手をふさがないので“ながら聴き”しやすい

 オーディオブックの利用者数が伸びている要因の一つには、スマホの普及でオーディオブックを気軽に持ち出せるようになったことがあるようだ。以前はパソコンなどにダウンロードしてオーディオプレーヤーに移さなければならなかったが、スマホならダウンロードしてそのまま聴ける。上田氏は「他のことをしながらでも聴けるのは大きい」と話す。本を持ったりページをめくったりするのに手を使わないので、電車移動中や入浴中、ランニング中、出かける前に身じたくをしながら、あるいはスマホでゲームをしながらなど、“ながら聴き”を楽しめるのが強みだ。

 最近のユーザーアンケートでは、子育て中の母親の利用が増えていることが分かったという。「お母さんが本を開いていると、子供が寂しがって邪魔をすることがあるそうで、本が好きなのに読めずにいたお母さんから『オーディオブックならスピーカーで再生しながら子供と遊べる』と喜んでもらえた」(上田氏)。

オトバンク会長の上田渉氏。お薦めのオーディオブックは『クリスマスのフロスト』(R・D・ウィングフィールド著)と『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン著)
オトバンク会長の上田渉氏。お薦めのオーディオブックは『クリスマスのフロスト』(R・D・ウィングフィールド著)と『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン著)
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 FeBeでは、倍速バージョンのオーディオブックも聴ける。再生速度は0.5~4倍に対応しているのが特徴だ。「2倍速ならほとんどの人が訓練なしで聞き取れる。3倍速でも5分ほど聴いていれば耳が慣れる」(上田氏)。例えば、ビジネス書なら通常4~5時間かかるところを2時間程度で再生できるので、手軽に短時間で本の内容を頭に入れるのに適している。

 さらに上田氏は心理的な障壁の低さも指摘する。「本を読むのが能動的な行為なのに対し、オーディオブックは再生すると耳に流れ込んでくる。いわば受動的な読書が可能になる」。それによって、本に対するハードルが下がるのでは、というのだ。例えば、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』は配信開始直後から売れ行き好調だ。「有名だが難解そうな本にも、オーディオブックでなら接してみようというユーザー心理が感じられる」(上田氏)。