若宮さんからアプリ作りを頼まれたが、あえて自分で作らせた仕掛け人の狙い

 そんな若宮さんに大きな変化をもたらしたのがプログラミングだ。81歳だった今年の2月、自身で制作したiPhone用アプリ「hinadan」(ひな壇)がアップルの審査を見事に通過。App Storeで公開されるやいなや、「81歳のおばあちゃんが作ったアプリ」として大きな話題を呼んだ。画面に現れるひな人形を正しい位置に配置するというシンプルな内容ながら、App Storeでのアプリの評価は大半が満点の星5つで占められている。

App Storeで公開されている「hinadan」。アプリは高評価が付けられているのが分かる
App Storeで公開されている「hinadan」。アプリは高評価が付けられているのが分かる
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起動直後に表示されるゲーム内容や操作の解説画面。美しい声での解説も流れる
起動直後に表示されるゲーム内容や操作の解説画面。美しい声での解説も流れる
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中央に散らばるひな人形をひな壇の正しい位置に配置するという内容だが、知識のない若い人にとってはとても難しい。時間制限やゲームオーバーの概念は省いた
中央に散らばるひな人形をひな壇の正しい位置に配置するという内容だが、知識のない若い人にとってはとても難しい。時間制限やゲームオーバーの概念は省いた
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正しく配置できると人形が大きく表示され、達成感が得られる
正しく配置できると人形が大きく表示され、達成感が得られる
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 若宮さんが81歳にしてアプリを開発しようと思ったきっかけは、「シニアが楽しめるアプリがなかったから」と即答する。「若い人が好むゲームアプリは多いが、シニアには難しすぎて楽しめない」という不満を以前から感じており、それならばパソコンが得意な自分で作ろうと思ったという。

若宮さんがアプリ開発に挑戦することになったきっかけ。アップルのプログラミング言語「Swift」の登場で、ハードルが少し低くなったと語る
若宮さんがアプリ開発に挑戦することになったきっかけ。アップルのプログラミング言語「Swift」の登場で、ハードルが少し低くなったと語る
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 だが、若宮さんはHTMLを使ったWebページ制作の経験はあるものの、プログラミングの経験はまったくなかった。ゲームを作ると決めたとはいえ、どのような内容にするかも決められず、悩んでいたそう。そこに助っ人として現れたのが、東日本大震災のボランティア活動で知り合った小泉勝志郎氏。スマホアプリの開発やプログラミング教育を手がけるテセラクトの代表で、hinadanリリースの仕掛け人となったキーマンだ。

hinadanリリースの仕掛け人として活躍した小泉勝志郎氏(左)
hinadanリリースの仕掛け人として活躍した小泉勝志郎氏(左)
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 「シニアが若い人たちに勝てるゲームを作りたい」と訴える若宮さんと小泉氏が意見交換をした末に導き出したゲームの内容が「ひな祭り」だった。それを踏まえてhinadanのベースとなるゲームの仕様書を協力してまとめ、「この内容でゲームを作ってほしい」と小泉氏に依頼した。

若宮さんが小泉氏とともに仕上げたhinadanのベースとなるゲームの仕様書。アプリで忠実に再現されたのが分かる
若宮さんが小泉氏とともに仕上げたhinadanのベースとなるゲームの仕様書。アプリで忠実に再現されたのが分かる
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 職業柄、プログラミングは朝飯前の小泉氏だけに、自身が手がければすぐ形にできる。だが、「僕がプログラムを書くのはたやすいが、たとえ僕が作っても注目はされない。マーちゃん(若宮さん)がアプリを作ったとなれば絶対に話題になる!」と考え、若宮さん自身がプログラミングして開発することを薦めたのだった。