BOSEから、肩に乗せるタイプのワイヤレススピーカー「SoundWear Companion Speaker」(以下SoundWear)が発売された。Bluetoothでスマートフォンなどと接続して音楽を聴いたり通話に使うもので、耳をふさがずに耳元で鳴る迫力ある音を楽しめる。耳をふさがないので外の音が聞こえることや、イヤホンにありがちな耳が蒸れるようなことがないのが特徴だ。

BOSEの肩乗せワイヤレススピーカー「SoundWear Companion Speaker」
BOSEの肩乗せワイヤレススピーカー「SoundWear Companion Speaker」
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肩にかけて音楽を聴いたり、ハンズフリー通話や音声アシスタントの利用などができる。これはカバーを被せた状態
肩にかけて音楽を聴いたり、ハンズフリー通話や音声アシスタントの利用などができる。これはカバーを被せた状態
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 こうした肩に乗せるワイヤレススピーカーとしては、JBLも「SOUNDGEAR」を発売予定だ。先行しているのはソニーで、昨年10月に発売した「SRS-WS1」は今年3月初旬に放送されたテレビ番組をきっかけに話題になり、4月に入っても品切れが続くほどのヒット商品になっている。SRS-WS1はBluetooth接続ではなく、付属の専用ワイヤレスユニットをテレビなどに取り付けてその音声を飛ばし、ワイヤレスで聞くための機器だ。有線接続で聞くこともできる。

 内部にバイブレーターがあり、重低音が鳴ったときに本体がブルブルと震えて低音を体感できる機能が特徴で、映像の世界により深くのめり込める。本機がテレビ番組で紹介された際に視聴者が最も興味をそそられたのは、おそらくこの“振動するワイヤレススピーカー”という部分だろう。

テレビをきっかけに売り切れが続出している、ソニーが昨年秋に発売した「SRS-WS1」
テレビをきっかけに売り切れが続出している、ソニーが昨年秋に発売した「SRS-WS1」
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SRS-WS1はテレビを迫力ある音で楽しむのに最適
SRS-WS1はテレビを迫力ある音で楽しむのに最適
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 これらの製品は、想定している用途は少し違うが、肩に乗せて使うスピーカーという点は同じだ。キッチンで料理や洗い物をしながら、あるいは部屋の掃除など家事をしながら、または読書やガーデニングなど趣味を楽しみながらといった“ながら聴き”でテレビの音や音楽が聴ける。

 BOSEとソニーの製品を通じて、こうしたウエアラブルスピーカーがこれから“来る”のか、ひとつのジャンルとして定着していくのか、未来像を考察してみたい。

ウエアラブルスピーカーのメリット・デメリット

 ウエアラブルスピーカーのメリットは、まずイヤホンやヘッドホンのように耳を覆わないので開放感があることだ。音を聞きながら周囲と会話したり、コミュニケーションを取れる。

 そして部屋置きタイプのスピーカーに比べて耳に近い位置で音が鳴るので、大きな音を出さなくても没入感が得られる。夜間のリスニングにも向いているだろう。SoundWearの場合、柔軟なシリコン素材で体に違和感なくフィットするため、没入感がさらに増す。駆動時間は12時間と長いため、バッテリー切れをあまり心配せずに長時間身に着けていられる。

保護用にカバーが付属する。オプションで他の色のカバーもあり、着せ替えが楽しめる
保護用にカバーが付属する。オプションで他の色のカバーもあり、着せ替えが楽しめる
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ふたつのスピーカーユニットを上向きに配置。独自のウェーブガイドで低音を増強して出力する
ふたつのスピーカーユニットを上向きに配置。独自のウェーブガイドで低音を増強して出力する
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本体は柔軟なシリコン素材でできている。多少力を入れて曲げても大丈夫
本体は柔軟なシリコン素材でできている。多少力を入れて曲げても大丈夫
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シリコン素材は若干透けていて、光にかざすと内部のフレームが見える
シリコン素材は若干透けていて、光にかざすと内部のフレームが見える
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内蔵バッテリーで最大12時間駆動する
内蔵バッテリーで最大12時間駆動する
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 ただしデメリットもいくつかある。聴いている音は周囲に漏れるので、外出先で使うのには不向きだ。室内でも周りにいる人と一緒に楽しめるほど大音量を鳴らせるわけではなく、1人で使うためのデバイスだ。また筆者はそれほど気にならなかったが、人によっては肩が凝るので長時間身に着けていたくないということもあるだろう。

