2018年1月上旬、米国ラスベガスで世界最大級の家電見本市「CES 2018」が開催された。パソコンやスマホ、オーディオ関連機器と並び、カメラ関連の新製品もいろいろと登場した。

 特に多かったのがVR&スマホ用途で盛り上がる全天球カメラで、撮影した全天球映像をより便利に活用できる新機能を持つ製品が目を引いた。本家カメラは、2020年の東京五輪を見据えた高性能ミラーレス一眼が話題を集めていたが、重さのあるデジタル一眼の動画撮影でもブレを大幅に抑えられるジンバルの新製品にも熱い視線が注がれていた。この記事では、今年日本でも話題になりそうな注目カメラやアクセサリーを紹介したい。

フルサイズ一眼にも対応するDJIのスタビライザーがすごい

 ドローンの技術を応用したスマートフォン用スタビライザー「Osmo Mobile」で知られる中国DJIは、新たに一眼レフカメラやミラーレスカメラ向けのスタビライザー「Ronin-S」を発表した。片手持ちできるスタビライザーで、フルサイズ一眼レフを装着してブレの抑えた撮影が可能になる優れものだ。

DJIのレンズ交換式カメラ向けスタビライザー「Ronin-S」
DJIのレンズ交換式カメラ向けスタビライザー「Ronin-S」
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各社のレンズ交換式カメラに対応する
各社のレンズ交換式カメラに対応する
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 ジンバルは3軸で、強力なモーターの搭載により重いレンズを装着したカメラにも対応。利用できるカメラは、キヤノンのEOS 5Dシリーズ、ニコンのDシリーズ、ソニーのαシリーズ、パナソニックのLUMIX GHシリーズ、オリンパスのOM-Dシリーズなど幅広い。説明員に聞いたところ、対応する交換レンズは現在検証中とのことだが、会場では886gの重量があるソニーα用の「FE 24-70mm F2.8 GM」のような大口径ズームレンズを装着したカメラもあり、少なくとも標準ズームレンズまでであればほとんど対応できそうだ。

展示されていたミラーレス一眼には、かなり重量のある大口径の標準ズームレンズなどが装着されていた
展示されていたミラーレス一眼には、かなり重量のある大口径の標準ズームレンズなどが装着されていた
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 スマホアプリ経由での操作にも対応する。発売は今年第2四半期の予定で、価格は未定とのこと。

安価で軽量、4K動画撮影対応カメラ付きスタビライザーも発見

 カメラを搭載したスタビライザーの新モデル「REMOVU K1」も出展されていた。4K/30pでの撮影に対応したカメラと3軸のスタビライザーを備え、これ1つでブレを抑えた4K動画が撮影できる。静止画の画質は12MPとのこと。

円形の4K対応カメラを搭載したスタビライザー「REMOVU K1」。側面にはマイク端子とmicroSDカードスロットを備える
円形の4K対応カメラを搭載したスタビライザー「REMOVU K1」。側面にはマイク端子とmicroSDカードスロットを備える
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1.5インチの液晶モニターを搭載しており、単体での撮影も可能
1.5インチの液晶モニターを搭載しており、単体での撮影も可能
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 もともとクラウドファンディングから生まれた製品だが市販化にこぎつけており、米国では430ドル(約4万7000円)程度で販売するという。背面に1.5インチの液晶モニターを備えながら、軽量かつ安価な点をアピールする。説明員によれば「日本でも間もなく発売する」とのことだ。

Kodakが新趣向の全天球カメラを展示、製品化を検討中

 全天球カメラやVR関連も新趣向の製品が多く発見できた。特に目を引いたのが、Kodakブースに展示されていた全天球カメラ「PIXPRO」のプロトタイプ。ヨーヨーのようなボディーに3つのカメラを搭載した製品と、2つに折りたためる製品の2モデルを展示。発売に向けて検討すべく、来場者の意見を聞くために展示したのだという。

