AIが自動記録するダイエットアプリ

 AI(人工知能)の利便性を享受できるアプリも利用が広がりそうだ。健康管理アプリはAIの導入が進むアプリのジャンルの1つ。

 ライフログテクノロジー(東京都豊島区)が提供するアプリ「カロミル」は、登録した食事のデータに基づいて、AIが料理や運動の提案をするダイエットアプリだ。登録時に自分の身長や体重、目標の体重や体脂肪率を設定して利用する。その日に取った食事や、行った運動を記録して利用する。運動の記録は「Fitbit」や「Garmin」といったウェアラブルデバイスとアプリを連携することで、自動的に記録することも可能だ。

 取得した料理は「たんぱく質」「塩分」「糖質」といった7つの栄養素のレーダーチャートとしてアプリの画面に表示される。裏側では、1000種類以上の料理の栄養素のデータを保有しており、そのデータベースに基づいて記録される。

 食事データを記録することで、一人ひとりに最適なアドバイスが受けられる。例えば、「食事アドバイス」機能では、その日に不足している栄養素が指摘されるほか、補うために取るべき食材が提案される。また、プロのトレーナーが開発した50種目以上の運動メニューの中から、ライフログに合わせて利用者ごとに最適なメニューをAIが提案する機能も持つ。管理画面で趣味のスポーツなどを登録しておけば、そのスポーツに合わせたメニューなどが優先的にお勧めされる。

食事を登録することで、AIにさまざまなアドバイスを受けられるアプリ「カロミル」
食事を登録することで、AIにさまざまなアドバイスを受けられるアプリ「カロミル」
[画像のクリックで拡大表示]
アプリが自動でスマホから収集した写真をAIが画像解析することで登録の手間を省く機能を開発
アプリが自動でスマホから収集した写真をAIが画像解析することで登録の手間を省く機能を開発
[画像のクリックで拡大表示]

 ただ、この手のダイエットアプリはさほど珍しくはない。カロミルの他社のサービスにない特徴は、継続率を高めるための食事の記録方法にある。アプリ事業者の多くが、サービス拡大の段階で継続率の低迷にぶつかる。ダイエットアプリであれば、利用者は食事をするごとにわざわざアプリを立ち上げて登録することが徐々に面倒になり、利用率が低下する。すると、提案に必要なデータが得られなくなり、さらにアプリ離れが加速する。このような悪循環に陥りがちだ。

 ライフログテクノロジーの棚橋繁行社長も「社員間で使っていても、食事の登録をし忘れてしまうことはあった」と振り返る。きちんとライフログに基づいた情報を提供するには、継続したデータ収集をできる仕組みづくりが肝になる。より簡単に登録する方法はないだろうか。棚橋氏が試行錯誤する中で、新たに開発したのが、AIによる画像認識を活用した自動的な登録機能だ。

 AIによる自動登録機能を使えば、食べる前の食事の写真をスマホで撮影するだけで良い。アプリが裏側で自動的にカメラロールに保存された写真を解析して、登録の候補となる食事の写真だけを取得する。AIが画像を解析して、自動的に料理名などを登録する。利用者は気が向いたときにアプリを立ち上げて、登録された候補の写真の中から、必要な写真だけを選んで量や食事をした時間帯を入力するだけで登録できる。これまでは、わざわざ登録画面で料理名を検索して登録する必要があったため、登録の手間が大幅に低減された。実際、新機能の搭載前後でカロミルの利用率は2.5倍に高まったという。

 これまでAIやARといった技術は、企業間での利用が中心で、直接的な利便性を消費者が受けられる機会はさほど多くなかった。一般消費者から見れば少々遠い存在だったそれらの技術が、2018年はアプリを通じてグッと身近になりそうだ。

(文/中村 勇介=M5メディア編集)