運転免許のないセールスドライバーが登場!?

 このような配達日時の通知や変更をスムーズにするための取り組みに加えて、ヤマト運輸が進めているのが「宅配便受け取りロッカー」の整備だ。宅配便受け取りロッカーは駅などに設置されており、荷物の受け取り先として指定できる。受け取れる時間が24時間、あるいは始発から終電までと長いので、「最寄り駅や乗換駅にあれば、コンビニや会社で受け取るよりも便利」と思う人もいるだろう。現在はまだ300カ所に設置されているだけだが、今年度中に3000まで増やす目標という。

受け取り場所に宅配便受け取りロッカーを指定すれば、帰宅途中で荷物を受け取れる。運営しているのは、ヤマト運輸が出資するパックシティジャパン。ヤマト運輸専用ではなく、佐川急便などとの共同利用(画像提供/ヤマト運輸)
受け取り場所に宅配便受け取りロッカーを指定すれば、帰宅途中で荷物を受け取れる。運営しているのは、ヤマト運輸が出資するパックシティジャパン。ヤマト運輸専用ではなく、佐川急便などとの共同利用(画像提供/ヤマト運輸)
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 クロネコメンバーズでは、宅急便の受け取り先として、コンビニやヤマト運輸の営業所の他、勤務先なども指定できる。それでも宅配便受け取りロッカーのニーズがあるのは、勤務先によっては荷物の受け取りが禁止されていたり、生活動線上にコンビニがなかったりするケースも少なくないからだという。例えば、最寄り駅から自宅まではバスを利用しているケースでは、コンビニよりも駅で受け取れたほうがありがたい。実際、電車の乗り換え駅で改札を出たときに受け取って、そのまま帰宅するという使い方をしている人もいるとのこと。

 さらに、将来を見据えた取り組みとして、4月から神奈川県藤沢市で実用実験を行っている「ロボネコヤマト」も興味深い。ロボネコヤマトは、宅配便受け取りロッカーを搭載した自動運転車が対象エリアを走る。利用者がスマホから荷物を受け取る場所と時間を指定すると、その時間に自動運転車が到着。利用者は事前にメールで送られてきた暗証番号を使ってロッカーを開け、荷物を受け取るというものだ。これによって、従来は2時間単位だった配達時間の指定を、10分単位にすることを目指しているという。

ロボネコヤマトの自動運転の配達車両。中には宅配便受け取りロッカーと同様のロッカーがある(ヤマト運輸の動画より)
ロボネコヤマトの自動運転の配達車両。中には宅配便受け取りロッカーと同様のロッカーがある(ヤマト運輸の動画より)
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利用者は地図から受け取り場所を選択する(ヤマト運輸の動画より)
利用者は地図から受け取り場所を選択する(ヤマト運輸の動画より)
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受け取る時間は10分単位で選べる(ヤマト運輸の動画より)
受け取る時間は10分単位で選べる(ヤマト運輸の動画より)
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配達車両が受け取り場所に近づいてくると、携帯電話に電話が掛かる。到着したら、利用者はあらかじめ設定した暗証番号などを入力し、自分でロッカーを開けて荷物を受け取る(ヤマト運輸の動画より)
配達車両が受け取り場所に近づいてくると、携帯電話に電話が掛かる。到着したら、利用者はあらかじめ設定した暗証番号などを入力し、自分でロッカーを開けて荷物を受け取る(ヤマト運輸の動画より)
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 自動運転による宅配は無人なので、早朝や深夜など、コンビニやヤマト運輸の営業所の営業時間外でも荷物を受け取れるようになるかもしれない。また、現状は車の運転ができないとセールスドライバーにはなれないが、運転免許がなくても接客専用のスタッフとして働けるようになる可能性もある。「セールスドライバーは運転時以外は接客。接客が得意な人材を生かす道を開けるかもしれない」(ヤマト運輸広報)。

 宅配便受け取りロッカーも、ロボネコヤマトも、その根底にはニーズ対応を最優先してきたヤマト運輸の考え方がある。宅急便は40年以上前に始まったサービスだが、当時と現在では利用者のライフスタイル、ニーズも全く違う。増える荷物と変わる利用者ニーズの両方に応えるため、ヤマト運輸は新しいテクノロジーも取り入れて試行錯誤を続けている。

(取材・文/堀井塚高)

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