Kodakの全天球カメラのプロトタイプ
Kodakの全天球カメラのプロトタイプ
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ヨーヨーのような平たいボディーの外周部に3つのカメラを搭載する
ヨーヨーのような平たいボディーの外周部に3つのカメラを搭載する
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別の全天球カメラのプロトタイプ。前後にカメラを搭載するオーソドックスな仕様だが、カメラを開くと3Dでの撮影も可能になる
別の全天球カメラのプロトタイプ。前後にカメラを搭載するオーソドックスな仕様だが、カメラを開くと3Dでの撮影も可能になる
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上から見ると、このようなスタイルだ
上から見ると、このようなスタイルだ
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 いずれも、詳細なスペックなどはまったく決まっていないというが、形状は独特で新たな使い方を提案してくれそう。特に、2つ折りのモデルは折りたたむと全天球、開くと3D全天球の撮影ができるというのが面白い。あくまでプロトタイプということで、このままの形で登場するわけではなさそうだが、期待が持てる。

iPhone用の全天球カメラが進化、圧巻のプロ向け全天球カメラも

 iPhoneのLightning端子に接続して撮影する全天球カメラ「Insta360」の上位モデル「Insta360 Nano S」がお目見えした。4K解像度の全天球動画や、20MPの全天球画像が撮影できる高性能モデルだ。

iPhoneに取り付ける全天球カメラ「Insta360 Nano S」。従来モデルよりも画質が向上した
iPhoneに取り付ける全天球カメラ「Insta360 Nano S」。従来モデルよりも画質が向上した
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iPhone Xに取り付けたところ。Lightningコネクターが上になるので、iPhoneは上下逆になる
iPhone Xに取り付けたところ。Lightningコネクターが上になるので、iPhoneは上下逆になる
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 新機能として、全天球映像の中から複数の角度の画面を1画面にまとめるマルチビュー機能を搭載し、ライブ配信やチャットで利用できるようになった。全天球映像は360度全体を同時に記録しているが、任意の角度を見るためには視聴者が自分で動かす必要がある。マルチビューでは、指定の角度をいくつか切り出して同時に表示するので、複数のカメラで異なる角度から撮影しているような画面が実現できる。好きな角度を切り出して通常の動画として再編集し、複数のカメラの映像を合成したかのような動画も作成できる。iPhoneのジャイロ機能を活用して手ブレを補正する機能も新たに備えた。

 サイズや使い方は従来のInsta360 Nanoと同じで、iPhoneに装着するだけで使える簡便性も魅力。日本国内でも販売が始まっており、実売価格は税込み3万1299円。

 同社のブースでは、8個のレンズを搭載したプロ向けの全天球カメラを参考出展していた。10K以上の解像度で撮影できるとしており、撮像素子はフォーサーズサイズ(4/3型)と大きい。1万2000ドル(約133万円)程度になるとされ、発売日は未定。

プロフェッショナル向け全天球カメラ。まるでロボットのような見た目だ
プロフェッショナル向け全天球カメラ。まるでロボットのような見た目だ
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 もう1つは、いわゆるライトフィールドカメラのプロトタイプ。128個ものカメラで撮影する映像は3次元の180度動画となり、撮影後に上下左右前後の6方向に自由に移動できる(約0.5mの範囲)。発売日や価格などの詳細は未定だ。

撮影後にピント合わせができるライトフィールドカメラのプロトタイプ。小型のカメラを128個も搭載している
撮影後にピント合わせができるライトフィールドカメラのプロトタイプ。小型のカメラを128個も搭載している
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スマホ用VRゴーグル向けの動画が撮れるレノボの2眼カメラ

 レノボが出展していたのは、2つのレンズを搭載して180度の映像が撮影できる「Lenovo Mirage Camera」。GoogleのVRプラットフォーム「Daydream」に準拠していることから分かるとおり、スマートフォン用VRゴーグル向けの動画を撮影するためのカメラだ。

レノボのVRゴーグル(左)とのセットでの利用が想定されている2眼カメラ「Lenovo Mirage Camera」(右)
レノボのVRゴーグル(左)とのセットでの利用が想定されている2眼カメラ「Lenovo Mirage Camera」(右)
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カメラを2つ備えたシンプルな外観を採用する
カメラを2つ備えたシンプルな外観を採用する
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 13MPのセンサーを2つ搭載し、4K解像度の180度映像を撮影できる。背面にはディスプレーもなく、基本的にはシャッターボタンを押して撮影するだけのカメラで、あくまでユーザーが何も考えずに簡単に撮影できることを目指したという。

