「ホームルーター」と言われてピンとこない人も多いかもしれない。いわゆる無線LAN(Wi-Fi)ルーターと同じ役割を果たす機器で、Wi-Fiを使ってスマートフォンやパソコンなどをインターネットに接続するために使う。無線LANルーターと異なるのは、インターネットへの接続にWiMAXや4G(LTE)回線などの無線通信を使う点だ。モバイルWi-Fiルーターの据え置きバージョンとも言い換えられるだろう。

 そのホームルーターが現在売れ行き好調だ。少しITに詳しい方なら家の中でもスマホのテザリング機能やモバイルWi-Fiルーターを使えば済む話にも思えるのだが――。

 家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」の調べによると、データ通信端末市場では、2017年の1月から据え置き型の比率が徐々に高まっており、ここ数カ月はほぼ半数を占めるまでに拡大。縮小傾向にあった市況の回復を支えているという。

データ通信端末市場は2016年にかけては縮小傾向にあったが、17年に入ると一転して回復に向かい、ここ1年近くの指数は100前後で推移している(「BCNランキング」調べ)
データ通信端末市場は2016年にかけては縮小傾向にあったが、17年に入ると一転して回復に向かい、ここ1年近くの指数は100前後で推移している(「BCNランキング」調べ)
タイプ別の内訳をみると、2017年1月から据え置き型の比率が徐々に高まり、直近の数カ月はほぼ半数を占めるまでに拡大した(「BCNランキング」調べ)
タイプ別の内訳をみると、2017年1月から据え置き型の比率が徐々に高まり、直近の数カ月はほぼ半数を占めるまでに拡大した(「BCNランキング」調べ)

メインユーザーはおひとりさまや転勤族?

 ホームルーターのメインターゲットは、自宅に光回線などのブロードバンド(高速な常時接続回線)がない、もしくは今あるブロードバンドに費用などの面で不満を持っているユーザーが考えられる。また、ブロードバンドの一つである「ADSL」サービスが終息に向かっているため、その代替として選択されるケースもあるようだ。

 上記のいずれのケースでも光回線という選択肢が一般的だが、コストがかかる上に契約や回線工事が面倒という声も少なくない。特に一人暮らしの学生や転勤が多い社会人は「卒業後は引っ越しする予定なのに、固定回線の契約をしたくない」「転勤の度にいちいち回線工事をしていてはお金も時間もムダ」といった事情がある。加えて、一人暮らしの女性の場合は「工事とはいえ男性が部屋に入るのはイヤ」という人もいるという。

 一方、ホームルーターの場合は回線工事が不要。本体を購入して、通信会社と契約すればすぐに使える。つまりスマホの契約程度の手間しかかからないわけだ。

 導入が簡単なこと以外にもホームルーターにはいくつかのメリットがある。

 一番大きいのは電源がバッテリーではないことかもしれない。外でも家でも同じ機器を使っていれば当然バッテリーを繰り返し充電することになり、バッテリーの劣化が早まる。また、利用者によっては有線LANを搭載しているのも利点になるだろう。無線LANに対応していない古いデスクトップPC、DVDレコーダー、ネットワークカメラなども接続できる。

回線はWiMAXとLTE格安SIMの2種類から選べる

 ホームルーターを購入するときのポイントは、インターネットとの接続方法。大きく分けて2種類あり、WiMAXか4G(LTE)から選ぶことになる。

 WiMAXの代表製品は、ファーウェイの「Speed Wi-Fi HOME L01s」。WiMAX 2+の4×4MIMO CA通信を搭載しており、速度は下り最大440Mbps(理論値)。無線LANはIEEE802.11a/n/ac(5GHz帯)、11b/g/n(2.4GHz帯)が使え、2.4GHz/5GHzの同時利用が可能だ。有線LANポートが2つあるのもポイント。またNFCリーダーを備えており、対応端末とタッチするだけで接続設定が完了する。外観は高さ180mm、直径93mmの円筒形で、重さは約450g。設置面積が小さいのもうれしいところだ。

 月額料金は通信事業者によって少し異なるが、容量無制限という選択肢があるのが魅力。例えばUQコミュニケーションズで利用した場合、容量無制限のプランは月額4380円。上限7GBで3696円というプランもあるが、価格差を考えると容量無制限のほうがお薦めだ。取材時点では本体を2800円で同時購入できるプランも用意されていた。

ファーウェイ「Speed Wi-Fi HOME L01s」
ファーウェイ「Speed Wi-Fi HOME L01s」
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 4G(LTE)の代表製品は、NECプラットフォームズ「Aterm HT100LN(SW)」。通信速度は下り150Mbps(理論値)。無線LANはIEEE802.11a/n/ac(5GHz帯)、11b/g/n(2.4GHz帯)対応だが、2.4GHzと5GHzは切り替え式の排他利用となっている。有線LANポートは1つだ。

 機能面では、指定された機器が接続されるとアプリやメールで知らせる「Wi-Fi接続通知機能」を備えており、子どもの帰宅の確認や高齢者の見守りなどに応用できそうだ。機器との接続については、無料の専用アプリを使ったアシスト機能を提供する。サイズは130mm四方と小型で、重さは200gと軽いので、出張中にホテルに持ち込んで接続といった使い方にも向く。

 月額料金はMVNO(仮想移動体通信事業者)によって異なるが、データ通信だけの契約で済むことからランニングコストは格安スマホよりも安い。もちろん、WiMAXよりも低コストだ。インターネットイニシアティブの「IIJmio」を例にすると、上限3GBのプランが月額900円、6GBのプランが1520円、12GBは2560円となっている。このほかAterms HT100LNの機種代金650円(24回分割支払いの場合)を上乗せするセットプランも選べる。

NECプラットフォームズ「Aterms HT100LN(SW)」
NECプラットフォームズ「Aterms HT100LN(SW)」
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 WiMAXにするか4G(LTE)にするかは、速度とデータ通信容量が決め手だ。通信速度を優先し、データ使用量が多いならWiMAX。休みの日には対戦ゲーム三昧という人には容量無制限プランを選べるのが心強い。一方、データ使用量が限られており、通信速度もあまり重要ではないというなら、基本料金の安い4G(LTE)がいいだろう。パソコンでメールのやり取りやWebを閲覧するぐらいの使い方なら、費用を極力抑えられるはずだ。

(文/片田貴之)