イケア・ジャパンが、オンラインストアを強化する。単価の安い食器類などを購入するための小口配送サービスを今夏から始める。これまでは大型家具などの購入を想定した配送料を設定していたが、雑貨などの小物を購入するのに便利な配送サービスも新たに追加して、オンライストアの利用を促進する。

 イケア・ジャパンのカスタマーエクスペリエンスマネージャー、ジェラード・ボス氏が明らかにした。イケアは17年4月にオンライストアを始めたが、配送料は一律3990円と高額。食器類など小口のものを購入したい人には使い勝手が悪かった。

 現在、店舗のサービスとして提供している小口配送サービス「手ぶらdeボックス」をベースにしたものになる見込み。商品1個から買うというよりも、小物のまとめ買いに便利なサービスになる。

 「手ぶらdeボックス」とは、店舗で購入した商品を、指定の段ボールに入れて配送してくれるサービスで、箱いっぱいまで(30kg未満)詰め込んでも配送エリア内であれば一律990円で届けてくれる。

「手ぶらdeボックス」のイメージ(イケアのWebサイトより)
「手ぶらdeボックス」のイメージ(イケアのWebサイトより)
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 すでに仙台店で、オンラインストアの小口配送サービスのテスト運用を1980円で開始している。これを今年の夏に全国の店舗に広げる計画だ。

 配送家具の組み立てもオプションで申し込めるようにする。店舗からの配送サービスで申し込める有料オプションを「オンラインストアの購入時に簡単に有料オプションとして指定できるようにする」(ボス氏)。

イケア・ジャパン カスタマーエクスペリエンスマネージャー、ジェラード・ボス氏
イケア・ジャパン カスタマーエクスペリエンスマネージャー、ジェラード・ボス氏
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売れ筋は大型の家具が中心。客単価は数倍に

 サービス拡充の背景には、順調に利用者が伸びていることもあるようだ。イケア・ジャパンのオンラインストアは、「待ち望む声が多かった」とボス氏。店舗に出向かないと商品を入手できなかったこれまでと比べると、イケアの利便性は確実に高くなった。また、ショールームで商品を見て、欲しいものを倉庫スペースから顧客自らが取り出して、持ち帰る“キャッシュ&キャリー”が特徴の同社が始めたネット通販としても話題となった。

 ただし、一般的なオンラインストアとはやや使い勝手が異なる。前述した通り、配送料は一律3990円。配送エリアが全国をカバーしていない点も注意が必要。実は、配送に関しては従来からある店舗の配送サービスを活用している。そのため配送エリアは店舗の近隣に限られるのだ。

イケアのオンラインストア
イケアのオンラインストア
イケアのオンラインストアで配送可能な地域(イケアのWebサイトより)
イケアのオンラインストアで配送可能な地域(イケアのWebサイトより)
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 オンラインストアの開設から約2カ月。ボス氏に現在の状況を聞くと、「顧客は30代~40代の女性が中心」とのこと。売れ筋商品を尋ねると、

・1位:野外ウッドフロア用のフローリング「RUNNEN フロアデッキ 屋外用, ブラウンステイン ブラウン」(2499円)
・2位:「KIVIK 3人掛けソファ」(5万5990円)
・3位:「SÖDERHAMN 3人掛けソファ」(6万6990円)

という回答があった。

 1位はベランダなどに敷き詰める夏の人気商品。数十枚をまとめて購入していると見られる。2位と3位は定番のソファ。単価が高く、一般的な乗用車では持ち帰りが難しい商品なので、配送料3990円に見合ったものと言えるだろう。

売り上げ1位の「RUNNEN フロアデッキ 屋外用, ブラウンステイン ブラウン」(2499円)
売り上げ1位の「RUNNEN フロアデッキ 屋外用, ブラウンステイン ブラウン」(2499円)
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2位の「KIVIK 3人掛けソファ」(5万5990円)
2位の「KIVIK 3人掛けソファ」(5万5990円)
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3位の「SÖDERHAMN  3人掛けソファ」(6万6990円)
3位の「SÖDERHAMN 3人掛けソファ」(6万6990円)
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 また、店舗での売れ筋商品は、「どうしてもグラスや皿などの単価の安い商品になるので、客単価はオンラインストアのほうが3~4倍高い」(ボス氏)という。オンラインストアでは、まとめ買いによる客単価の増加傾向もあるようで、1位のRUNNEN フロアデッキがまさにまとめ買いの対象となっている。

店舗とオンラインストアは役割が分担できる

イケア、オンラインストア強化。新配送サービスも開始(画像)
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 直近のデータでは、「(日本では)売り上げ全体の5%がオンラインストアでの売り上げとなっており、数年以内に約20%まで成長させたい」とボス氏。とはいえ、オンラインストアだけに注力することはないという。

 イケアは店舗を、商品の購入場所だけではなく“買い物”という体験をエンターテインメントとして提供する場所として捉えている。ショールームは博物館のように順路のある1本道となっており、その長さは「IKEATokyo-Bay」で約2kmにも達する。さらにスウェーデン料理が味わえるレストランや子供用の遊具施設など、家族連れが楽しめる工夫が随所にみられる。

 「店舗はリアル体験の場として、オンラインストアと役割が分担できる」とボス氏は強調した。

 2016年度(2015年9月1日より2016年8月31日)の売り上げがわずかながらマイナス成長となったイケア・ジャパン。今年秋には愛知県長久手市に国内9店舗目の「IKEA長久手」をオープンする。再び成長路線に戻れるかは、リアルとネットの次の一手にかかっているといえそうだ。

2017年秋には愛知県長久手市に国内9店舗目の「IKEA長久手」をオープンする予定
2017年秋には愛知県長久手市に国内9店舗目の「IKEA長久手」をオープンする予定
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(文・写真/シバタススム)

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