無印はインスタとアプリが貢献

購入要因として企業のInstagram投稿が多かった企業<br>(※購入者50人未満の企業は除く)
購入要因として企業のInstagram投稿が多かった企業
(※購入者50人未満の企業は除く)

 消費行動スコア71.7で首位に立ったのは、良品計画の生活総合ブランド「無印良品」だ。良品計画は写真・動画に特化したSNS「Instagram」と、スマホ向けアプリ「MUJI passport」の活用が売り上げ増加に貢献した。右の表は本調査において、Instagramが購入に与えた影響の大きい企業だけを抜き出してランキングしたものだ。無印良品は購入要因メディアとして「その企業のInstagram投稿・広告」を挙げた人が多い企業ランキングで4位となっている。

 良品計画はこれまでも、ソーシャルメディアを積極的に活用してきた企業だ。Facebook、Twitter、LINEなど多くのサービスをマーケティングに取り入れている。その中でフォロワーが急速に伸びているのがInstagramだ。2015年度に開始したにもかかわらず、翌年度末にはフォロワー数がTwitterを抜いた。現在は68万人超が登録している。フォロワー数はまだFacebookページに劣るものの、投稿に対する「いいね!」やコメントといった反応を示す「エンゲージメント率はInstagramが最も高い」(川名常海WEB事業部長)傾向にあるという。

無印良品の公式Instagram
無印良品の公式Instagram
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 例えば、今年1月5日に投稿した、苺をフリーズドライにしてホワイトチョコレートをかけた菓子「不揃いホワイトチョコがけいちご」の写真は、いいね!数が1万1000件を超えるなど大きな反響を呼んだ。その結果、EC(電子商取引)サイトには国内外から大量の注文が舞い込んだ。このように、Instagramでの反響が売り上げにつながる例も出ている。

 ただし、良品計画は売り上げを増やそうと躍起になっているわけではない。同社はソーシャルメディアを活用する上で、「消費者同士の対話の場に企業が出向いている」(川名氏)という立場であることを念頭に置き、広告色の強い投稿は避けている。こうしたスタンスのため、販売促進を直接狙った投稿はしていない。だが、エンゲージメント率が高く反響が大きいということは、商品写真などもしっかりとフォロワーに訴求できていることになる。「きちんと商品がフォロワーに見られている。それが購入にも影響を与えているのではないか」と川名氏は見る。

 スマホ向けアプリ「MUJI passport」も重要なマーケティングチャネルになっている。ダウンロード件数が870万件を超え、年間のアクセスベースではMUJI passportがWebサイトを超える。ところが、ユニークユーザー数はWebサイトに遠く及ばない。MUJI passportは1人当たりの利用頻度が26回と、Webサイトの8倍以上になっているためだ。アプリには濃い顧客が集まっているため、顧客単価もアプリ非利用者の1.5倍となっている。

 こうした傾向が顕著になり始めたのは、アプリ上に無印良品に関するさまざまな情報を配信する「from MUJI」の提供を開始してからだ。アプリの提供開始時は、アプリを「会員カード」として利用できる機能や商品検索が主に使われていた。必要な時にしか使われないため、利用頻度はそれほど高くなかった。ここにfrom MUJIが加わったことで、「メディアとして使われるようになってきている印象がある」(川名氏)。

 from MUJIへの情報発信で強化しているのが、店舗ごとの独自の情報発信だ。無印良品では店舗で参加できるワークショップを店舗ごとに企画して開催している。例えば、「オリジナルマグカップ」の制作や、デザイナーの深澤直人さんを招いたトークショーなどだ。同社はこうしたワークショップの開催に当たり、必要な情報を店舗が登録すると、MUJI passport上で自店をお気に入り登録している利用者に告知できるという仕組みを用意した。こうしたイベントに参加するアプリ利用者の来店回数と購入金額はともに、イベント不参加者と比べて2倍になっている。

(文/小林 直樹、中村 勇介、降旗 淳平=いずれも日経デジタルマーケティング)