80型以上は日本では大きすぎではないか

 ソニーの高木氏は、8Kの高画質が生きるテレビの画面サイズは「80型からそれ以上」と述べている。ソニーのエンジニアに尋ねても、Z9Gシリーズの開発テーマは大画面で迫力ある8K高画質の視聴体験を実現することだったと言う。

 当然ながら、画面が大きくなればテレビ本体のサイズもこれに伴って大きくなる。今回発表されたZ9Gシリーズが日本でそのまま発売されるかは不明だが、小さいほうのモデルでもサイズは85型。日本のリビングに置くテレビとしては大きすぎるように感じる。それでも大画面化に踏み切った理由を、高木氏は「北米、中国の市場に打って出ることを見据えているから」と述べている。

ソニービデオ&サウンドプロダクツの高木一郎社長
ソニービデオ&サウンドプロダクツの高木一郎社長
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 確かに北米や中国では、富裕層の間で大画面のテレビが好まれている。特にホームシアター発祥の地域といわれる北米では、昔から100インチ台のテレビを広大な邸宅の中に複数台所有して、映画などを楽しむ文化もある。大画面の8Kブラビアに違和感なくなじめる顧客層はそれぞれの地域で掘り起こせるだろう。

 現時点で8Kコンテンツが存在しない北米・中国で8Kテレビを売るためと考えれば、8Kアップコンバート機能にこだわったことも納得がいく。ソニーでは、8K未満の映像をアップコンバートするためのアルゴリズムが参照する膨大なデータベースを、ディープラーニングの手法を使って構築し、テレビに搭載。高性能な画質プロセッサー「X1 Ultimate」でアップコンバート処理を行う。この技術によって、日本よりも元の映像が粗く感じられる海外地域のテレビ放送がどの程度まで満足できる8K映像になるのか。機会があれば、視聴してみたいところだ。

アップルのAirPlay 2にも対応

 ソニーがCESで発表したテレビは8K/4K高画質により関心が集まっているが、実はZ9G/A9Gともに、米アップルのAirPlay 2に対応することも明らかになった。ブラビアの商品企画を担当するソニービジュアルプロダクツの長尾和芳氏は、「iPhoneやiPadなどiOS搭載のデバイスとブラビアを、ホームネットワークを介してワイヤレスで接続すると、iTunesで提供されている高画質な映画をiOSデバイスからテレビにミラーリング表示して楽しめる。またiPhoneに保存した音楽コンテンツをテレビで楽しむことも可能だ」と説明。AirPlay 2にテレビが対応することの価値を強調した。

ブラビアの商品企画を担当するソニービジュアルプロダクツ 企画マーケティング部門 部門長の長尾和芳氏
ブラビアの商品企画を担当するソニービジュアルプロダクツ 企画マーケティング部門 部門長の長尾和芳氏
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 また、アップルのスマートホーム用プラットフォーム「HomeKit」もサポート。例えば、iPhoneでSiriを立ち上げて話しかけることで、ブラビアの電源をオンにするといったことなどができるようになりそうだ。既にソニーのブラビアには、OSにAndroid TVを搭載したテレビがラインアップされており、Googleアシスタントによる音声操作に対応している。Amazon Alexaを搭載するスマートスピーカー「Echoシリーズ」と連携して、電源のオン/オフやチャンネル選択などが音声でできる機種もある。

 ソニービデオ&サウンドプロダクツの高木一郎社長によると、現在ブラビアのユーザーを調査した結果、グローバルで約3割前後のユーザーがGoogleアシスタントによる音声操作を日常的に使っていることが分かったという。高木氏は「音声アシスタントを使った音声操作は、ユーザーの方々に便利と感じていただける限り搭載するし、今のところは評価されていると思う」と述べた。アップルのSiriも加えてマルチAI対応を強化することで、その認知と利用が広がるのか興味深い。

(文/山本敦)