入出金や決済履歴を記録――マンションの時価も反映

今月の講師
今月の講師
マネーフォワード社長CEO 辻 庸介氏 01年京都大学卒業後、11年ペンシルベニア大学ウォートン校でMBA修了。ソニー、マネックス証券を経て、マネーフォワード設立。新経済連盟幹事
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 一方で、データを連係できる提携先をとにかく増やしていった。サービス開始当初は銀行など数十にすぎず、家計・資産の「一元管理」とは程遠い状態。ユーザーから最も強い要望は、常に「提携先を増やしてほしい」。それに応えるべく地道に開拓を続け、4年かけて2600超という圧倒的な規模まで来た。今では銀行や証券会社などに限らず、クレジットカードや電子マネー、アマゾンなどの通販サイト、携帯電話会社などの履歴とも連動し、自動で家計簿が作成される。資産管理も、金融資産だけでなくポイントサービスも含めて行える。仮想通貨のビットコインにも対応した他、不動産情報サイトとも提携し、保有するマンションの時価を資産のバランスシートに反映させることも可能だ。

 連係した口座などから取得したデータは、AI(人工知能)により使途が分類され、収支などの推移はグラフで表示できる。徹底的にユーザーの手間を省きつつ、お金の流れや資産の現状が自動的に見える化されることにより、「節約する習慣が付いた」「家計の収支が改善した」「貯金ができるようになった」などのユーザーの声も届く。

「努力を無駄にしたくない」――有料会員に移行する動機

 13年からは月500円(税込み)のプレミアムサービスを始めた。口座連係数の制限(無料会員は10件まで)がなくなり、1年以上前のデータの閲覧が可能になる。無料会員として1年間利用したタイミングで、「今まで頑張ってきたデータを無駄にしたくない」という動機でプレミアム会員になる人が多い。他にも、将来のキャッシュフローを予測したり、理想の家計と自分の家計を比較できるなど、高度な分析機能を利用できるようになる。

 サービスの拡充につれて登録ユーザー数は増え続け、現在400万人を超え、業界ではトップシェアだ。この状況に至れたのは、開発スピードの速さで他社をしのぎ先行できたことが大きいと考えている。家計の見える化を目的としたサービスはいくつもあるが、我々はその段階はすでに終え、「生活改善のソリューションの提供」という次のステップに踏み出している。初めて家計診断機能を導入した際、マネーフォワードへのアクセスは急増した。

 現状の当社の収益源としては、有料会員の収入、広告収入、その他の三つに大きく分けられる。当初、利用者は月に1回程度アプリを見ることを想定していたが、実際には半数以上が毎日のようにチェックしており、そのぶん広告収入にはプラスに働いている。ユーザーの平均収入や資産額も当初の想定より高い。「その他」としては、住信SBIネット銀行や静岡銀行など、他の金融機関のユーザー向けにマネーフォワードのサービスを提供し、金融機関からお金を頂くというビジネスも順調に伸びている。

 我々の目指す方向は、「お金のことならすべてここにある」というプラットフォームになること。個人事業主向けに会計サービスを始めた他、お金のニュースメディアも運営し、個人向けのイベントも頻繁に開催している。この1月には個人事業主や法人向けのサ ービス「MFクラウドシリーズ」のユーザー向けに融資の審査を自動化し、事業資金を迅速に調達できるサービスも始めた。ユーザーのあらゆるお金の悩みを解決することのできる存在になることを目指したい。

【Point】プラットフォーム化を目指し、B to Bやメディアも強化
 個人向けの「マネーフォワード」だけでなく、「MFクラウド会計・確定申告」「MFクラウドマイナンバー」「MFクラウド経費」など多彩なビジネス向けサービス「MFクラウドシリーズ」を展開中。中小企業などが資金を調達しやすくなる融資のサポートサービス「MFクラウドファイナンス」も始めた。お金に関するニュースメディアも運営し、金融知識の啓蒙イベントを開催するなど、「お金のポータル」化を進める。
節約、投資、保険、住宅ローンなどお金について学べるイベント「お金のEXPO」を開催
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ネットメディア「MONEY PLUS」も運営
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静岡銀行など金融機関のユーザー向けにマネーフォワードのサービスを提供。金融機関側から利用料を得るビジネス
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他社の家計簿アプリ「ReceReco」ともデータの連係ができる。レシートを撮影すると支出データを反映
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(文/平林理恵、写真/古立康三)

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