子ども一人ひとりに合わせた宿題を出せる

鈴木氏: 最後はお勉強の話です。さっき、宿題の採点が大変だったという話がありましたが、今までよりもっと宿題の学習効果を高くする仕組みが出てきたんです。小学2年生だと掛け算を勉強し始めるころですか?

嗣永さん: はい、ちょうど掛け算ですね。

鈴木氏: 掛け算とかが始まってくると、できる子とできない子の差が出てきますよね。普通の九九ができない子に、2桁の掛け算をやらせてもできない。そういうときに、子どもの習熟度に合わせて、ラクラクこなせるわけでもなく、全然できないわけでもない、ちょうど理解があやふやのゾーンに関する宿題だけを一人ひとりに合わせて出すという仕組みがあるんです。

嗣永さん: どうしてそんなことができるんですか?

鈴木氏: 解けたか解けなかったかのデータを全部記録しているからなんです。宿題の丸付けをコンピューターの仕組みを使いながらやることで、佐藤くんはどの問題が解けたのか、解けなかったのかを全部記録できます。記録すると、一番理解があやふやなゾーンが分かるので、十把一絡げじゃなくて、一番教育効果が高いところの宿題を出すことができるんです。この仕組みは日本の会社が提供しているんですけど、世界的に広く展開しようとしています。

 教育実習の時に、先生1人で30~40人の生徒を見るのは大変だと感じたことはありますか?

嗣永さん: 普段のライブだと、たとえ何千人のお客さんがいらっしゃっても、私が笑っているだけで笑っていただけたりするので、気持ちは楽にできるんです(笑)。でも、小学校だと私の教え方一つで、一生算数が嫌いになっちゃう子とかが出てくるかもしれない。そう思うと、30~40人の生徒それぞれにあった学習指導をしなくちゃならないので、結構大変なところはありますよね。

鈴木氏: そうですよね。でも、アイドルの方というのは、人を楽しませるエンターテイナーとしてのプロだと思うんですよね。

嗣永さん: なんか照れますね(笑)。

園児を検温、児童別の宿題を作成 ITで教育が変わる(画像)
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鈴木氏: 今や、データを集めたり分析するだけでは、競争に勝てないぐらいITが成熟しました。勝負のしどころは、人をその気にさせることや、人のふるまいを変えさせるような手練手管なんです。その手練手管みたいなものをアイドルの方だったり、全然違う業界の方から、どんどん学んで、自社のサービスに組み込んでいかないと、今までのままでは商売はうまくいかなくなってしまう――。これが「デジタル変革」で起こっていることです。

 もし嗣永さんが先生になられるのであれば、アイドル出身の初等教育の先生というのは、きっと史上初でしょう。ITをうまく使って雑用を減らし、いろんな楽しいことができるだろうと思います。

嗣永さん: ここに来るまでITとは何かもよく分かっていませんでしたが、意識が変わりました。私はまだ先生になると決めているわけではありませんが、大学のときの友達は、ほぼ先生になっています。保護者の方との連携が一番難しいと言っているので、それがITによって改善できたら、より良い教育業界になりそうだなと感じました。

(文/吉岡広統 写真/筒井誠己)