ポイント(4)味のあるテナントが多い

 シブいビルの多くは、オープン当初は大企業がテナントとして入り、高級感あふれる雰囲気を醸し出していた。だが築後50年以上もたつと多くのテナントが入れ替わり、雑多な業態の店が混在して独特の雰囲気を形成している場合が多い。新橋駅前ビルはオープン当初、東京で最新の高級感あふれる場所で、1階と2階には高級すき焼き店「今朝」などが出店していたという。だが時間の経過とともに新橋本来の庶民的な味わいの小さな飲食店が集まるようになり、現在では昭和時代にタイムスリップしたような独特の雰囲気が多くのサラリーマンに愛されている。

 紀伊國屋ビルの1階アーケード街を設計したのは、モダニズム建築の巨匠と呼ばれた前川國男氏。同じ場所にあった1947年築の前建物も同氏の設計で、終戦後のこの地の雑多で活気に満ちた雰囲気を愛し、1階と地下の商店が並ぶ回廊は、その街並みをイメージしてデザインしたという。中野ブロードウェイも、味わい深いテナントが多いことで知られている。「古くからのテナントも多く、一時は本当にさびれた雰囲気になっていたのですが、『まんだらけ』がクローズアップされたことで奇跡的に生き返った。テナントによってシブいビルが活性化された珍しいケースですね」(鈴木氏)。

紀伊國屋ビル(新宿、1964年3月竣工)1階アーケード街は、このビルが建つ以前の同じ場所の街並みをイメージしてデザインされたという。「今は書店も大型化しましたが、紀伊國屋ビルができた1964年には小さな書店がほとんど。ビル3フロアが書店というのは、センセーショナルだったんですよ」(鈴木氏)
紀伊國屋ビル(新宿、1964年3月竣工)1階アーケード街は、このビルが建つ以前の同じ場所の街並みをイメージしてデザインされたという。「今は書店も大型化しましたが、紀伊國屋ビルができた1964年には小さな書店がほとんど。ビル3フロアが書店というのは、センセーショナルだったんですよ」(鈴木氏)
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