バーチャルYouTuberやチャットがVRのキラーコンテンツ?

――スマートフォンで楽しむVRゲームのマーケットも広がりますか?

國光氏:  スマートフォンで楽しむVRが、Oculus GoとかGeogle Daydreamという形になってきているのかなと思っていますが、ゲームを楽しむという意味では、マシンスペックが足りないのかなと感じています。VRの面白さって、例えば『スター・ウォーズ』であれば、『スター・ウォーズ』の世界に入って自分自身で戦ったり体験したりすること。スマホのVRやOculus Go、Daydreamだと、自由に動き回る感覚が得られないので、ゲーム以外の使い方になるのかなと思います。

 それに関連して、今、面白い動きが、日本と海外であります。1つは、日本で昨年末から盛り上がってきている「バーチャルYouTuber」。二次元キャラクターによるYouTuberなんですが、gumiグループのTokyo XR Startups(旧Tokyo VR Startups)が投資している「Activ8」が手がけている「キズナアイ」がすごく伸びているんです。

「キズナアイ」(YouTubeの画面より)
「キズナアイ」(YouTubeの画面より)
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――「キズナアイ」は、フォロワー数など、バーチャルYouTuberのランキングで1位と聞いています。

國光氏:  多くの人は、バーチャルYouTuberをYouTubeや、動画配信の「17Live」や「SHOWROOM」で見ているわけですが、HMDをかぶって見ると、(二次元キャラクターが)近いんです。すぐそばで見られるわけです。Oculus Goで、自分の好きなバーチャルYouTuberを近くで見られるという深い体験ができるので、買ってみようという人は多いと思います。

――もう一つは?

國光氏:  「VRChat」(注)というのが、昨年の12月ぐらいから、海外ですさまじく伸びています。PCでも楽しめるんですけど、HMDを付けて見ると、一人称視点で(仮想空間内で)相手とコミュニケーションできる。1カ月で200万以上の新規ユーザーを獲得していて、ピークのときは、2万同時接続で、STEAM内でトップ30に入るほどです。

(注)「VRChat」: ネットワーク上の仮想空間で多くの人とボイスチャットなどコミュニケーションができる米国のソーシャルVRサービス。HMDだけでなくPCでも利用ができる。

STEAMの「VRChat」紹介ページ
STEAMの「VRChat」紹介ページ
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 もともと、バーチャルYouTuberはVR配信を意識していたものではないんですが、面白いのは、バーチャルYouTuberが増えているのはVRの技術を使っているから。HTC Viveの「VIVEトラッカー」(物に取り付けることで、その位置と動きを正確にトラッキングできるデバイス)を使うと、(生身の人間の)頭や手、腰、足の動きがトラッキングできるので、それに合わせて3Dモデルを簡単に動かすことができるんです。3Dモデルをアニメーションですべてを作るとものすごいコストがかかっていたのが、VRの技術で簡単に動かせるようになったのは大きなイノベーション。米国でも、こうした日本的なバーチャルYouTuberが増えてくると思います。

 こうしたコンテンツをVRで楽しむ場合、スマホやOculus Goでも十分なので、スマホ向けVRのマーケットが広がるのは(ゲームではなく)こっちのジャンルかなと思います。さらに、もっと面白いことをしたい、もっと没入体験をしたいとなってくると、今度は(ハイエンドの)スタンドアローン型HMDを買って楽しむというループが見えてくるのかなと感じています。