2018年2月9日、東京・お台場にある屋内型テーマパーク「東京ジョイポリス」に、VRシューティングゲーム『TOWER TAG』がオープンした。事前情報によると、2対2のチーム戦で楽しむ、VRを活用したeスポーツ「VR eスポーツ」なのだという。

 VRもeスポーツも知っているが、それを合わせたVR eスポーツとは一体何なのか? この言葉に見事釣られ、オープンに先立って行われた体験会へ、そそくさと出向いた筆者なのだった。果たして、リアルなスポーツみたいにいい汗はかけるのだろうか。

東京ジョイポリスにオープンした、VRシューティングゲーム『TOWER TAG』
東京ジョイポリスにオープンした、VRシューティングゲーム『TOWER TAG』
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2対2で対戦するシューティングゲーム

 『TOWER TAG』はドイツのVR Nerds社(直訳すれば“VRオタクたち”社)によって作られたゲームだ。開発チームにはサバイバルゲームの世界チャンピオンが在籍しているとのことで、その楽しさを盛り込んだ戦略性の高いゲームになっているらしい。東京ジョイポリスを運営するCAセガジョイポリスと契約し、同社が独占的に全国へ展開する予定だそうだ。

 ゲームは前述のように、2対2のPvP形式(プレーヤー・バーサス・プレーヤー)、つまりヒト対ヒトの対戦に絞ったものだ。舞台となるVR空間のなかには10本ほどのタワーが林立していて、タワーからタワーへと移動しつつ、手にしたレーザーガンで敵と撃ち合い、相手チーム全員(2人)を倒した側の勝利となる。これを5分間繰り返すというのがプレー内容だ。

これが『TOWER TAG』のプレーブースで、青い部分がひとりあたりのスペースになる。ここに1チーム2人で入って、別のブースにいるチームとVR空間上で対戦する
これが『TOWER TAG』のプレーブースで、青い部分がひとりあたりのスペースになる。ここに1チーム2人で入って、別のブースにいるチームとVR空間上で対戦する
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なかなか精密な射撃ができる

 VRヘッドセットはHTC VIVEで、これをマイク付きのヘッドセットとともに装着。このヘッドセットを通じてチームメイトと連絡を取りながらプレーする。そしてオペレーターから銃型のコントローラーを渡されると、銃がVR空間のなかに出現。すでにこの時点で銃の位置や向きなどがかなり精密にセンシングされていることがよくわかり、期待が膨らんだ。

『TOWER TAG』の装備品。ヘッドマウントディスプレーは「HTC VIVE」で、マイク付きのヘッドセットでオペレーターやチームメイトと会話ができる。ガンコントローラーはVR空間内のものよりひと回り小さい
『TOWER TAG』の装備品。ヘッドマウントディスプレーは「HTC VIVE」で、マイク付きのヘッドセットでオペレーターやチームメイトと会話ができる。ガンコントローラーはVR空間内のものよりひと回り小さい
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 全員が機材を装着して準備が完了し、競技が始まるまではチュートリアルの時間だ。手にした銃のトリガーを引くとレーザーが発射される。一発ずつ撃つこともできるが、エネルギーゲージがゼロになるまで連射することも可能だ。

装備品をひと通り装着した状態。HMDとヘッドセットを装着した後、オペレーターがガンコントローラーを持たせてくれる。手首にストラップを通してあるので落とす心配はない
装備品をひと通り装着した状態。HMDとヘッドセットを装着した後、オペレーターがガンコントローラーを持たせてくれる。手首にストラップを通してあるので落とす心配はない
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ゲーム開始前のチュートリアル中。この間も敵チームと撃ち合うことができる。奥のプレーヤーはフェンスに隠れながらの射撃をキメているようだ
ゲーム開始前のチュートリアル中。この間も敵チームと撃ち合うことができる。奥のプレーヤーはフェンスに隠れながらの射撃をキメているようだ
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 また、タワーからタワーへと移動するワイヤーアクションが特徴だ。隣接するタワーの上にモヤモヤとした雲のようなグラフィックが現れているときに、そのモヤモヤを狙ってトリガーを引くと銃からワイヤーが発射される。ワイヤーがかかったら、トリガーを引きっぱなしの状態で銃をあおるとワイヤーがたぐり寄せられ、移動できる。

