VRマーケットに合わせて事業を作る

――そのほかに2016年のトピックはありますか。

田中氏:  VR(仮想現実)があります。VR市場の立ち上がりに応じて、「Japan VR Summit」というカンファレンスイベントを企画したり、米国で「GVR Fund」というVRスタートアップに投資するファンドを作ったりしました。

Japan VR Summit 2(2016年11月開催)に登壇した講師たち
Japan VR Summit 2(2016年11月開催)に登壇した講師たち
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 日本国内では、アドアーズさんのVR専門施設「VR PARK TOKYO」(東京・渋谷)に2種類のVRゲームを提供しました。そういう意味では、VRマーケットに足固めができた1年でした。2017年にリリースしますが、スクウェア・エニックスさんのモバイルゲームのVR版である『乖離性ミリオンアーサーVR』も作らせていただきました。

『対戦!ハチャメチャスタジアムVR』 (C)アドアーズ株式会社
『対戦!ハチャメチャスタジアムVR』 (C)アドアーズ株式会社
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『協力!GHOST ATTACKERS VR』 (C)アドアーズ株式会社
『協力!GHOST ATTACKERS VR』 (C)アドアーズ株式会社
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――スマホゲームの『ミリオンアーサー』をVRにするという発想がいまひとつイメージできないのですが。

田中氏: 表現が難しいのですが、すべてをVRで表現するというわけではないんです。戦闘シーンや人気の高いキャラクターなど、ミリオンアーサーで魅力的だった部分を集中的にVR化してファンに楽しんでもらおうというのが基本方針なんです。特に戦闘シーンに関してはVRにすると、これが意外とグッとくるんですよ。隣にいる人が、当たり前のように魔法を出しているところに自分が立っていると、結構ビックリするものなんです。

『乖離性ミリオンアーサーVR』 (C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
『乖離性ミリオンアーサーVR』 (C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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 ゲームをプレーしていて、魔法を使うという行為は、僕はこれまでの人生で何万回もやってきました。しかし、横にいる人が本当に魔法を出しているシーンに居合わせるなんてことはなかったんですよ。何と言えばいいんでしょうか、ハワイの写真を見ただけで一度も行ったことがなかった人が、初めてハワイに旅行したときの感動と同じじゃないですかね。VRで戦闘シーンを表現するのは、結構新しいなと思ったんですよ。

 VRならではのゲームでなくても、今まで当たり前だったものがVRになっただけで、こんなに「スゴイ」と思えることがひとつの発見だったんです。現在のVRマーケットは黎明期で、まだまだ小さなマーケットだと思います。そのサイズに合わせたコンテンツ作りをしていかないと、過剰品質だったり、コストオーバーで回収できないゲームになってしまいますからね。

――本格的なVR作品を1つ作ってから、最適解を求めるアプローチもあります。

田中氏:  その通りだと思います。ただ、既存の何かを引用・応用するほうが良いと僕は思いました。VRはこれから発展していく分野で、AR(拡張現実)やMR(複合現実)のような別の切り口もあります。しっかりとVR関連の技術を吸収しながら、形にしていきたいと思います。