9月20~23日に千葉・幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2018」。日経トレンディネットの特報サイトでは、ゴールデンボンバーの歌広場淳さんがゲストリポーターとして出展ブースや話題のゲーム、eスポーツ大会の情報などを発信する。
ゲームショウに先駆けて、歌広場さんのゲーム遍歴やゲームとの付き合い方などを全3回で聞く記事の第2回目。「格闘ゲームが好きなのは、ゲームを通じて人とコミュニケーションするのが好きだから」という歌広場さんに、その理由や自身が参加したeスポーツ大会での体験を聞いた。
・1回目の記事は「人生の大事なことはゲームセンターで学んだ」(1)
みんなが見ているテレビよりゲームで相手と語りたい
――歌広場さんは格闘技ゲーム好きで知られています。前回、ゲームセンターに通い詰めたお話もされていましたが、具体的にはどんなゲームを?
歌広場: 『ストリートファイターII』とか『ザ・キング・オブ・ファイターズ』『バーチャファイター』など、格闘ゲームは片っ端から興味を持って遊びました。要は、ゲームを通じて人とコミュニケーションするのが好きなんです。
学生の頃、教室で友達とテレビの話をしたりしますよね? 当時の僕にとっては「昨日のあの番組見た?」というより、ゲームセンターで格闘ゲームをやりながら交わす「なんでその不利な状況でその技を出したんだよ?」といった会話のほうが伝わるものがあったんです。
例えば、好きな漫画は何かを聞いて『ONE PIECE』という答えが返ってくると「それじゃ情報が落ちてこない! 『ONE PIECE』はみんな好きだから!」って思っちゃうんですよ。僕が知りたいのは「誰もが好きな作品」ではなくて、その人が分かる作品。ここで『うしおととら』とか出てくると「分かるけど、それを一発目に持ってくるお前ってどんな人?」って興味が出てくる。
相手を知るための情報として、みんなが見ているテレビ番組の名前を挙げられても、その人を掘り下げるにはかなり時間がかかってしまいます。その点、ゲーム、特に格闘ゲームは対戦することで、その相手がどんな人なのかよく分かるんですよ。
口では立派なことを言うのに『ストリートファイターII』で延々と昇龍拳※だけ出し続ける人とか、「オレはがっつり男らしく戦うのが好きだ」なんて言いながら、ダルシム※を使って遠い場所から戦い続ける人などを見ると、言っていることとやっていることが違わない?と思う。そういうギャップが「面白い!」と感じるんです。格闘ゲームは同じゲームが好きでも、どのキャラクターを選ぶか、どう戦うかで性格が出ると思うんですよね。
ゲームはコミュニケーションツールだ
――お話を聞いていると、歌広場さんにとって格闘ゲームは単なる趣味というよりコミュニケーションツールなんですね。
歌広場: その答えは100%、「イエス」です。格闘ゲームが分からない人ともそれを通してコミュニケーションできると思っています。だから僕は1人で格闘ゲームをプレーすることはなかったし、「1人用のゲームがあんまり得意じゃなかったり、ロールプレイングゲーム(RPG)をあまりやらないのもそのためだと思うんです。
――1人用のゲームはあまりしないということは、自宅でもオンライン対戦が中心ですか。
歌広場: そうですね。今は『ストリートファイターⅤアーケードエディション(以下、ストⅤAE)』のオンライン対戦を夜な夜な楽しんでいます。
――PlayStation 4(PS4)ですか? それともパソコンで?
歌広場: 家ではPS4、ゴールデンボンバーのライブツアー中などはパソコンをホテルに持ち込んでプレーします。
――アーケードコントローラーも持ち歩いているとか。
歌広場: はい。本格的に遊んでいるプレーヤーにとっては普通のことではあるんですが、芸能人でやっている人が少ないから話題になるんでしょうね。旅行に枕を持ち歩くのとあんまり変わらないですよね、たぶん(笑)。枕を持ち歩くほうが「あぁ、分かる」という人が多いという、それだけの話ですよ。
昨年のゲームショウはプライベートで参加
――昨年の東京ゲームショウにはプライベートでいらしたとか。やはり格闘ゲームを中心にご覧になったんですか?
