業界が持つ蓄積された経験をキャッチアップ中

――最後に、CESA理事として振り返ると、この1年はいかがでしたか。

田中氏:  CESA会員企業のみなさまの動きを見ていると、家庭用ゲームと携帯ゲームの垣根が本当になくなってきたな、と思います。特にモバイルの収益が伸びてくることで、スマートフォンゲームの環境を、ユーザーや世の中に向けて整えていかなければならない、というタイミングになってきたと実感しています。モバイルゲームが世の中に受け入れられる素地を作っていくのが、CESAとしての目標のひとつだと思っています。

 その中で、僕が担当しているのが啓発活動です。CESA内部で検討して作ってきた業界のルールというものを、世の中に理解してもらえるように働きかけをしています。ゲーム業界に向けた啓発であったり、PTAの方に説明したり、ということを担当しているんです。例えば、ガチャ問題についてもそうですし、ゲーム会社の資金決済法にまつわる問題もそうです。

 これだけ数多くのモバイルゲーム会社がありますが、資金決済法をきちんと理解できている会社はどのくらいあるのだろうか、と思っています。CESAとして考えた結論やルールについて、会員企業に広く周知徹底していきたいと思います。

 自分がインターネット業界で働き始めたので強く思うのですが、良くも悪くもインターネット関連会社は、ルールが何もないところで起業して、イノベーションを起こしてきました。基本的に自由だし、なんでも自己解決しようというモチベーションで仕事をしています。しかし、自由だから何をやってもいいというわけではありません。適切な自主規制とか、ルールに則って成長する業界に変貌しつつあると思っています。

 例えば自動車業界のルールをよく知らない会社が、自動運転車を作って自動車業界に参入したとすれば、いろいろな問題を起こすことは想像できます。しかし、自動運転というイノベーションは、そうした新しい会社が先に実現できるだけのパワーがあるのも事実です。

 われわれも同じで、CESAという団体に入ってみて、さまざまな関係者、官公庁、PTA、会員企業の姿が見えてきて、世の中の成り立ちを理解し始めているところです。そういう情報って、誰かが教えてくれるわけではないじゃないですか。インターネット関連の企業は若い人材が多いので、業界が持つ蓄積された経験やノウハウを理解する機会がないんですね。だからと言って、知らなかったでは済まされないので、ものすごい勢いでキャッチアップしているところです。

低迷グリー反転攻勢 アプリシフトのカギは演出とキャラ(画像)
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日本ゲーム産業史
ゲームソフトの巨人たち
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