家庭用ゲーム市場に乗り込むWright Flyer Studios

――まずは、スマホアプリ事業「Wright Flyer Studios」を統括する荒木さんにうかがいます。Wright Flyer Studiosはグリー社内のほかのゲーム開発部門と何が違うのでしょうか?

荒木氏: 大きく3つあるモバイルゲーム開発部門は、それぞれ強みにしている部分が違います。Wright Flyer Studiosは「新しい驚きを、世界中の人へ」というビジョンを掲げて、ゲームだけではなく、広くエンターテインメント関連コンテンツを提供していく方針です。2017年には、北米で日本のアニメコンテンツなどを配信するサービス「Crunchyroll(クランチロール)」と住友商事さんと提携して、海外の日本アニメファンに向けてゲームを配信することを発表しています。多言語で広く届けるという能力も身に付けていきたいです。

荒木英士氏。スマホアプリ事業の「Wright Flyer Studios」を担当している
荒木英士氏。スマホアプリ事業の「Wright Flyer Studios」を担当している
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 もう一つ、グリーグループ全体として、特定のゲームジャンルに絞り、その中のカテゴリーリーダーになるという目標があり、Wright Flyer StudioはRPGに特化することにしました。なぜRPGなのかというと、流行り廃りがない長続きするジャンルだからです。それに、アクションRPGやコマンドRPG、シミュレーションRPGといった具合に、1つのジャンルでも幅広く制作できます。また、自分たちがブラウザーゲームの時代から培ってきた運営ノウハウを生かしやすいジャンルだと思い、総合的に判断しました。

 それに合わせて、グローバル市場を前提にしたRPGの開発に取り組んでいます。現在開発中のRPGタイトルはすべて、グローバル配信を前提に開発しています。その突破口の一つとして、日本のアニメ作品という切り口があると思っています。先ほどお話したCrunchyrollとの協業にもその意味があります。日本のアニメ作品のファンはそれぞれの地域ではニッチですが、世界中に存在しているのは確かです。そうした日本のアニメ、カルチャーファンに向けてゲームや関連コンテンツを作っていく、というのが今のところの戦略となります。

――グリーの決算発表などで、田中良和社長は「エンジン戦略」という話をされていますが、Wright Flyer StudiosのエンジンというのがRPGということですか。

荒木氏: そうですね。UnityやUnrealのようなミドルウエアのゲームエンジンという意味ではなく、RPGを構成する機能やアセットパイプラインなどの開発基盤・ノウハウなど、全体を称して“エンジン”と呼んでいます。

 例えば、2017年にリリースし、ヒットした『アナザーエデン 時空を超える猫』と『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ』(ダンメモ)では、『アナザーエデン』を作った後に、その開発工程やフォーマットをベースにして『ダンメモ』を作りました。一度作った資産を活用して、第2弾でより良くする。それをさらに拡張して第3弾を作る、という成長サイクルを構築しています。

『アナザーエデン 時空を超える猫』
『アナザーエデン 時空を超える猫』
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『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ』
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか メモリア・フレーゼ』
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 Wright Flyer Studiosでは、『アナザーエデン』の2DコマンドバトルRPGというエンジンのほかに、『追憶の青』の2DアクションRPG、それに『武器よさらば』で作った3DアクションRPGという3種類のエンジンを確立しています。これからの投資も含めて、あと1つ2つを新規エンジンとして開発している最中です。

『武器よさらば』
『武器よさらば』
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