日本法人立ち上げ時から日本のアニメに期待

 Netflixといえば、世界最大級の映像配信サービスで、現在、190以上の国で動画配信サービスを行っており、登録ユーザー数は9300万人に上る(2016年第4四半期末時点)。躍進の原動力になっているのは、既存の映画、ドラマ、アニメと並んで配信されるオリジナルタイトルだ。その数は、2017年だけで400タイトル以上を数える。

 しかも、オリジナルタイトルは質の面でも評価が高い。例えば、ドナルド・トランプ大統領就任劇ともシンクロするような米国の政治をリアルに描いたドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、製作総指揮を映画監督のデヴィッド・フィンチャーとハリウッド俳優のケヴィン・スペイシーが、主演をスペイシーとロビン・ライトが務め、ゴールデングローブ賞やプライムタイム・エミー賞など、数々の賞を受賞した。こうして、映像配信事業者でありながら、オリジナルのコンテンツ製作にも力を入れるソフト屋として成功したことでも注目され、ユーザー数を伸ばしてきたのだ。

 日本では、定額&見放題の動画配信サービスとして、米国系の「Hulu」(HJホールディングス合同会社)、「Amazonプライム・ビデオ」(アマゾン)と肩を並べ、日本系の「dtv」(NTTドコモ)や「U-NEXT」とも競合するような位置づけである。これらのサービスの中では後発だったため、2015年のサービス開始当初こそ知名度で劣っていたが、米国市場と同様、オリジナル作品を売りにし、存在感を示しつつある。第153回芥川賞を受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹の初小説『火花』のドラマなどが注目された。

オリジナルドラマには、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹の芥川賞受賞作『火花』をドラマ化した作品などが並ぶ<br>(C)2016YDクリエイション
オリジナルドラマには、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹の芥川賞受賞作『火花』をドラマ化した作品などが並ぶ
(C)2016YDクリエイション
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 そのNetflixが、日本でのサービス立ち上げ当初から期待を寄せてきたのが日本のアニメ作品だ。日本でのサービスローンチ前から『シドニアの騎士』を世界向けに配信。その反応に手ごたえを感じたのか、最高コンテンツ責任者のテッド・サランドス氏は2014年10月にカンヌで開催されたテレビ見本市MIPCOMのキーノートスピーチで「日本のアニメにはとても興味ある。グローバル市場の展開に期待できる」と語っていた。世界190カ国にも上るサービス提供国のなかで、米国以外でコンテンツチームを設置しているのが日本だけというのも、アニメに対する期待が大きいからだ。

 「日本ではやはり日本のコンテンツの人気が高い。また、海外でも日本のアニメのファンはいて、それらの人たちにとっては、日本での公開と同時に見られることが喜ばれる」(広報責任者の中島啓子氏)。このため、日本法人を立ち上げる準備段階から、アニメ制作会社などとコンテンツ制作について話をしてきたそうだ。

『シドニアの騎士』
『シドニアの騎士』
テレビ放映後にNetflixで配信。弐瓶勉の同名漫画が原作。日本でのサービス開始前からNetflixで海外向けに配信されていた
(C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
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■変更履歴
初出では「U-NEXT」(USEN子会社のU-NEXT)と記載しておりましたが、U-NEXTはUSENの子会社ではありませんでした。お詫びして修正いたします。