 こうしてVR空間内でタワーからタワーへと移動しながら、敵と撃ち合って勝負するわけだ。

接近戦を排除し、純粋な撃ち合いが楽しめる

 このゲームでは攻撃も大事だが、敵の攻撃からいかに身を隠すかも重要だ。タワーの中心には柱があり、その周囲には腰くらいまでの高さのフェンスがある。それらをうまく活用し、敵の攻撃を避けつつレーザーを撃ちこむのだ。

ゲームのフィールド全景(イメージ画像)。青とオレンジのチームに別れて戦う。相手に倒されると、そのラウンドのあいだは一際高いタワーの上に視点が移動する。フィールドは今後、ゲームバランスをみながら調整するそうだ
ゲームのフィールド全景(イメージ画像)。青とオレンジのチームに別れて戦う。相手に倒されると、そのラウンドのあいだは一際高いタワーの上に視点が移動する。フィールドは今後、ゲームバランスをみながら調整するそうだ
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 レーザーを発射するにはエネルギーが必要で、その残量は銃の上部に円グラフ状のゲージで表示されている。トリガーを離すとゲージはするすると回復し、少しでも回復すればレーザーを撃てる。完全回復を待たずに小刻みに攻撃するか、あるいは身を隠してきちんと回復してから集中攻撃を加えるか、そうした選択がプレーヤーの戦略のひとつとなる。

 2対2のチーム戦であることもこのゲームではキーとなっている。タワーの柱やフェンスは1方向からの攻撃は防げるが、それ以外の方向からは完全に身を隠すことができない。ヘッドセットのマイクを使って相棒と情報を交換し、敵を挟み撃ちにするといった戦略が有効だ。

対戦中のイメージ画像。遠くに掲示されたパネルにスコアが表示されている。ゲーム終了時にスコアがプリントアウトされて渡されるようなサービスはないので、終了時にはこれをしっかり見ておかないといけない。ぜひ改善してほしい部分だ
対戦中のイメージ画像。遠くに掲示されたパネルにスコアが表示されている。ゲーム終了時にスコアがプリントアウトされて渡されるようなサービスはないので、終了時にはこれをしっかり見ておかないといけない。ぜひ改善してほしい部分だ
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 ちなみにチュートリアルの時間中も敵と撃ち合うことが可能だ。狙った場所にいかに的確にレーザー射撃を当て、さらに攻撃されたらどう身を隠すか。そうした感覚をチュートリアルの間につかんでおきたい。

 なお、プレー中に一定のダメージを受けて倒されてしまった場合、チームメイトが無事なあいだは、フィールド内に一際高くそびえるタワーの最上部へと視点が移る。フィールド全体を俯瞰(ふかん)して見られるようになり、そこからチームメイトに指示を出すことができるようになる。これもこのゲームのユニークなところだ。

 筆者は担当編集とチームを組んでプレーしたが、その相棒の機材が若干不調で調整をしている間に、レーザー射撃の感覚をつかむことができた。そして始まったゲームでは、チュートリアルがほとんどできなかったため操作が分からずオロオロするしかない相棒を囮にして、寄ってくる敵を狙い撃つ鬼畜プレーに徹し、トータルで6対2、筆者個人のキル数10以上という圧勝を収めることができた。

