米のヒット甲子園2017の大賞米に選ばれた「石見(いわみ)高原ハーブ米 きぬむすめ」(以下「きぬむすめ」)。その生産現場を取材した。

水田に立つプレート。石見高原ハーブ米は、エコファーマー認定を受けた生産者のみが生産できる
水田に立つプレート。石見高原ハーブ米は、エコファーマー認定を受けた生産者のみが生産できる
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 米ひと粒ごとの食感はしっかりしながらも、さっぱりした味わいで、毎日食べても飽きのこない「きぬむすめ」。JAしまね島根おおち地区本部管内では2009年から栽培をスタートした。

JAしまね島根おおち地区には邑智郡(おおちぐん)の川本町(かわもとまち)、美郷町(みさとちょう)、邑南町(おおなんちょう)、そして江津市桜江町(ごうつしさくらえちょう)がある。
JAしまね島根おおち地区には邑智郡(おおちぐん)の川本町(かわもとまち)、美郷町(みさとちょう)、邑南町(おおなんちょう)、そして江津市桜江町(ごうつしさくらえちょう)がある。
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 オオサンショウウオが自然の中で成育するほど水質のよい地域で、古くから石見和牛の堆肥を活用するなど、土づくりを推進してきた。地域の自然と環境を活かしたさらなる特色ある米づくりを目指し、ハーブの活用に着手した。

米穀低温倉庫で出荷を待つ石見高原ハーブ米 きぬむすめ(首都圏へ出荷)。このほかコシヒカリ(広島へ出荷)がある
米穀低温倉庫で出荷を待つ石見高原ハーブ米 きぬむすめ(首都圏へ出荷)。このほかコシヒカリ(広島へ出荷)がある
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ハーブの活用で化学肥料の使用を99%抑える

「きぬむすめ」は、稲刈り後にハーブの一種、クリムソンクローバーやレッドクローバーを播種(はしゅ)し、開花直前に土中にすき込み、緑肥にする方法で栽培。大気中の窒素をクローバーの根に取り込む根粒菌の力を活かすことで、化学肥料の使用を99%抑えられる。

クリムソンクローバーの種。10アール当たり1.5kgを播種(はしゅ=種まき)
クリムソンクローバーの種。10アール当たり1.5kgを播種(はしゅ=種まき)
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ハーブの発芽・生育を促すため、播種前にトラクターで耕して土の通気性や水はけをよくする
ハーブの発芽・生育を促すため、播種前にトラクターで耕して土の通気性や水はけをよくする
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緑肥となるハーブの播種は、散布器を使って行う。稲刈り後〜10月下旬、2月下旬〜3月下旬に実施する
緑肥となるハーブの播種は、散布器を使って行う。稲刈り後〜10月下旬、2月下旬〜3月下旬に実施する
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 JA指導の下、使用可能な除草剤や散布回数なども細かく規定。徹底した栽培管理とその実践が功を奏して売れ行きも好調だ。7〜8月には予約で販売終了するという。

生産者に配布する「稲作ごよみ」には栽培情報がびっしり。7月は地区内140カ所以上で栽培講習会、8月には次年度取組説明会など、きめ細かくフォロー
生産者に配布する「稲作ごよみ」には栽培情報がびっしり。7月は地区内140カ所以上で栽培講習会、8月には次年度取組説明会など、きめ細かくフォロー
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赤い花が咲いたハーブ
赤い花が咲いたハーブ
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実った稲を収穫
実った稲を収穫
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「ハーブの利用に加え、夜は冷たい水を田に入れ、昼夜寒暖差を10度以上保ち、稲をしっかり休ませるなど、 多方面から品質向上に取り組んでいる」(JAしまね元根正規氏)。

「石見高原ハーブ米」生産者部会会長三浦秀樹氏(写真左)と、JAしまね島根おおち地区本部営農部営農企画課課長元根正規氏
「石見高原ハーブ米」生産者部会会長三浦秀樹氏(写真左)と、JAしまね島根おおち地区本部営農部営農企画課課長元根正規氏
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 2017年の生産量は約80トン。「高齢化や、手間ひまかかる栽培方法ゆえ、単純な増産は難しいが、挑戦し続けなければ、農家は生き残れない」と生産者部会会長・三浦秀樹氏。今後も誠実で地道な努力が続く。

(文/木原美芽、写真/橋本真宏)