ドラマCDやラジオドラマのようなコンテンツも
会員数の伸びをけん引するもう一つの要因が、コンテンツの質・量の充実だ。当初の品ぞろえはビジネス書が中心だったが、現在は小説やエッセイを含め、幅広いジャンルをカバー。一人で朗読している作品もあれば、ドラマCDやラジオドラマのように複数人のキャストがキャラクターを演じる作品もあり、多様な表現が取り入れられている。著者のコメントなどの特典音源を含め、本にはない魅力を加えられる強みもある。
こうしたコンテンツの拡充が奏功し、FeBeでは、声優ファンや文芸好きの女性、高齢者など新たなユーザーを獲得できたという。「当初は8:2だったユーザーの男女構成比は現在、およそ7:3になっている」(上田氏)。ラジオなどでオーディオブックの存在を知った高齢者から「パソコンやスマホを持っていないが、どうしても聴きたい」という問い合わせを受け、ファックスで受注して銀行振り込みで代金を受け取り、スタッフが音源をCDに焼いて発送したこともある。サービス化はしていないが、ユーザーサポートの範囲内で、電子機器が苦手な人の利用を助けているという。
ファングッズとしてのニーズも開拓
また、オーディオブックのダウンロード権という本来は形のないものをあえてカードにして、新たな市場も開拓した。カードごとに二次元コードとシリアルナンバーを付与し、スマホなどでコードを読み取れば該当のオーディオブックがダウンロードできるというもので、「OTOCA(オトカ)」の名称で展開中だ。
従来はCDをセットにしていた教材本やビジネス書などに、CDの代わりにOTOCAを同梱したり、アニメやゲームとコラボしたオーディオブックのOTOCAをキャラクターをあしらったデザインで売りだしたりしている。「今は、CDプレーヤーやCDドライブ付きのパソコンを持っていない人も多い。スマホなどにその場でダウンロードできるOTOCAのニーズは高い」と上田氏は話す。
物販との相性もいい。今年3月に開催された人気ゲーム「グランブルーファンタジー」のイベントでグッズとOTOCAのセットを販売したところ、用意した全量が売れるなど、ファングッズとしての可能性を示した。