リクルートエリアにAppleとAmazonが参加

 近年、SXSWの注目度が世界中で高まっている理由は、毎回時代のトレンドをうまくキャッチアップし、幅広いジャンルからの参加を受け入れているためだろう。通常、ITテクノロジーイベントに音楽プロデューサーや映画監督が参加する機会は少なく、そうした業界を越えた参加者から新鮮な意見が得られる可能性が高い。アイデアスケッチやプロトタイプの段階での出展が多いのも、商品化の前に率直な意見を得るのが目的だからだ。

 今年は、SXSW全体を通じてヘルスケアや国際性、ジェンダーというトピックが目立っていた。この背景にあるのがトランプ政権の誕生だ。オバマケアの見直しなどに新しいビジネスチャンスを見出そうとする動きはもちろん、参加者同士でこうしたトピックについてイノベーティブなアイデアを出し合おうとするのが、SXSWスタイルなのだ。

トランプ政権の影響が垣間見えたSXSW2017(画像)
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トランプ政権の影響が垣間見えたSXSW2017(画像)
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Trade Showでは「HEALTH PAVILION」コーナーがあり、多数のヘルスケア関連会社が出展していた

 トランプ政権が目指す内需拡大の影響もあったように思う。「Job Market」という、有料バッジの購入者以外でも自由に入れるリクルートエリアが数年前から開催されているが、今年はコンベンションセンターの1階という目立つ場所で大規模に設けられていた。スペースも例年より広く、いつも参加する地元企業や大学に加えてAppleやAmazonまでが出展しており、SXSWに対して企業からの期待値が高まっていることがうかがえた。

Job Marketに参加したApple
Job Marketに参加したApple
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 主要カテゴリーである音楽、映画、インタラクティブでは、最先端というよりあえて“今”を捉えた話題を取り入れている。例えば、カンファレスや展示ではまだまだVR(仮想現実)やAR(拡張現実)に関連するものが多く、しかもHMD(ヘッドマウントディスプレイ)といったデバイスではなく、コンテンツの展示会が行われていた。この点は毎年1月に開催されるコンシューマー向け家電見本市「CES」とうまく役割の分担ができているのかもしれない。

トランプ政権の影響が垣間見えたSXSW2017(画像)
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VR関連の展示はとても多かった。VRで楽器を演奏するChroma Coda社の「The Music Room」や、現地時間3月8日にGear VR向けのアプリ「facebook 360」を発表したばかりのFacebookの展示が目を引いた。このほかVR制作関連の企業などの出展もあった

 また、最近は国ごとの展示が増えていたが、今年はカナダのオンタリオ州など、地方行政レベルの出展も目立った。日本からも神戸市が、同市で開催されるイベント「078(ゼロ・ナナ・ハチ:神戸市の市外局番)のプロモーションのために出展しており、今後、地方行政レベルの出展が増える可能性は高いだろう。

トランプ政権の影響が垣間見えたSXSW2017(画像)
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トランプ政権の影響が垣間見えたSXSW2017(画像)
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国や地方行政レベルでの出展は今後も増加しそうだ

このほかTrade Showなどで注目されていた展示を写真で紹介しよう。

Interactive Innovation Awardsで「BEST OF SHOW」に選出されたSensel社の「The Sensel Morph」。ラバー製のカバーを交換するだけで、PCやタブレットに接続したデバイスがキーボードになったり、ピアノになったりする
Interactive Innovation Awardsで「BEST OF SHOW」に選出されたSensel社の「The Sensel Morph」。ラバー製のカバーを交換するだけで、PCやタブレットに接続したデバイスがキーボードになったり、ピアノになったりする
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SENTIO社の「Superbook」。アンドロイドのスマホを大画面かつキーボード付きで使うためのデバイス。アンドロイドのスマホをラップトップ代わりに使える。価格が139ドルと非常に安いのも魅力。最近のスマホは高性能なので、これがあればPCは不要になるかも?
SENTIO社の「Superbook」。アンドロイドのスマホを大画面かつキーボード付きで使うためのデバイス。アンドロイドのスマホをラップトップ代わりに使える。価格が139ドルと非常に安いのも魅力。最近のスマホは高性能なので、これがあればPCは不要になるかも?
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Googleの「Tilt Brush」は、VRを使って空間に絵が描ける。写真は利用者がゴ-グル越しに見ている実際の画面。Tilt Brushは、Interactive Innovation Awardsの「VR/AR」部門で大賞を受賞した
Googleの「Tilt Brush」は、VRを使って空間に絵が描ける。写真は利用者がゴ-グル越しに見ている実際の画面。Tilt Brushは、Interactive Innovation Awardsの「VR/AR」部門で大賞を受賞した
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足を使うゲームコントローラー3DRubber社の「3dRudder Foot Controller」。VRゲームを扱うのに有効という。国内ではアスクが代理店となり販売中だ
足を使うゲームコントローラー3DRubber社の「3dRudder Foot Controller」。VRゲームを扱うのに有効という。国内ではアスクが代理店となり販売中だ
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小さくてキュートな3Dプリンター、M3D社の「M3D The Micro」。価格は249ドルからとなっている
小さくてキュートな3Dプリンター、M3D社の「M3D The Micro」。価格は249ドルからとなっている
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子ども向けの電子工作を行うワークショップも開催されていた
子ども向けの電子工作を行うワークショップも開催されていた
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 本記事を執筆している現在、インタラクティブのカテゴリーは一旦終了し、後半に入って映画の試写会やミュージシャンのライブ、ゲームエキスポといった、エンターテインメント要素の強いお祭りイベントへと雰囲気を大きく変化させている。同じイベントなのに前半と後半では全く異なる雰囲気になるのもSXSWの魅力のひとつであり、後半の話題についてはまた別の記事でご紹介する。

ライブイベントの様子
ライブイベントの様子
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音楽と映画が始まると夜のオースティンも盛り上がる!
音楽と映画が始まると夜のオースティンも盛り上がる!
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(文・写真/野々下裕子)