歌広場: カプコンブースで優勝賞金100万円が懸かった大きな大会があってそれをメインに、いろんなところを回りました。中学生くらいのときに行って以来だったと思いますが、めちゃくちゃすごかったです。VR(仮想現実)などもそうですが、僕からしたら「知らないもの」がたくさんあって、歩いているだけでも楽しかったですね。ずいぶんと華やかな世界になっているんだとも実感しました。来場者に女の子がすごく多くないですか?
コスプレのエリアをうろちょろして、コスプレイヤーの人たちと一緒に写真を撮ったり、プロゲーマーの人たちと写真を撮ってもらったりしていました(笑)。
僕は常々、知らない文化に触れたときは迷わず飛び込んでいこうと思っているんですが、コスプレはまさに“知らない世界”で。「こんなふうに盛り上がっているんだ」とすごく楽しかったですね。
自身もeスポーツ大会に出場
――ずっと格闘ゲームをプレーされてきたということは、「eスポーツ」という言葉が生まれてきた経過もリアルタイムに体験されていると思います。eスポーツっていう言葉を意識されたのはいつごろですか?
歌広場: ここ最近ですね。言葉自体は2~3年くらい前から耳にしていたんですけど、「eスポーツ」と言って「あぁ」と通じるようになったのは、今年になってからだと思います。ここ3年くらい「eスポーツ元年」って言われていますけど、今年こそが本当に「eスポーツ元年」なんだと思います。
「eスポーツ」と聞いたときにみんなが何を思い浮かべるのか断言はできませんが、良しあしはともかく「賞金が高額で、プロプレーヤーがいて、憧れの的としてタレント化してきている」といったイメージは生まれつつありますよね。そういうムーブメントが起こりつつある感じは「いいな」と思います。
――実際に自身もeスポーツの大会に出場されていますよね。
歌広場: 今年の1月に開催された「EVO Japan 2018」ですね! もともと米国のラスベガスでは毎年8月に「EVO」という大きな大会が開かれていて、格闘ゲームのファンにはよく知られているんです。それが日本でも開催される噂はなんとなく耳にはしていたんですが、ついに実現したという(笑)。
EVOにはずっと出たいと思っていましたが、多くのプレーヤーが参加する米国のEVOでは何回も勝ち続けないと上位へは入れない。日本のプレーヤーには1回戦の前に「0回戦」があるといわれているんです。航空券や宿泊の手配も含め、無事に現地にたどり着いて大会にエントリーできるまでが「0回戦」。つまりそれだけハードルが高い。
でも、EVO Japan 2018が開催されたことで、僕は初めて0回戦を突破できました。実際にはEVO Japanでも本戦の前に「プール」と呼ばれる予備戦がありますが、僕はそのプールのテーブルに就いた瞬間に感動して半泣きになった(笑)。
実際は、プールの決勝で負けてしまって本戦には出られなかったけれど、それでもゲームを通して特別な思い出ができました。ゲームをやっていなかったら味わえなかった感動があったんです。
――今後は日本でも大会やプロゲーマーが増えていくでしょうね。
歌広場: 今はプロ化への流れの狭間にあって、プレーヤーをはじめ、ゲームに関わる人たちが悩んだりしています。eスポーツを巡って起こる「過渡期ならではの出来事」が今はとても楽しいと思っています。
◇ ◇ ◇
ゲームに対する深い愛情が言葉の端々からほとばしる歌広場さん。最終回となる次回は、ゴールデンボンバーとしての活動と、ゲームで学び、実践していることとの共通点を語ってもらった。次回もお楽しみに。
(文/稲垣宗彦、写真/酒井康治)
【ゴールデンボンバー・歌広場淳さんインタビュー記事】
・「人生の大事なことはゲームセンターで学んだ」(1)
・「格闘ゲームは相手を深く知れるから楽しい」(2):この記事
・「eスポーツは過渡期だから面白い」(3):9月18日公開
東京ゲームショウ期間中の歌広場さんの連載はこちら
日経トレンディネットの特報サイトでは、9月21日から歌広場淳さんの東京ゲームショウ2018レポートを集中連載として掲載します。特報サイトと併せてお楽しみに!
・【TGS2018】金爆・歌広場淳の「ゲームは人生の教科書だ」
・「東京ゲームショウ2018」特報サイト