背面にはディスプレーはない。Daydreamのロゴが鎮座するだけだ
背面にはディスプレーはない。Daydreamのロゴが鎮座するだけだ
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本体上部にはシャッターボタンと電源ボタン、Wi-Fi関連と思われるボタンがある
本体上部にはシャッターボタンと電源ボタン、Wi-Fi関連と思われるボタンがある
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 同時に発表した同社製VRゴーグルのコンテンツを増やしてほしい、という意向で開発した製品で、価格はなるべく安価にしたいとのこと。発売は2018年夏の予定。

画素数をあえて10メガに抑制、高感度動画を極めた「LUMIX GH5S」

 デジタルカメラ関連の新製品の展示は少なかったが、2020年の東京五輪を見据えたプロ向けの高性能モデルの新製品が目を引いた。

 パナソニックが目玉として展示していたのは、マイクロフォーサーズ規格の高性能ミラーレス一眼「LUMIX GH5S」(DC-GH5S)。優れた動画撮影機能で定評のある「LUMIX GH5」のバリエーションモデルとして投入された製品で、GH5と併売される。GH5Sの最大の特徴は、その高感度画質にある。

パナソニックが展示したミラーレス一眼「LUMIX GH5S」(DC-GH5S)。国内でも発表され、1月25日発売とアナウンスされた。国内での実売価格は30万円前後
パナソニックが展示したミラーレス一眼「LUMIX GH5S」(DC-GH5S)。国内でも発表され、1月25日発売とアナウンスされた。国内での実売価格は30万円前後
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 それを実現するために、画素数をあえて1020万画素に抑えたLive MOSセンサーを新たに開発。GH5の2030万画素と比べて画素数が半分ほどにとどまるため、画素一つひとつのセルサイズがGH5比で約1.96倍と大きくなり、ダイナミックレンジとS/N比が向上。高感度撮影時の低ノイズ化を図るとともに、解像感、階調性、色再現性も改善したという。

 新技術として、「デュアルネイティブISO」のイメージセンサーを撮像素子に搭載したのも特筆できる。同社のシネマカメラ「VARICAM」にも搭載されている技術で、低ISO感度用と高ISO感度用の2つの専用回路を用意したのが特徴。撮像素子が感度を高めるとノイズも増幅されるが、あらかじめ高ISO感度用の回路を組み込むことで、高感度化にともなうノイズの増加を抑えられる。高ISO感度用回路は低ISO感度では動作せず、ISO800になった時点で高ISO感度用回路に切り替わる仕組みとのこと。

 こうした2つの仕組みを導入することで、最高ISO感度は従来のISO25600からISO51200に向上。拡張ISO感度で最高ISO204800まで設定可能になった。静止画でも動画でも、従来は撮影できなかったような暗所での高画質撮影ができる。

 同社によれば、「動画ユーザーからGH5で唯一惜しいといわれていたのがISO6400のノイズ」だったという。超高感度対応のミラーレス一眼としてライバルとなるソニーの「α7S II」に対し、4:2:2 10bitや無制限の動画記録時間に対応したこと、ローリングシャッター現象がほとんどないこと、改善された高感度画質で優れているといえる。

LUMIX GH5Sの背面
LUMIX GH5Sの背面
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背面の液晶モニターは2軸可動式となる
背面の液晶モニターは2軸可動式となる
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本体上部。右肩の動画ボタンが赤くなっている点も、GH5とのデザイン上の違いとなっている
本体上部。右肩の動画ボタンが赤くなっている点も、GH5とのデザイン上の違いとなっている
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 動画性能を追求したことで省かれたのが、ボディー内手ブレ補正機構だ。同社自身「思い切った決断」とするが、得意な撮影シーンの違いをGH5と差別化することにこだわったためだという。その背景には、GH5Sはプロユーザーがターゲットであり、ジンバルやスタビライザーなどブレを抑制できる機材を使うユーザーが多い点に加え、「プロの撮影シーンではGH5が全然通用しないケースがあった」という。ボディー内手ブレ補正は、自動車や列車などで強い加速がかかったり、ライブシーンなどで重低音を受けたりすると誤動作してしまうことがあるそうだ。「ボディー内手ブレ補正の副作用を減らすため」としてボディー内手ブレ補正機構を省略し、そうしたシーンでも活用できるようにしたのだという。

