目を見張る「プロフェッショナルのプレー」

 一方で、昨年12月に後にJeSUになる新団体がプロライセンスを発行し、認定大会を行うと表明して以来、沸き起こっているさまざまな議論についても改めて考えさせられた。その1つが、ソーシャルゲームである『パズル&ドラゴンズ』が認定タイトルに含まれていること。PC用のゲームでの盛り上がりに端を発する世界的な流れから行くと、ソーシャルゲーム、特に熱心なプレーヤーが日本国内に限られるタイトルが認定タイトルに名を連ねることには賛否両論がある。

 今回、大会を見て感じたのは、JeSUの副会長を務めるGzブレインの浜村弘一社長が以前語ったプロゲーマーの定義の一部、「高いパフォーマンスで観客を魅了する」という要素を選手たちが確実に満たしていた、ということだ。

 選手たちは、まるでルービックキューブのエキスパートが6面を瞬時にそろえるように、クルクルと目まぐるしくパネル上のドロップを並び変え、いつの間にか多段コンボを完成させていた。モンスターのスキルの中には、相手のパズルを真っ黒に塗りつぶしてしまうものがあるのだが、そんな状態でも指でたどったときに一瞬見えるドロップの配置を頼りに、パズルを完成させていく。ゲームに対する戦術理解度はもちろん、短い制限時間でいくつものコンボを組み立てる手腕は、見事というほかない。

 オフサイドのルールを知らなくとも楽しめるサッカーの試合のように、各モンスターのスキルを知らずともそのダイナミックな戦いと、選手達の醸し出す緊迫感に観客は魅了されていた。「まさにプロフェッショナルのプレーを見た」というのが実感だ。

大会最後のフォトセッションには上位入賞の3人とともに、例外的ライセンス発行によって『パズル&ドラゴンズ』のプロライセンスを獲得している「LUKA」選手(右)と、同じくジュニア・プロライセンスを持つ「ゆわ」選手(左)も登壇
大会最後のフォトセッションには上位入賞の3人とともに、例外的ライセンス発行によって『パズル&ドラゴンズ』のプロライセンスを獲得している「LUKA」選手(右)と、同じくジュニア・プロライセンスを持つ「ゆわ」選手(左)も登壇
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ソーシャルゲームを認定タイトルにすることの是非

 とはいえ、筆者としては疑問を感じずにいられない部分もある。ソーシャルゲームは基本的に、課金による「ガチャ」で戦力を強化することなくトップレベルの戦いに参加するのは不可能に近い。もちろん今回の大会出場者のレベルまで行けばまた話は変わってくるが、ある程度のレベルまでは、課金した金額が多い者ほど強いという状況が生まれてしまう。

 例えばカードゲームの大会では、カードの種類と枚数があらかじめ規定されていて、各プレーヤーはその範囲の中で創意工夫を凝らし、デッキを構成し、勝敗を競う。eスポーツとして純粋にプレーヤーの優劣を競うのであれば、本作の大会でも使用できるモンスターをメーカーが設定し、その範囲の中でパーティーを組むようにするなど、各プレーヤーの条件をイーブンにする工夫があってもよいと思う。

 また、同作は「モンスターハンター」など、さまざまな別タイトルとのコラボを実施してきた経緯があり、モンスターのデザインに統一感がないのも、座り心地の悪さを感じる点だ。この大会で最も活躍していたモンスターはまさにその「モンスターハンター」とのコラボで登場したもの。「そういう歴史を歩んできたゲーム」であることは確かだが、公式のプロフェッショナル大会だけは『パズル&ドラゴンズ』オリジナルのカードのみにする、という手もあるのではないか。

 もっとも、JeSUが認定するプロライセンス制度にしろ、認定された各タイトルの大会レギュレーションにしろ、不都合や有益な意見があれば、随時それを取り入れ、より良いものへと改革していけばいい。すべてはここがスタートなのだから。

(文/稲垣宗彦)