課題は3社協調による意思決定の遅れ

 「+メッセージ」が利用率を「LINE」並みに高めるには、多くの課題があるのも事実だ。最初の課題は利用可能な通信事業者であり、「+メッセージ」はサービス開始当初、携帯大手3社のメインブランドのスマートフォンおよびタブレットでしか利用できない。MVNO(仮想移動体通信事業者)で利用するための準備はまだ整っておらず、MVNO側などの要望を聞きながら検討を進めていくようだ。

 また、世界標準規格のRCSを用いているとはいえ、「+メッセージ」では海外の通信事業者のスマートフォンとメッセージのやり取りができないという。そうした問題は、インターネットを経由するメッセンジャーアプリには起こり得ないものだけに、ユーザーの利便性を高めるためにも、主導する携帯大手3社にはいち早い対応が求められる。

 もう1つ、大きなハードルとなっているのが「iPhone」だ。iPhoneで「+メッセージ」を利用するには、専用アプリをダウンロードする必要があるのだが、実はiPhoneユーザー同士であれば、既に標準アプリの「メッセージ(iMessage)」で、電話番号によるコミュニケーション機能が実現されており、画像やスタンプも利用できるのだ。「+メッセージ」としては、「iMessage」にはない魅力や特徴を伝えていくことも求められるだろう。

 さらに、将来的に大きな課題となりそうなのは、携帯大手3社で「+メッセージ」アプリを管理するという体制である。携帯大手3社は過去、SMSの相互接続や各社で異なる絵文字の共通化などに取り組んできた経緯がある。それだけに「+メッセージ」では、3社が手を組んで開発を進める必要があったというのは理解できる。だがそれは、各社が独自の方針を打ち出せないことの裏返しであり、意思決定の遅れ、ひいてはサービスの停滞にもつながりかねない。

「+メッセージ」は携帯大手3社が共同で取り組んだものだが、各社の利害によって意思決定が遅れてしまう可能性がある
「+メッセージ」は携帯大手3社が共同で取り組んだものだが、各社の利害によって意思決定が遅れてしまう可能性がある
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 先述したように「+メッセージ」をビジネスに利用する動きが本格化した際、各社の利害がサービスの展開に大きく影響してくるのは想像に難くない。3社がいかに協調しながら迅速なサービスを提供できるかが、ユーザーの支持を得る上で大きく問われることとなりそうだ。

(文/佐野正弘)