視聴スタイルの変化に合わせたアイデアは見られず

 今回の取材では時間の都合で映画(Film)に関するものはあまり取材ができなかったが、例年通り話題の作品の先行試写会がいくつか行われ、今年は「攻殻機動隊」が話題となっていた。元々ハリウッド映画よりも、ショートムービーやストリーミング向けの作品が注目を集めるSXSWでは、Vimeoが専用のシアターを設け、YouTubeも出展していたが、そこで何か目新しい提案は特に見られなかった。巨大な展示会場なので見落としがあったのかもしれないが、ここ数年でユーザーの映像視聴スタイルが大きく変化しているものの、それにあわせた新しいコンテンツがまだそろっていないというのが全体に対する感想だ。

YouTubeは前半に来場者のコミュニティスペースを提供、後半はライブハウスを出展していた。写真は前半の展示スペース
YouTubeは前半に来場者のコミュニティスペースを提供、後半はライブハウスを出展していた。写真は前半の展示スペース
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 そういう意味では、SXSWは最先端というよりは、やはり「今」を捉えるイベントであることがあらためて分かった。SXSWで見て、体験したものを次のイノベーションを生み出す糧にするため、まずは自身がイベントを楽しむことが大事なのだ。来年はどのようなイベントへと進化するのか注目したいところである。

(文・写真/野々下裕子)

野々下裕子
フリーランス・ライター・ジャーナリスト
神戸市在住。デジタル業界を中心に国内外のイベント取材やインタビュー記事の執筆を行う。掲載媒体「WIRED Japan」「CNET Japan」「DIME」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。