 撮像素子は、イメージサークルよりもやや大きいサイズになっていて、アスペクト比を変えても画角が変わらないマルチアスペクトに対応した。久しぶりの機能だが、この仕組みによってアスペクト比を4:3や3:2、16:9に変えても画角が変わらないのは好ましい。17:9のCinema4Kの画角に対応している点も見逃せない。ちなみに、GH5Sがマルチアスペクトに対応したのは、ボディー内手ブレ補正機構を取り除いた結果、スペースが空いたためだそうだ。

スイッチの切り替えで1.4倍の望遠撮影が可能に、ニコン「180-400mm」

 ニコンは2020年を見据えた新製品として、一眼レフ用の交換レンズ「AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR」を展示した。35mm判換算で180-400mmをカバーするF4通しの超望遠ズームレンズだが、1.4倍のテレコンバーターを内蔵しており、最長で560mmの焦点距離をカバーできるのがポイント。レンズの付け根にテレコンバーターの切り替えスイッチがあり、カメラを握ったまま変更できる。

1.4倍のテレコンバーターを内蔵したニコンの超望遠ズームレンズ「AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR」。スイッチの切り替えだけで1.4倍の望遠撮影が可能になる
1.4倍のテレコンバーターを内蔵したニコンの超望遠ズームレンズ「AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR」。スイッチの切り替えだけで1.4倍の望遠撮影が可能になる
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テレコンバーターの操作スイッチ。ロックを解除して上下にスイッチを動かすだけ
テレコンバーターの操作スイッチ。ロックを解除して上下にスイッチを動かすだけ
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各種操作スイッチ。このあたりはニコンの望遠レンズと変わりない
各種操作スイッチ。このあたりはニコンの望遠レンズと変わりない
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レンズの付け根には、組み込み式のフィルターを装着できるようになっている
レンズの付け根には、組み込み式のフィルターを装着できるようになっている
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 ブースでは、超望遠レンズ「AF-S NIKKOR 800mm f5.6E FL ED VR」と並んで展示されていた。サイズ的には、800mmのレンズに比べてひと回り程度小さいぐらいだ。日本での発売は3月9日の予定で、実売価格は130万円前後。

手前がAF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRで、背後に見えるのがAF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR。写真では分かりづらいが、800mmのほうが一回り大きい
手前がAF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRで、背後に見えるのがAF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR。写真では分かりづらいが、800mmのほうが一回り大きい
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魚釣りもできる珍ドローン「PowerDolphin」

 卵形ドローンや水中ドローンを開発するPowerVisionは、新たなドローンとして「PowerDolphin」を発表した。水上をイルカのように走行し、可動式のカメラで水中や水上を撮影できるドローン。潜るのでも飛ぶのでもなく、船のように水上を走るので、これまでにない独特な表現で撮影できる。

水上走行ドローンの「PowerDolphin」
水上走行ドローンの「PowerDolphin」
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前面のカメラは上下に可動する
前面のカメラは上下に可動する
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 水中ドローンとは異なり無線での操作が可能で、底面には魚群探知センサーも搭載。後部に餌容器を装着し、指定した場所にエサをまくことができ、釣り糸と釣り針を装着して魚を釣れるのがユニークだ。

底面にある魚群探知センサー
底面にある魚群探知センサー
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後部に取り付ける給餌器
後部に取り付ける給餌器
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 最高速度は16.4フィート/秒で、パワーはかなりあるようだ。浮き輪を装着して引っ張るといったレスキュー用途も想定するという。最長コントロール距離は1km。販売予定価格は、米国では750ドル程度で、日本の価格は現在検討中だという。日本を含めて4月に発売予定。

(文・写真/小山安博)