能になった。ソニーのサポートを受けつつも、必要となれば新しい企業とすぐ連携できる小回りの良さは、ベンチャー企業ならではの良さといえよう。

 今回、話を聞いて分かったのは、Qrio Smart Tagがさまざまな可能性を秘めているということ。例えば、自転車に付けておけばどこに駐車したかわからなくなったときに便利だし、盗難にあった際にも役立ちそうだ。冒頭で1個購入したことは述べたが、これなら1個といわずに2個、3個あってもいいかもしれない。製品を手にした暁には、そういった使い方を模索してみたい。

(文/近藤 寿成=スプール)

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