2017年6月1日、ソニーは「東京おもちゃショー2017」で新商品発表会を開催し、新機軸の体感型トイ・プラットフォーム「toio(トイオ)」(2017年12月1日発売、市場推定価格は2万円)を発表した。

 toioは、スマートウォッチ「wena wrist」や電子ペーパーを使ったリモコン「HUIS」、デザインを自由に変更できる腕時計「FES Watch」などと同様に、同社の新規事業創出プログラム(Seed Acceleration Program:通称SAP)を通じて生まれた製品だ。

 ソニーSAPのECサイト「First Flight」では6月1日から先行予約販売をスタートしている。ここではすでに、お得な初回限定版だけでなく、通常版の一部も完売するほどの注目を浴びている。

すでに完売も ソニーの「2万円おもちゃ」は何がスゴい?(画像)
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ソニーのトイ・プラットフォーム「toio(トイオ)」。2017年12月1日発売予定で価格は2万円前後。なお、遊ぶためには対応タイトルが別途必要になる
First Flightサイトでの先行予約販売は2017年6月30日まで。対応タイトルなどを組み合わせた初回限定「全部セット」(2万5855円)/「基本セット」(2万1557円)や通常版「全部セット」(3万3415円)/「基本セット」(2万9117円)などをラインアップし、11月下旬の出荷を予定する
First Flightサイトでの先行予約販売は2017年6月30日まで。対応タイトルなどを組み合わせた初回限定「全部セット」(2万5855円)/「基本セット」(2万1557円)や通常版「全部セット」(3万3415円)/「基本セット」(2万9117円)などをラインアップし、11月下旬の出荷を予定する
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パソコン不要で遊べるおもちゃ

 toioは、それ単体で遊ぶというよりは、他の玩具や工作などと組み合わせることで遊びの幅を広げられるハイテクおもちゃ。子どもの創意工夫次第でいろいろな楽しみ方ができるため、ジャンルとしては「知育玩具」に近いといえる。

 基本構成は、本体の「toioコンソール」に加えて、モーターを内蔵する「toioコア キューブ」と、キューブをユーザーが操作できるコントローラー「toioリング」が2台ずつセット。さらに、別売りの対応タイトルに付属する「カートリッジ」がキーアイテムとなる。カートリッジにはキューブの動きを自動制御するプログラムが入っており、このカートリッジをコンソールに挿すことで、2台のキューブが連動して動いたり、お互いを認識しつつも別々に独立して動いたりできるようになる。

toioコンソールの中央にカートリッジを挿し込む。また、左右のくぼみにキューブをはめ込むと充電される
toioコンソールの中央にカートリッジを挿し込む。また、左右のくぼみにキューブをはめ込むと充電される
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リング型のコントローラーには、上下左右に動くジョグと操作ボタンを搭載。加速度センサーを内蔵し、振ってキューブを操作することもできる
リング型のコントローラーには、上下左右に動くジョグと操作ボタンを搭載。加速度センサーを内蔵し、振ってキューブを操作することもできる
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 他の玩具や工作を組み合わせる知育玩具という点では、ソニーからはすでにロボット・プログラミング学習キット「KOOV(クーブ)」や、ブロック形状の電子タグ「MESH(メッシュ)」などが発売されている。

 ただ、この2つとtoioが大きく違うのは、動きを制御するプログラムを自分で作る必要がないということ。プログラムはカートリッジで提供されるため自由度こそ多少の制限は受けるが、パソコンやタブレット端末などは必要なく、子どもだけでも簡単に遊べる点はシンプルで分かりやすい。

ポイントは「絶対位置センサー」

 発表会でプロジェクトリーダーの田中章愛氏は、toioの特徴を3つ挙げた。

 1つ目は「体感型トイ・プラットフォームならではの遊び方」。自分の作った物をキューブに載せるだけで動かせるようになり、ゲーム性を追加することも可能。さらに、直感的な仕組みからカスタマイズしやすい点にも触れ、「『工夫する心に火が付く』という価値を提供していきたい」と田中氏は説明する。

ソニー 新規事業プラットフォーム 新規事業創出部 統括課長 田中章愛氏
ソニー 新規事業プラットフォーム 新規事業創出部 統括課長 田中章愛氏
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 2つ目は、1つ目に挙げた遊び方を実現するための「ソニー独自の技術&デバイス開発」。とくに、キューブに搭載された「絶対位置センサー」はtoio開発のブレークスルーにもなったという技術で、2台のキューブの位置や方向を一瞬で高精度に認識できるほか、互いの位置関係もリアルタイムに把握できるという。

