モバイル×アプリ市場からいつでも変化できる体制を構築

――新規開発しているゲームタイトルはどのくらいありますか。

松井氏: 今期からゲーム事業全般を受け持つことになったのですが、引き継いだ時点では既存タイトルの運営強化にフォーカスしていて、新規タイトルの開発はほとんどない状態でした。そこからスタートして、現在は10本以上の新規タイトルを仕込んでいる状態です。実際にリリースできるタイミングにバラツキはありますが、常時10本程度を新規で開発できる体制になったと思います。

 昨今の働き方改革というテーマもありますから、単純に仕事量を増やすのではなく、開発人員を増やすようにしています。これまでリリース後のゲーム運営に9割以上のリソースを割いていたとすると、それを運営に7割、新規開発に3割くらいで振り分けているのが現状です。目指すのは5:5くらいの組織状況です。

 現在、運営や開発を含めたゲーム事業部門全体では国内外で合計約1500人が在籍しています。開発人員を急激に増やしたというよりは、働き方を変えていくことで開発人員が増えてきたという印象です。社会的に責任ある立場にある会社という意味からも、あらがうことなく素直に働き方改革を実行しています。

――少し前に、新規開発はブラウザーゲームではなく、ネイティブアプリゲームにシフトする、というお話がありました。

松井氏: 4~5年前、ネイティブアプリにシフトするという号令を出した時点では、(ネイティブアプリが主戦場になる)ゲーム市場のトレンドから遅れている状態でした。当時はブラウザーゲームのプラットフォームであるMobageで成功を収めていて、その中でヒットしているブラウザーゲームもありましたから、このビジネスは一定期間続くと楽観的に考えていたんです。そこで得られた知見を活用すれば、ネイティブアプリ市場でもすぐキャッチアップできると甘く考えてもいました。

 結果として出遅れてしまったネイティブアプリ事業を加速するために、何をしていいか見当もつかなかったので、とりあえず数を作るぞ、となったんです。60本は作ろうという掛け声の下、ゲーム開発経験者や未経験者問わずに、開発総動員して30本くらいは何とかリリースできました。そこからヒットしたと言えるまでになったのは、2~3本ですね。この4~5年間の開発費や運営費などの回収には時間を要しましたが、現在になってようやく完了できたイメージです。ただ無理矢理でもネイティブアプリにシフトしたことは、結果的に良かったと思っています。

――逆にブラウザーゲーム市場は残存者利益がある状況になっている可能性もあります。再びブラウザーゲームに注力することはあるのでしょうか。

松井氏: 寡占化している現在のネイティブアプリ市場でつらい思いをするくらいなら、ビジネスの規模が小さくなったとしてもブラウザーゲーム市場で頑張る、という考え方は理解できます。しかし、我々はそもそもの事業規模が大きくなってしまったという要因もありますが、売り上げは少ないけれど利益率がいいからブラウザーゲーム市場への注力を続けるという考え方はしませんでした。

 ブラウザーからネイティブアプリへのシフトが遅れてしまった過去の経験がありますから、周辺の動向は目を皿にして見ています。例えば、中国や欧州などでブラウザーゲームがしっかりと顧客を獲得できているなら、すぐにネイティブアプリをブラウザーゲームへポーティングする、といった技術的なキャッチアップや市場トレンドの変化への準備は進めています。

 開発費だけ切り出してみれば確かにウェブ技術を使ったブラウザーゲームの方が安く済むこともありますが、ネイティブアプリの他プラットフォーム配信もかなり容易になってきていますから、その優位性を重視しています。

――ブラウザーでもネイティブアプリでも、マルチプラットフォームで提供できるという意味ですか?

松井氏: コンテンツ開発側から見るとほぼ大丈夫です。ブラウザーゲーム市場でも、ネイティブアプリ市場でも、PCでも、モバイルでも、どのエリアが主戦場になっても対応できる技術は一応培っています。現在は、「モバイル」×「ネイティブアプリ市場」のエリアでビジネスしていて、少し前は「モバイル」×「ブラウザーゲーム市場」が主戦場でした。これらに加えて「PCなどの固定機」×「ネイティブアプリ市場」もしくは「ブラウザーゲーム市場」のエリアがトレンドになるなら、すぐそこでビジネスできるような態勢を作っています。

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