プレーヤー視点のイメージ画像。手前は銃。柱やフェンスを上手く利用しながら敵と撃ち合う。銃の上に表示されている青いリングがエネルギー残量を示す。慣れてくると2つ隣のタワーにいるプレーヤーを狙撃することも可能
プレーヤー視点のイメージ画像。手前は銃。柱やフェンスを上手く利用しながら敵と撃ち合う。銃の上に表示されている青いリングがエネルギー残量を示す。慣れてくると2つ隣のタワーにいるプレーヤーを狙撃することも可能
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まさに“VR空間で楽しむサバイバルゲーム”

 勝ったから言うわけではないが、これはおもしろい。実に、おもしろい。

 現実感よりも見やすさを優先したシンプルなグラフィック。遠距離での狙撃も可能なガンコントローラーの精密なセンシング。チーム制による戦略性、そして何よりゲームのテンポが速く、サクサクと遊べる軽快さがいい。ひとつのタワーには2人以上乗れない仕組みなので接近戦がなく、純粋に“撃ち合い”だけを楽しめる。これがプレーの軽快感を演出するのに貢献している。

 ゲーム感覚はもうまさに“VR空間で楽しむサバイバルゲーム”だ。プレーした後、開発チームにサバイバルゲームの世界チャンピオンがいることの意味がよくわかった。サバゲーらしい戦略、精密な射撃、そして身のこなしを楽しめるこれは、確かに「VR eスポーツ」と呼ぶのにふさわしい。

 5分間のゲームで汗をかくまで身体を動かすのはちょっと厳しいかもしれないが、「スポーツ」という言葉は本来、ルールに則って競い合う「競技」という意味。『TOWER TAG』のルールは明確な競技性を持っていて、まさに「eスポーツ」と呼べる内容だ。

 

さらなる改善も進行中

 2月9日スタートの『TOWER TAG』だが、この日プレーしたものが完成形ではなく、たとえばフィールドの広さやタワーの並び方なども含め、今後どんどんバージョンアップが重ねられていくという。

 また、CAセガジョイポリスでは『TOWER TAG』を今後展開していくにあたり、業務用ダーツマシン「ダーツライブ」で知られるダーツライブとの協業を予定している。ダーツライブは、ネットワーク対戦やプレーヤーの成績などを保存できるネットワークサービス「DARTSLIVE NETWORK SERVICE」を運営しており、そのノウハウを『TOWER TAG』に生かしていきたいそうだ。

 非常に楽しかった『TOWER TAG』だが、ほぼ唯一と言っていい不満は、プレー後の情報が少ないことだ。チーム戦績がVR空間内で一定時間表示されるだけでほかに何もなく、物足りない。チーム戦績だけでなく、ヒットレシオやキル数などのプレーヤー個人の成績も集計され、それをプリントアウトできたり、前回までの成績と比較したりできれば、プレーヤーの向上心を刺激してリピーターを増やすのに大いに役立つだろう。

 プレーするのに事前の予約は不要だ。料金は800円で、東京ジョイポリスの入場券(800円)が別途必要だが、VR系アトラクションとしては比較的安価だ。そして東京ジョイポリスで設定されている各種パスポートを利用できるのがうれしいところ。たとえば通常のパスポートは大人向けだと入場料を含め4300円するが、それがあれば午前10時の開館から22時の閉館まで『TOWER TAG』を含めたアトラクションを何度でも楽しめる。準備時間を含めて1ゲームにかかる時間は約10分弱と短く、ゲーム内容的にサクサク気軽に遊べる『TOWER TAG』は、まさにパスポート向きと言える。

 グラフィックなどの映像に凝りすぎず、無駄なものをそぎ落としてゲーム性を高めることに集中した『TOWER TAG』の割り切った設計は、かなり成功しているように思える。プレーヤーの反響を見て加えられるという今後のバージョンアップも非常に楽しみだし、お台場を訪れた際は、ぜひ体験してほしいアトラクションだ。

 なお、東京ジョイポリスでは『TOWER TAG』以降も積極的にVRを使ったアトラクションに注力していきたいとのことで、そちらにも期待したい。

(文/稲垣宗彦)

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