前回の雪辱を果たし、「新之助」が大賞米

 審査結果はグループごとに1品を選ぶという形で行われたため、1人の審査委員が都合3品種を挙げることになる。その結果、最も票を集めたのは「新之助」。といっても圧倒的な獲得数ではなく、僅差で「雪若丸」が続く。そこで、得票の多かった4品種、「新之助」「雪若丸」「隠岐藻塩米」「いちほまれ」を再度食べ比べたうえで最終投票ということになった。

 再び皿が用意され、しばしの試食タイムを経たのち、各審査委員が4つのうち2品種を発表。この結果、7人中6人が名を挙げた「新之助」が、1回目の試食に引き続き最多得票で、前回の雪辱を果たして大賞米に選ばれた。

圧倒的な得票で最終決戦を制した「新之助」
圧倒的な得票で最終決戦を制した「新之助」
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 大賞米となった「新之助」はバランスの良さが高得票につながった模様。また、1回目に続いて高評価だったのは、冷めてもおいしいということの表れだろう。各審査委員は、「新之助」に関して次のような評価ポイントを挙げた。

川崎氏: 「これぞ“日本の米”“ふっくらご飯”という印象。冷めても甘みや粒感があり、トータルバランスがずば抜けている。口の中に入れたときに『ザ・米の香りやな』と感じるほど、香りもいい」

小崎氏: 「自分は洋食のコックなので、調理をしても負けない米という観点で、『新之助』を選びました。硬めの食感で、後味にコクと厚みが感じられ、味をつけてもリゾットにしても決して負けない米だと思う」

小谷氏: 「農業ジャーナリストとしては、米の向こう側の風景にも興味があります。日本の風景は田んぼに代表されることを考えると、やはり米どころ新潟のお米は相変わらず強いと思いました」

里井氏: 「米を食べる人が少なくなっているなか、毎日食べられて、おかずがなくても米だけで十分おいしいという、両方を備えるバランスの良さで選びました。お年寄りや子どもでも、ぺろっと完食できると思います」

はっしー氏: 「飽きなさそうで普段使いができる。どんなおかずにも合いそうですが、粒立ちがいいので、タレの焼き肉とは相性がいいかも。タレが一粒一粒をコーティングして、口の中で肉と米が“マリアージュ”するはず」

山下氏: 「子どもの頃に食べたご飯のおいしさを求めて『くいしん坊!万才』に出た自分にとって、日本の米はやっぱりおいしいと感じさせてくれた。『新之助』という名前も、りりしいルーキーのような感じがします」

渡辺氏: 「粒が大きく甘みが強くて、最近の米のトレンドの王道というか、お米の最先端が形になったような印象。それが大賞米を取ったことが、時代を表していると感じました」

 「新之助」は“コシヒカリとの双璧”を目指す、新潟県の自信作。大賞米の受賞は、さすが米どころといったところだろうか。とはいえ、「正直、どのお米もおいしかった」と審査委員たちが言うように、審査中はみな、相当に頭を悩ませた様子。審査会を振り返った渡辺氏は、「全国的に台風や長雨、日照不足に見舞われた年にもかかわらず、生産者側がこれほどハイレベルな米を作って届けてくれたことに対する感謝でいっぱい」という言葉で締めくくった。

「どの米もおいしかった」と満足顔の審査委員たち
「どの米もおいしかった」と満足顔の審査委員たち
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 5回目を迎えた「米のヒット甲子園」。次回は「相性のいいおかずごとに米を選ぶ」「米づくりに秘められたドラマなど、産地での背景も加味して選ぶ」など、新たな基準で米を選ぶのもいいのではないかという提案もあった。各地の多様な品種やブランド米が出回っている昨今、家庭や仲間内でもこのような企画を行い、米に親しむのもいいかもしれない。

(取材・文/エイジャ、写真:稲垣純也)