次世代を感じさせる新技術の発信がなかった

 日ごろからカメラや写真を趣味にしているファンにとって満足感の高かったCP+だが、「ワールドプレミアショー」とうたっている割にCP+で初お披露目となった新製品がとても少なかったのは気になる。特に、この手の展示会で目玉となる参考出品や未発表製品、新しい技術の展示がほとんどなく、ワクワク感に欠けたという声もある。

 2016年は9月にフォトキナが開催され、それに合わせて各社が高性能のミラーレス一眼やデジタル一眼レフを多数発表したこともあり、今年のCP+は“弾切れ”で新製品が少なくなることはある程度予想されていた。だが、参考出品や未発表製品、目新しい新技術がほとんどない状況は、名だたるカメラメーカーのお膝元である日本から最新の技術や製品を世界に発信するという位置づけのイベントとしては、いささか物足りないのではないだろうか。

 すべての家電製品をインターネットにつなげようとするIoT時代を迎えたにもかかわらず、ほとんどのデジカメはネットにつながることなくスタンドアローンで使われている。撮影した成果物がインターネットと親和性の高いデータで生み出されるにもかかわらず、そのままメモリーカードに保存して終わりと、フィルム時代と何ら変わらない旧態依然としたスタイルを継承しているわけだ。この状況から一歩踏み出し、スマホやネットを併用することでデジカメにこれまでなかった機能や利便性が生まれますよ、といった新たな提案が今年のCP+で見たかった。

 幸いなことに、処理性能がパソコン並みに高く、高速通信回線で常時インターネットと結ばれているスマホを誰もが持つ時代になり、デジカメとWi-Fiで連携させればすぐにネット接続の環境は整う。撮影後の写真を即座にクラウドに送ってAIを利用した高度な処理をバックグランドで進め、被写体認識による高精度な自動補正の実行や自動分類、失敗写真の削除予約などができる「ミライのカメラ」がそう遠くないうちにお目見えしてもよさそうなものだ。

 この1年ほど、「カメラまわりの新しい話題はスマホにやられっぱなし」という印象を受ける。「スマホのカメラはデジカメよりも画質が劣る」とスマホをライバル視して競うのではなく、スマホの機能や装備をしたたかに利用してデジカメをもっと便利にしてやる!ぐらいの心意気を見せてほしかった。

(文/磯 修=日経トレンディネット)

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