スマホゲーム市場で、ゲーム制作の重要性を理解

――2017年のトレンドについて、どのように見ていますか。

田中氏:  グリーとしては、ネイティブゲームにシフトした戦略によって、業績が伸びるというストーリーを描いています。『ららマジ』が1月25日にリリースされましたし、『シンフォギア』のリリース直前の事前登録も始まっています。これが成功すると俄然説得力が出ると思うので、現在はうまく離陸してほしいという願いを込めています。

 それから、海外市場向けの新規タイトルも6月末までに出す予定です。実際のARPU(Average Revenue Per User、ユーザー1人あたりの平均売上金額)のような指標が数字として出てきて、これらのタイトルが成功しているのか、そうでないのかは1カ月である程度判断できます。そこからさまざまな手を打ちながら、3カ月もすれば、このまま成長していけるタイトルなのか、無理なのかは分かります。

 最近、社内に伝えているのは、キャラクターや演出のインパクトの重要性です。例えば、丁寧なゲームチュートリアルを一生懸命に作っても、その良さを理解してもらえる前に、「つまらない」と思ってゲームを終了してしまうユーザーはたくさんいるんです。それを乗り越えて、ゲーム本編に入ってきてもらわなければならないわけです。だから、例えば、起動画面ですごくかわいい女の子が出てきて、それ見たさにチュートリアルをやってしまう、という演出も実は大事なんですね。

 「よいモノづくり」というのは、チュートリアルを丁寧に作ることだけではなく、起動画面だけで続けたくなっちゃうような「絵作り」や「演出」、そもそも見ていたい「キャラクター作り」で乗り越えられる部分も大きいんです。見ず知らずのロボットゲームだとやる気がおきないけど、有名ロボットアニメのゲームは張り切っちゃう、というのがIPの力でもあり、キャラクターの力でもあると思います。丁寧なゲーム制作というのは、そうした部分まで掘り下げることが重要だと、制作チームには話しているんですよ。

低迷グリー反転攻勢 アプリシフトのカギは演出とキャラ(画像)
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――ゲーム制作に対する考え方、今と昔に違いがありますか。

田中氏: 僕らはブラウザーゲームの経験しかなかったのですが、ブラウザーゲームでは表現力よりも、他人とどのように競い合うか、対戦するか、といったソーシャル的な要素が中心でした。要はインターネット業界的文脈でゲーム事業を進めてきたわけです。しかしネイティブゲーム市場にシフトして、ゲームのシナリオだったり、キャラクターの女の子のかわいさなどの重要性を理解し始めたんです。家庭用ゲームメーカーにとっては、当たり前のことが分かっていなかった。それをキャッチアップしているところです。

――グリーのゲーム業界の中でのポジショニングについて、考え方を教えてください。

田中氏: 繰り返しですが、先程お話しした特定ジャンルに強いゲーム会社になるという目標があります。そして、次のフェーズになるのですが、グリーが作り出す世界観、音楽、映像表現といったクリエイティブな部分で、良いものを作る会社になりたいという目標もあります。

 例えば『消滅都市』というゲームタイトルでは、名前を冠したコンサートを昨年行いました。先行している家庭用ゲームメーカーから見れば、我々の事業はまだまだ地に足がついていないかもしれませんが、こういう活動をたくさん実施することがIPを作り上げる、ということなんだなと思います。グリーが作るIPはいいよね、と思ってもらえることが次のフェーズの目標となります。