 この絶対位置センサーと高性能モーターによって多彩な動きを実現している。例えば2台のキューブを自動で追いかけっこさせたり、磁石のように引き寄せあったり反発しあったりする動きの再現もできるそうだ。これに加えて、片手で直感的に操作できる独自開発のリング型コントローラーが、さらなる動きと遊び方を広げてくれる。

絶対位置センサーの詳細は明かされなかったが、大まかな仕組みとしては、マットや紙に施された特殊印刷をキューブに搭載する光学センサーで読み取って位置や向きを把握しているとのこと。そのため、通常のテーブルなどでは認識できない
絶対位置センサーの詳細は明かされなかったが、大まかな仕組みとしては、マットや紙に施された特殊印刷をキューブに搭載する光学センサーで読み取って位置や向きを把握しているとのこと。そのため、通常のテーブルなどでは認識できない
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キューブの動きは、対応タイトルに付属する本などの特定部分にキューブを置くと、対応した動きを設定できる
キューブの動きは、対応タイトルに付属する本などの特定部分にキューブを置くと、対応した動きを設定できる
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リング型コントローラーを使えば、ロボコンのようなロボット相撲も楽しめる。しかも、操作ボタンで回転攻撃や突きのような短距離の前進移動もできるほか、キューブに内蔵される加速度センサーによって倒れると自動的に勝敗を判定するなど、かなり本格的に遊べる
リング型コントローラーを使えば、ロボコンのようなロボット相撲も楽しめる。しかも、操作ボタンで回転攻撃や突きのような短距離の前進移動もできるほか、キューブに内蔵される加速度センサーによって倒れると自動的に勝敗を判定するなど、かなり本格的に遊べる
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 3つ目は「対応タイトルの広がり」。toioはトイ・プラットフォームという立ち位置からあくまでも「楽しみの幅を広げる黒子役」で、「さまざまな企業やクリエーターとコラボすることで今後新しいタイトルを増やしていく」というのが田中氏の考えだ。

 今回は対応タイトルとして、ソニーが提供する基本ゲーム集「トイオ・コレクション」と、ピタゴラスイッチで有名なクリエーティブグループ「EUPHRATES(ユーフラテス)」が監修した工作ブック「工作生物ゲズンロイド」の2つが発表された。さらに、パートナー企業としてすでに決まっているバンダイやソニーミュージックとはコンテンツの企画・開発などが、LEGOとはレゴブロックを組み合わせたバンドル商品の計画などが進んでいるそうだ。

対応タイトルのひとつ「工作生物ゲズンロイド」は、簡単な工作と動きの選択で、キューブを生命体のように動かせるコンテンツ。カートリッジやマット、作り方ブックとともに、目玉の工作キットなども付属する
対応タイトルのひとつ「工作生物ゲズンロイド」は、簡単な工作と動きの選択で、キューブを生命体のように動かせるコンテンツ。カートリッジやマット、作り方ブックとともに、目玉の工作キットなども付属する
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ヒットのカギとなるのは……

 今回発表された点だけを見ても、toioはそのシンプルな見た目とは裏腹に、かなり高度な技術やノウハウが詰め込まれていることが分かる。加えて、提供される対応タイトルやコラボする企業などによってさまざまな方向に世界観を広げられるため、子どもだけでなく大人も欲しくなるような商品にもなり得ると感じた。 

 レゴブロックを自由に動かせるだけでも、かなりの物欲を刺激するはず。ロボット相撲にしても、大人だって確実に熱中して遊んでしまうことだろう。そういった意味では、12月の発売以降にどれだけ魅力的なコンテンツを用意できるかが、大きなポイントになりそうだ。

 また、現時点では子ども向けということでシンプルな製品となっているが、将来的にキューブの動きを制御するカートリッジのプログラムを自作したり共有したりできるようになれば、より高度な学習にも利用できる。また、活用の幅も遊びだけにとどまらなくなるだろう。そういった点から見ても将来性は高く、今後の展開や発展が楽しみな製品だと感じた。

(文/近藤 寿成=スプール)