ゲーム事業の再定義からスタート
――2017年を振り返って、どのような年でしたか?
松井毅氏(以下、松井氏): 会社全体で見ていろいろありましたが、どのような価値の提供を目指して、何を作っていけばいいか、という根本的な部分を再定義して、再出発する1年になったと思います。
ゲーム事業では、オリジナルタイトルとして、2年前にiOS、Android端末向けにリリースしたドラマチック逆転バトルゲーム『逆転オセロニア』に改めて注力しようとプロモーションした結果、比較的順調に伸びました。2017年12月にiPhone/iPad、Android端末向けにリリースしたRPG『メギド72』は、大々的なプロモーションをしていないものの、遊んでいただいているお客様の反応を見ると結構順調にいきそうだと捉えています。
――再定義したのはどういう点でしょうか。
松井氏: DeNAでは、事業計画を立案しているときに、どこの企業と協業タイトルを何本、オリジナルタイトルを何本作りましょうという話になって、数値目標ありきで物事を考える癖がついていた気がします。
そうではなく、我々は本当はどんな価値の提供を目指していたのか、というミッションありきの視点に立ち返ってゲーム事業を考え直そうとしています。ただ、ゲーム事業全体で「同じミッション」を掲げることはそう簡単でありません。例えば、「Mobage」というゲームプラットフォーム事業ではプラットフォーマーとしての役割と内製ゲーム提供者としての役割があります。その一方で、他社IPでビジネスをする「協業ゲーム」事業では、より強力なIPをお預かりし、協業を円滑に進める役割があります。
それらの事業や新規IP開発事業も含めて、全員で共有できるようなミッションを1つ提示するだけでは、どうしても曖昧になりがちで、社員に理解してもらいにくくなります。だから、各事業単位でミッションを作ることに加えて、さらにその下にある各部門でもビジョンを掲げ、それらに基づいてしっかり物事を決めていこう、と考えました。
私が管轄しているゲーム開発部門は全部で5つあるのですが、それぞれで「どういうモノの作り方をするのか」とか「どういう価値を提供したいのか」といったビジョンを言語化し、そのために何をすべきで何をしないのか、ということを3カ月くらいかけて定めました。個別のビジョンは外部に出していませんが、それらのビジョンとセットでゲーム事業全体として「記憶と歴史に楽しみを刻む」というミッションを掲げました。