オーナーとドライバーは“顔見知り”が多い

 今回、Anycaについて話を聞いて意外だったのは、「オーナーとドライバーは顔見知りの場合が多い」ということだ。

 理由は2つ。1つ目は、自宅近くでクルマを借りるドライバーが多いから。当然ながら徒歩圏内のほうがクルマの受け渡しをしやすい。2つ目は、同じオーナーからのほうが借りやすいから。安心感もあるが、先述のようにAnycaでは6カ月、9カ月、12カ月のいずれかでオーナーと共同使用契約を結び、期間内に再び借りれば、その契約が自動更新される。同じオーナーから借りておけば、契約を新たに結ぶ手間が省ける。

Anycaのアプリではまず住所などを入力し、周辺のクルマを抽出するようになっている
Anycaのアプリではまず住所などを入力し、周辺のクルマを抽出するようになっている
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 「中には、同じオーナーから毎週末クルマを借りるドライバーもいる。信頼関係ができたら、スペアキーを預けてしまうオーナーもいる」と大見氏。それなら直接やりとりすればいいのではとも思うが、大見氏は「隣人や顔見知り同士でも、サービスを間に挟むことで、かえって気兼ねなく貸し借りできるようだ。万一のトラブルでも顔をつきあわせて交渉する必要がないし、お金のやりとりもクレジット決済で済む」と解説する。

 このため、今後はオーナーが身近な人にAnycaを薦めやすくするサービスも拡充する。クルマが空いているときに、オーナーがなじみのドライバーに「クルマを借りませんか」と呼びかけるプッシュ通知機能や、知人にクルマを貸してほしいと頼まれたときにAnycaを介してほしいと伝えるためのチラシやパンフレットなどを検討中だ。

 個人間カーシェアリングサービスは、企業による同種のサービスよりもコミュニティーの要素が強い。大見氏は「私もオーナーで、近所のドライバーに何度かクルマを貸しました。するとそのドライバーから『気に入ったので同じ車種を買った』という連絡をもらいました。ちょっとうれしかったですね」と笑う。会員の中には、他の会員とクルマ好きの“仲間”同士のやりとりを楽しんでいる人もいるようだ。個人間カーシェアリングサービスには、クルマの貸し借りにとどまらないソーシャルネットワークとしての側面もあるのかもしれない。

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(文/平野亜矢=日経トレンディネット)