『今どきの若いモンは』はタイトルありきだった

栗俣: 驚いたのは、「ヤングマガジン」で連載中の『ナナメにナナミちゃん』は斜に構えているけど実は素直というナナミちゃんのひねくれたキャラクターが魅力なのに対し、ツイッターにアップしている作品は多くの人がストレートに共感できる作品が多いことなんですよ。

栗俣力也氏
栗俣力也氏
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吉谷: なんで唐突にきれいな話を描き始めたのは自分でもよく分からないのですが。『女ってやつは』『男ってやつは』はあえてキャラクターを作らず、どこにでもいそうな人にしました。そのうえで、一生を2ページで表現することで意外性を出そうと。

栗俣: なるほど。

吉谷: タイトルを見ると、やっぱりひねくれているとは思いますけどね。『女ってやつは』『男ってやつは』と異性に対する不平不満を描いているように見せて、実は良い話になっているという。

栗俣: それ、すごく思います。吉谷さんの漫画はタイトルがいいですよね。『今どきの若いモンは』とか。

吉谷: あれはタイトルありきですね。いかにも若い人に対して悪いことを描いてそうでしょ。

栗俣: でも、石沢課長が説教すると見せかけて、「今どきの若いモンは真面目に働きすぎなんだよ。あとはやっとくからさっさと帰れ」みたいに、今の若いビジネスパーソンの人たちが上司に言ってほしいことを毎回言ってくれる。

吉谷: ある意味、理想の上司ですよね。驚くのが、たまにツイッターで「うちの上司、まさにこれです」って来るんですよ。ウソだろ! と。でも、そういう反応が来るってことはいい線をいけたかなと思います。ないことはない、こうあってほしい、自分もこうなりたいというキャラクターを描けたかなと。

栗俣: 今の管理職は自分が部下だったときとは働き方がずいぶん変わってきているので、部下との付き合い方が分からないという人も多いと思うんですよ。そういう人もけっこう読んでいるんじゃないですかね。

『今どきの若いモンは』(画像提供:吉谷光平氏)
『今どきの若いモンは』(画像提供:吉谷光平氏)
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『今どきの若いモンは』(画像提供:吉谷光平氏)
『今どきの若いモンは』(画像提供:吉谷光平氏)
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栗俣: 吉谷さんはそういうみんなが心の中で求めているものを“ポン”と提示するのがうまい。「アクション」で連載しているお米がテーマの漫画『あきたこまちにひとめぼれ』なんて、最初は「お米かよ!」って驚きましたもん。でも、「毎日食べているお米なのに、なんでこだわらないの?」って言われると、「確かに」となりますよね。ほかの漫画家さんは見ていないけど、かゆいところに手が届くというか。

吉谷: まあ、みんなが見ているところにいったら大変ですからね(笑)。

栗俣: 書店に漫画を買に来る人ってだいたい30~40代くらいがメインなんですけど、『あきたこまちにひとめぼれ』は60~70歳くらいの人も買っていくんです。そこで、一度、試しに文芸のコーナーに置いてみたんですけど、けっこう売れるんですよ。吉谷さんの漫画って今までになかったテーマだったりするのに、万人受けするのが不思議なんです。そういうセンスがあるってことですよね?

吉谷: よく分かりませんが、いろんな漫画を読んでいるとは思いますね。