SoundWearはスマートスピーカーのような機器だった

 SoundWearで注目すべきは、Bluetoothでペアリングしたモバイル機器の音声アシスタントが呼び出せることだ。

 本体右側のボリュームボタンの真ん中にある「マルチファンクションボタン」を長押しすると、ペアリングされているモバイル端末の音声アシスタントが起動する。Android端末ならGoogleアシスタント、iOS端末ならSiriだ。どちらもモバイル端末で音声アシスタントを直接起動した場合と同じことができる。

右側側面に設けたマルチファンクションボタンを長押しすると、ペアリングされているスマホの音声アシスタントが起動する
右側側面に設けたマルチファンクションボタンを長押しすると、ペアリングされているスマホの音声アシスタントが起動する
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 SoundWearをAndroidスマホに接続して、Googleアシスタント機能を試してみた。ボタンを押すとスピーカーが軽く振動して、1~2秒でボイスアシスタントが起動する。スマートスピーカーほど俊敏な反応ではないが、起動したら天気やニュースを聞いたり、Spotifyで音楽を検索して再生したりできる。

Androidスマホにつないで、GoogleアシスタントにSpotifyからの音楽再生をリクエスト。アシスタントが起動してからの反応はなかなか素早い
Androidスマホにつないで、GoogleアシスタントにSpotifyからの音楽再生をリクエスト。アシスタントが起動してからの反応はなかなか素早い
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 次にiPhone XとペアリングしてSiriを呼び出してみた。こちらは本体の振動後に1~2秒でSiriが起動して、音声入力できる状態になるまでさらに1~2秒かかる。音楽再生ではApple Music以外のサービスと連携できないなど、使い勝手はGoogleアシスタントよりやや劣るが、おおむね同じことができる。

 音声アシスタントの操作に慣れてくると、たとえば身に着けてキッチンで料理をしながらハンズフリー通話ができたりして便利に感じた。料理のレシピを検索すると、スマホやタブレットの画面に結果が表示されるだけで音声で読み上げてはくれないが、キッチンのカウンターにタブレットを置いて検索結果を見られるようにすれば、SoundWearとの連係プレーでスマートディスプレイ的な使い方ができるかもしれない。

スピーカーはどこまでウエアラブルになる?

 BOSEには、SoundWearをベースにした「ウエアラブルタイプのスマートスピーカー」にチャレンジしてほしいと思う。常時スタンバイのマイクを内蔵し、スマホを介さずにホームネットワークに直接接続してクラウドのAIアシスタントとつながれば、家の中で移動しながらスマートスピーカーと同様の機能を利用できる。音楽配信サービスと組み合わせるなどして音楽を楽しむときの自由度も一段と高まるだろう。キッチンやお風呂場で使えるように、防水機能も欲しい。

 もっとコンパクトなウエアラブルスピーカーにも期待したい。BOSEはサングラスにスピーカーを内蔵したようなウエアラブルデバイス「Bose AR」のコンセプトを発表しているが、こうしたデバイスがあればこれまでにない新しいオーディオ体験ができるだろう。

BOSEがコンセプトを発表した、サングラスタイプのオーディオデバイス「Bose AR」
BOSEがコンセプトを発表した、サングラスタイプのオーディオデバイス「Bose AR」
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 カチューシャやイヤリングといった女性向けアクセサリーにもスピーカーやスマート機能を載せると面白いかもしれない。これに近いことを実現しているのが、ソニーモバイルの開放型構造の完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo」だ。イヤーピースで耳をふさがない構造で、まさしく“耳に乗せるスピーカー”のようなリスニング感が得られる。身に着けて音楽を再生しながら、周りの人と会話を楽しんだりコミュニケーションができるデバイスとして注目だ。ソニー独自のAIアシスタントや、LINE Clovaなどの各種音声アシスタントも利用できる。

ソニーモバイルの「Xperia Ear Duo」は、注目の開放型&音声アシスタント対応ワイヤレスヘッドセットだ
ソニーモバイルの「Xperia Ear Duo」は、注目の開放型&音声アシスタント対応ワイヤレスヘッドセットだ
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 BOSEのSoundWearを使ってみて、ウエアラブルタイプのワイヤレススピーカーは没入感の高いエンターテインメントを実現できるだけでなく、音声アシスタントやコミュニケーション機能と高い親和性を持ったデバイスであるということを強く実感した。もし今後グーグルやアップル、アマゾンなどの大手企業が参入してきたら、ウエアラブルスピーカーは一気にブレイクするのではないだろうか。

(文/山本敦)