ユーザーに受け入れられるには何が必要か

 とはいうものの、これまでの取り組みを見ると、スマートフォンと周辺機器を合体させる取り組みが、すんなり受け入れられるかはまだ未知数だ。

 例えば昨年話題となった、マイクロソフトのスマートフォン向けOS「Windows 10 Mobile」。このOSは先に紹介したSamsung DeXのように、スマートフォンを専用の機器に接続することで、デスクトップPCのように利用できる「Continuum」という機能が搭載されており、これが特徴の1つとなっていた。

 だが、スマートフォン側に一定の性能がないとContinuumに対応できなかったため、対応機種がなかなかそろわなかったことや、有線での接続ができなかったため十分なパフォーマンスを発揮できない機種が多かったことなどから、ほとんど使われていないのが実情だ。最近ではコンシューマー向けのWindows 10 Mobile搭載機種自体が投入されなくなってきており、注目度も薄れつつある。

Windows 10 Mobileにも、スマートフォンを専用のドックなどに接続してパソコンのように活用できる「Continuum」が搭載されているが、広く普及するには至っていない
Windows 10 Mobileにも、スマートフォンを専用のドックなどに接続してパソコンのように活用できる「Continuum」が搭載されているが、広く普及するには至っていない
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 また、昨年LGエレクトロニクスが海外で販売したフラッグシップモデル「G5」(日本未発売)は、バッテリー部分に専用のモジュールを装着することで、Moto Zのようにカメラや音楽再生の性能を高めたりできるなど、機能拡張できることを大きな特徴として売り出していた。ところが、着脱の際にバッテリーを一度外す必要があり、手間がかかることなどから支持が得られず、今年発売された「G6」(日本での発売は未定)にはこのコンセプトが引き継がれていない。

ロボットやPCに変身!?スマホ進化のカギを握る“合体”(画像)
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ロボットやPCに変身!?スマホ進化のカギを握る“合体”(画像)
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本体下部に専用のモジュールを装着して機能を拡張できるLGの「G5」。だが着脱の手間などから人気を獲得するには至らなかった

 こうした先行事例からも、ユーザーに周辺機器を使ってもらうためには、コンセプトだけが先行してもうまくいかず、ユーザーが欲しい機能をいかにシンプルな形で実現するかが重要だということが見えてくる。一方でそうしたハードルを乗り越え、周辺機器で新しさを実現しながらも、十分なユーザーメリットをもたらしつつある事例として、サムスンの「Gear VR」に代表される、スマートフォンを装着して仮想現実(VR)コンテンツが楽しめるゴーグルの存在が挙げられるだろう。

サムスンの「Gear VR」に代表される、スマートフォンを装着して利用するVRゴーグルは、スマートフォンと周辺機器との合体で新しい価値を生み出した好例といえる
サムスンの「Gear VR」に代表される、スマートフォンを装着して利用するVRゴーグルは、スマートフォンと周辺機器との合体で新しい価値を生み出した好例といえる
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 進化の限界が見えたスマートフォンの可能性を広げる現実的な選択肢として、周辺機器との“合体”による新しい価値の実現は、今後一層注目されるのではないだろうか。さまざまなメーカーが積極的に取り組み、新たな“合体”の姿を見せてくれることに期待したい。

(写真・文/佐野正弘)